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あなたにとっての美しい邦画は?全国の映画好きに訊いた“美しい”邦画ランキング

  • 2026.11.6

2024年の「沁みる映画。」に続き、2025年は全国24ヵ所の映画好きが集まる映画館で「美しき、日本映画。」のアンケートを配布・集計しました。全国の映画好きが選ぶ、美しい邦画とは?

text: Nozomi Hasegawa

映画『国宝』、『PERFECT DAYS』、『Love Letter』、 『ぼくのお日さま』
©吉田修一/朝日新聞 ©2025映画「国宝」製作委員会 ©2023 MASTER MIND Ltd. ©フジテレビジョン ©2024「ぼくのお日さま」製作委員会/COMME DES CINÉMAS

1位 『国宝』

「記憶に新しいというのもあるけど、映像はもちろん主演2人の所作や生きざま、そして歌舞伎そのものも多角的に“美”を表現をするものなんだと心が震えた」。saki(33歳)女性/Filmarks

「歌舞伎の女形という伝統芸能自体が持つ、表情・所作の美しさを、主役2人が体現していた。美しさの中に隠された醜さも美しいと思えるほど」。NO(51歳)女性/Filmarks


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『国宝』(175分/'25)監督/李相日

任侠の家に生まれ15歳で天涯孤独となった喜久雄(吉沢亮)は、上方歌舞伎役者の花井半二郎(渡辺謙)に誘われ歌舞伎の世界に入る。跡取り息子の俊介(横浜流星)と共に芸を磨く喜久雄だが。邦画歴代2位の興行収入を誇る25年のヒット作。

2位 『PERFECT DAYS』

「海外の監督だからか、日本の風景(映像)がいつもと違って見えました。音楽も最高でした!」。トール(41歳)男性/三重〈進富座〉

「主人公・平山の過去は具体的には見せずに、モノクロームや画(え)の歪み、表情で観る人に感じてもらう。流れる映像は淡々として静かだが、奥深い人の感情を“影”で見せてくれる素晴らしい映画でした」。ヤマハ(32歳)男性/Filmarks


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映画『PERFECT DAYS』ブルーレイ
BRUTUS

『PERFECT DAYS』(124分/'23)監督/ヴィム・ヴェンダース

東京でトイレ清掃員として働く平山(役所広司)はフィルムカメラで写真を撮り、休日には古本を買い、好きな音楽を聴く。淡々と流れる日常の中に小さな喜びを見つける男を、ドイツの巨匠が描く。TCエンタテインメント/6,380円(BD)。

3位 『東京物語』

「“不思議だね、今では他人のあなたがこんなに親切にしてくれるんだから”と呟(つぶや)く目が穏やかで悲しみもあり切なく美しい」。moe(26歳)女性/BRUTUS.jp

「終戦後の東京の生活、風景、人間関係を観ながら、今も変わらぬ人間の心情を感じることができる。原節子さん、笠智衆さん、東山千栄子さんが歩道橋から一望する東京の風景は、今はもう見られないことを含めて美しい。見渡す景色が広い」。ベンアミ(30歳)女性/Filmarks


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映画『東京物語』ブルーレイ
BRUTUS

『東京物語』(135分/'53)監督/小津安二郎

広島・尾道で暮らす老夫婦が、東京で暮らす子供たちを訪ねて上京するものの、長男も長女も忙しく両親に構っていられない。ただ、血のつながりのない、戦死した次男の妻だけが優しく2人を迎え入れてくれる。松竹/5,170円(BD)。

4位 『Love Letter』

「真っ白な雪景色の中、空を見上げる中山美穂さんの横顔の美しさにため息。全編通してずっと空気が澄んでいるように感じられた」。千尋(58歳)女性/Filmarks

「都会では見られない北海道ならではの広大な雪景色は綺麗の一言。2001年生まれの自分には少し粗い映像も、儚(はかな)く見えて素敵です」。ファニスタ(23歳)女性/Filmarks


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映画『Love Letter』ブルーレイ
BRUTUS

『Love Letter』(113分/'95)監督/岩井俊二

婚約者の樹を亡くして2年が経つ博子(中山美穂)。ある日、樹の卒業アルバムから彼が住んだ小樽の住所を見つける。4Kリマスター版ブルーレイとDVD、復刻のサウンドトラックCDが25年12月3日に発売。キングレコード/6,380円(BD)。

