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「遠距離で結婚とか無理」と言った俺→彼女より先に、異動希望の理由欄に書いた一行

  • 2026.11.5
ハウコレ

彼女にまだ言えていないことを、俺は異動希望の理由欄に先に書いていました。改札で言いそびれた続きを、彼女より先に会社へ伝えていたのです。

会社から、異動希望が通ったと知らせるメールが届きました。俺は手帳に挟んでいた申請書の控えを、もう一度広げました。そこには、彼女にまだ話していない1行が書いてあったのです。

理由欄の1行

異動希望を出したのは、彼女の街に行く前の週でした。希望先は、彼女のいる支店です。
同じ課になれば、仕事でも私生活でも彼女に気を遣わせるかもしれないと思い、希望部署には彼女とは別の課を書きました。
理由の欄には、「将来を考えている交際相手が同支店に勤務しているため」と書きました。まだプロポーズもしていないのに、会社には先に書いてしまったのです。
希望が通るかどうかも分からない段階で彼女に話せば、期待させるだけになるかもしれない。そう考えて、結果が出るまでは黙っていることにしました。

言葉が足りなかった改札

月に一度会っては、いつもの改札で別れる。その繰り返しが、もう限界でした。
「遠距離で結婚とか無理」
結果が出るまで黙ると決めていたのに、だからそっちに行く、と続けそうになったのです。
「それ、どういう意味?」と聞かれた瞬間、発車のアナウンスが流れました。
「ごめん、電車来る」
説明する時間も度胸もなく、俺は改札を抜けてしまいました。
それからは、あの一言をどう訂正すればいいのか分かりませんでした。普通に話せば、異動希望のことまで口にしてしまいそうです。返信は「了解」や「おつかれ」ばかりになっていきました。

彼女から届いたメッセージ

改札で別れてから数週間後、彼女からメッセージが届きました。
「異動のこと、課長から聞いた」
異動通知が出たのだと分かりました。
「実は自分から希望した」と打っては消し、「理由もちゃんと話す」と打って、また消しました。
結局送ったのは、これだけです。
「今度そっちに行ったとき、ちゃんと話す」

そして...

次の週末、改札の向こうに彼女が立っていました。
彼女の前まで歩いていくと、先に口を開いたのは彼女でした。
「無理って、別れるってこと?」
「違う」
すぐに首を横に振り、手帳から控えを取り出して、折り目を開いて渡しました。理由欄の「将来を考えている交際相手が同支店に勤務しているため」を読んだ彼女は、しばらく顔を上げません。
「遠距離で結婚とか無理、って言ったのは、遠距離のままじゃ無理って意味で」
言い訳のような説明を、彼女は最後まで聞いてくれました。返ってきたのは「先にこっちを言ってよ」という一言でした。
あの日の「無理」は、彼女との結婚ではなく、離れたままの毎日に向けた言葉だったのです。

(20代男性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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