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台風30号接近! 強大化する台風の被害を減らす最新の方法を専門家が解説

  • 2026.11.2
cocreco写真:PIXTA

台風研究の第一人者であり、『講談社の動く図鑑MOVE はじめてのずかん てんき』の監修者である筆保弘徳(ふでやす ひろのり)先生に、子どもも大人も興味のある天気の現象について、お話をうかがいました。全3回の第1回は、台風について。

台風は強大化している

──先生、最近、台風の勢いが強くなったような気がします。進路も以前はこんなに関東を直撃したり、逆走したりすることはあまりなかったように思うのですが……。

筆保弘徳先生(以下筆保先生):たしかに、近年は非常に強い勢力で日本に接近する台風や、これまであまり見られなかった進路をたどる台風が注目されています。ただし、特殊な進路の台風が実際に増えているかどうかは、まだはっきりしていません。

地球温暖化による影響もあるでしょう。地球温暖化によって海面水温が上昇すると、台風が発達するためのエネルギーが増えると考えられています。一方で、温暖化によって大気の状態も変化するため、将来は台風の発生数が減少する可能性があります。しかし、発生した台風については、より強い勢力まで発達するものの割合が増えると予測されています。

──被害もこれからもっと大きくなるのでしょうか?

cocreco令和元年東日本台風の発生した令和元年の水害被害額が統計開始以来最大に ~令和元年の水害被害額(確報値)を公表~(国土交通省 Press Releaseより)

筆保先生:台風の予測技術や防災対策が進歩したことで、長期的には台風による人的被害は大きく減少してきました。一方で、近年は台風によって大きな経済的被害が発生することもあります。ですが、被害を減らす試みも始まっています。

台風の勢力を弱めて、激甚化する災害を減らしつつ、台風のエネルギーを活用して発電を行う「タイフーンショット」という研究です。

最新研究「タイフーンショット」

筆保先生:まず私たちは、航空機を使って台風の内部を直接観測する研究を進めています。台風の雲の中には、気温が0度より低くても凍らずに液体のまま存在する「過冷却水滴」があると考えられています。最近の航空機観測では、ドロップゾンデと呼ばれる観測機器を投下して、台風内部の気温や湿度、気圧、風などを測定しました。こうした観測データを使って、台風の内部構造や過冷却水滴の分布を詳しく調べています。

私たちは、この過冷却水滴を人工的に凍らせることで、台風の強さを変えられないかと考えています。数値シミュレーションでは、過冷却水滴を凍らせることによって、台風の中心気圧が一時的に上昇し、勢力が弱まる結果も得られています。ただし、これはまだ計算機の中での研究成果であり、実際の台風を弱めることができるかどうかは、これから検証していく必要があります。

──台風の力を弱める! そんなことができるとは思いませんでした。

筆保先生:これまでの台風防災は、台風の進路や強さを予測する「予報」と、堤防やダムなどを整備して被害を防ぐ「治水」が中心でした。私たちは、これらに加えて、台風そのものの勢力を弱めるという「新しい防災」を実現したいと考えています。この研究は、国の「ムーンショット型研究開発事業(ムーンショット目標8:気象制御)」の一環として進めています。まだ実現には多くの課題がありますが、将来、台風による被害を少しでも減らせるよう、研究を続けています。

cocreco2026年9月18日と19日に実施した台風の航空機観測。ドロップゾンデを投下し、台風内部の気温、湿度、気圧、風向き、風速などを直接観測した。 資料提供:筆保弘徳先生

──今回は、「台風」について、新しい制御の方法など最新の情報を教えていただきました。台風の被害を減らしたいと研究を進める「第3の防災」について、これからも注目していきたいと思います。

\\筆保弘徳先生が監修//

cocreco『講談社の動く図鑑MOVE はじめてのずかん てんき』
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