5位 『砂の器』

「意味もちゃんと理解できない子供の時に観て、それでも差別を受けてお遍路をする親子の悲しさに相反するほどの美しくも厳しい自然の景色に目が離せませんでした。そこに流れる宿命の音楽、さらに悲しみが助長され、いまだにあの時の映像は忘れられません」。マナーキ(61歳)女性/Filmarks


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映画『砂の器』ブルーレイ
BRUTUS

『砂の器』(143分/'74)監督/野村芳太郎

国鉄蒲田操車場構内で発見された扼殺(やくさつ)死体。被害者が最後の夜に過ごしたバーで交わされた東北訛りの「カメダ」という言葉を頼りに刑事は犯人を追う。そして辿り着いたのは、天才音楽家の和賀英良(加藤剛)だった。松竹/3,630円(BD)。

6位 『リトル・フォレスト(夏・秋、冬・春)』

「刺激や成功ではなく、日々の小さな営みの中に満ちる温もり。失敗も迷いも抱えたまま、季節に寄り添いながら生きていく主人公の姿が、心を静かに打ちます。美しさとは、特別な瞬間ではなく、なにげない日常を大切にできる心のあり方なのだとこの映画は教えてくれる」。さつまいも(30歳)女性/東京〈目黒シネマ〉


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映画『リトル・フォレスト』ブルーレイ
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『リトル・フォレスト(夏・秋、冬・春)』(「夏・秋」111分/'14、「冬・春」120分/'15)監督/森淳一

舞台は東北のとある集落〈小森〉。東京から戻ってきたいち子(橋本愛)は、自給自足生活を送ることに。野山で採れた食材で毎日の料理を作っては食べ、元気を取り戻す。1年かけて撮影し、四季を美しく捉えた作品。共に松竹/各5,170円(BD)。

7位 『ぼくのお日さま』

「氷上を滑るさくらの姿とリンクを蹴る音、それを静かに見つめるタクヤの横顔」。芦ヶ谷(21歳)女性/埼玉〈川越スカラ座〉


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映画『ぼくのお日さま』ブルーレイ
BRUTUS

『ぼくのお日さま』(90分/'24)監督/奥山大史

吃音のある内気なタクヤは、ドビュッシーの「月の光」に合わせてフィギュアスケートの練習をするさくらに心を奪われる。コーチの荒川の指導の下、2人はアイスダンスを始めるが、そこで3人の気持ちが交差する。マクザム/6,600円(BD)。

8位 『夢』

「とにかく色彩が素晴らしい。幻想的で本当に夢を見ているよう。アメリカの大学に留学していた頃、アメリカ人の教授が絶賛していた。観るたびに涙が出ると言っていて忘れられない思い出です」。Ikalino(52歳)男性/Filmarks


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映画『夢』フライヤー
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『夢』(120分/'90/日米合作)監督/黒澤明

ここは黒澤明の夢の中。狐の嫁入りを基にした「日照り雨」、雛祭りの一日を描く「桃畑」、遭難した男が主人公の「雪あらし」など、黒澤自身が見た夢を基にした8話構成。デジタル配信中。ハピネット/5,170円(BD)。

9位 『おくりびと』

「納棺師の仕事の所作や、田舎の風景、演奏シーンなどとても美しかったです。大切な家族を見送るのは悲しいですが、納棺師という仕事があることを知り、故人の尊厳を最後まで傷つけない仕事としての美しさを感じました」。あおい(51歳)女性/BRUTUS.jp


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映画『おくりびと』DVD
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『おくりびと』(130分/'08)監督/滝田洋二郎

プロのチェロ奏者の大悟(本木雅弘)は、楽団の解散により故郷の山形へ帰ることに。「旅のお手伝い」と書かれた求人に応募するものの、それは棺へ遺体を入れる「納棺師」という仕事だった。セディックインターナショナル、小学館/4,180円(DVD)。

10位 『日日是好日』

「日本家屋の静けさの中に響く水の音や茶道の所作一つ一つが美しい。とても静かな映画ながら、趣味や大切に思っているものがあることは毎日を過ごす中でとても心強いことなんだとそっと気づかせてくれる映画です」。くらら(36歳)女性/Filmarks


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映画『日日是好日』ブルーレイ
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『日日是好日』(100分/'18)監督/大森立嗣

