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遠距離の彼に「会いに来るのはいつも私じゃん」と言った日、彼の部屋の棚で見つけた私の実家近くの店の紙袋

  • 2026.11.4
ハウコレ

彼の部屋の棚の奥に、見覚えのある店の紙袋が何枚も重ねてありました。用事があったとだけ言う彼に、それ以上は聞かずにいました。

新幹線を降りて在来線に乗り換え、彼の住む駅に着きました。遠距離になって1年半、この改札を通るのはもう何回目か分かりません。迎えに来た彼の顔を見て、ほっとしたのも最初だけでした。

いつも私

彼とは学生時代に知り合い、付き合って3年になります。私が仕事で遠くの街に移ってから、会いに行くのはずっと私の方でした。月に一度、仕事を終えてから新幹線に飛び乗るのが、すっかり習慣になっています。彼がこちらへ来てくれたのは、半年ほど前が最後でした。
彼の部屋で荷物を下ろしたとき、彼が言いました。
「来月も来れる?」悪気がないのは分かっています。それでも、新幹線の切符代と移動の時間が頭に浮かびました。「会いに来るのはいつも私じゃん」口に出すと、思っていたより強い声になりました。「ごめん」彼は目をそらしたまま、それだけ言いました。次は自分が行く、という言葉は最後まで出てきません。

棚の奥の紙袋

気まずい空気をごまかすように、持ってきたお土産を台所の棚にしまおうとしました。
扉を開けると、奥に紙袋が畳んで重ねてありました。物をため込まない彼にしては、きれいにそろった紙袋。どれも同じ色で、同じ柄です。
何の気なしに一番上の1枚を手に取ったとき、印刷された店の名前に目が留まりました。

実家の近くの店

それは、私の実家から歩いて数分の和菓子屋でした。ここから電車で1時間ほどの、小さな駅の前にある店です。支店はなく、母が親戚の家へ行くときの手土産は、いつもそこで買っていました。
重なっていた紙袋は、5枚ありました。
「これ、どうしたの?」
「ちょっと用事があって」
彼はそれだけ言って、紙袋を棚の奥に戻しました。
私の地元に、何度も足を運ぶ用事がある。会いに来てはくれないのに、そこへは通えるのか。地元の誰かに会っているのかと、考えたくない想像ばかりが浮かびます。そのあと2人で食べたごはんの味は、ほとんど覚えていません。

そして...

部屋に戻ると、テーブルの上で彼のスマホが鳴りました。画面には「お父さん」と表示されています。
彼はスマホを持ってベランダに出ていき、ガラス戸越しに声が聞こえてきました。
「はい、来週も行きます」
誰の「お父さん」なのか、来週どこへ行くのか。私には来てほしいと言いながら、彼はなぜ私の地元へ通い続けているのでしょうか。

(20代女性・会社員)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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