大学生の典子(黒木華)は従姉妹の美智子(多部未華子)と茶道を習い始める。その間に起きる就職の挫折や失恋、父との別れ……。そんな悲しみの中でも、いつも側には“お茶”があるのだった。樹木希林も出演。ハピネット/5,280円(BD)。

番外 『蔵のある街』

「住んでいる街で、当たり前すぎて見えていなかった景色が描写されていた」「倉敷美観地区の美しさを永遠に引き継いでいきたい」「監督が地元出身だからこそ知る景色が映っている」など、舞台となった岡山県からの票が極地的に集まったのが本作だ。倉敷市に住む有志の声から製作がスタートし、すべて倉敷で撮影された作品。特定の地域で地元を描いた映画が盛り上がるという現象が反映された出来事だった。


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『蔵のある街』(103分/'25)監督:平松恵美子

倉敷の高校生の蒼、紅子、祈一は小学生からの幼馴染み。ある日、紅子の兄で自閉スペクトラム症のきょんくんが神社の高い木の上で叫んでいるところに出くわす蒼と祈一。とっさに彼が思い出していた打ち上げ花火を見せると約束してしまう。

記憶に新しいヒット作と、名作が混在する結果に

美しい邦画についてのアンケートで1位の票を集めたのは、2025年6月公開にもかかわらず今なおヒットを続ける『国宝』だ。

『アデル、ブルーは熱い色』('13/仏)でカンヌ国際映画祭の最高賞であるパルムドールを受賞した撮影監督、ソフィアン・エル・ファニによる映像美はもちろんのこと、歌舞伎という伝統芸能が本質的に持つ美しさに気づけた、といったコメントも多く寄せられた。

ヴィム・ヴェンダース監督が東京で作り上げた『PERFECT DAYS』もまた、海外の視点で日本を見つめた作品と言える。寄せられたコメントも、普段見ているのとは違う、新鮮な東京の景色がそこにあったという声が集まった。

記憶に新しいヒット作が並ぶ中、3位に堂々ランクインしたのが小津安二郎監督作の『東京物語』('53)だ。20〜30代の票を集めてランクインしたことも驚きの結果となった。

そして4位は岩井俊二監督の長編映画デビュー作『Love Letter』('95)がランクイン。北海道・小樽のロケーション撮影が美しい冬の名作は、国内だけでなく99年の韓国公開時でも100万人以上の観客を動員したが、今も変わらず支持を集めていることがわかった。

5位以降の結果にも、劇場・配信という映画視聴環境の多様さが反映された新旧混在のランキングとなっている。

*2025年9月27日から10月29日までの期間、全国の映画館とオンラインで行ったアンケートを集計しています。
*各映画館、サービスの情報はBRUTUS No.1043「美しき、日本映画。」(p.14~p.15)に掲載しています。

今回のアンケートに協力してくれたのは↓
函館市民映画館シネマアイリス(北海道)、シネマ・デ・アエル(岩手)、鶴岡まちなかキネマ(山形)、川越スカラ座(埼玉)、キネマ旬報シアター(千葉)、ユーロスペース(東京)、シネマヴェーラ渋谷(東京)、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下(東京)、下高井戸シネマ(東京)、シモキタ-エキマエ-シネマ『K2』(東京)、新文芸坐(東京)、早稲田松竹(東京)、目黒シネマ(東京)、Stranger(東京)、新潟・市民映画館 シネ・ウインド(新潟)、上田映劇(長野)、岐阜CINEX(岐阜)、伏見ミリオン座(愛知)、進富座(三重)、塚口サンサン劇場(兵庫)、シネマ203(和歌山)、シネマ・クレール(岡山)、キネマミュージアム(高知)、宮崎キネマ館(宮崎)、Filmarks(フィルマークス)

「Filmarks」にもアンケートに協力してもらいました

映画好きが観賞記録を記しておくのに広く利用されているアプリサービス「フィルマークス」にも、今回のアンケート企画に協力していただいた。気になる映画のレビューを見られるのはよく知られているが、タグ検索機能を使いこなせると、さらに楽しみが広がる。

例えばハッシュタグを付けて「#美しい」と検索をすると、「美しい」とタイトルにある作品や、ユーザーが「#美しい」と記した映画を探すことができる。紹介してきたようなランキングのほかの、美しい映画を簡単に探すことができるのだ。

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フィルマークス/国内最大級の映画・ドラマ・アニメのレビューサービス。作品のレビューを簡単にチェック・投稿できる機能をベースに、観賞記録、備忘録として利用されている。

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