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「男なら奢って当然」と言った私→3週間前にあの店で会計を済ませていたわけ

  • 2026.11.4
ハウコレ

お手洗いに立つふりをして、私はレジの店員さんに小声で頼みごとをしました。それでもあの領収書は、私ではなく彼の手に渡ってしまい…。

3週間前、予約サイトで窓際の席と2人分のコースを予約しました。支払いもその場で済ませています。当日まで彼に気づかれないよう、会計済みであることは彼には伝えないでほしいと店にもお願いしていました。

3年間出しそびれた財布

付き合って3年、会計はいつも彼が持ってくれました。財布を出すたびに、彼は首を振ったのです。
ありがたい反面、申し訳なさが少しずつたまっていきました。翌週は、私たちが付き合い始めてちょうど3年の日です。少し早いけれど、今回の食事を3年分のお礼にしようと決めていました。
彼は記念日をあまり覚えていない人で、正直に話せば、止められるはずでした。だから当日は、最後まで彼が払うつもりでいられるような返事をしようと考えていました。

メニューの前で選んだ言葉

「今日は割り勘にしようかな」
彼が冗談を言ったので、用意していた言葉を返しました。
「男なら奢って当然」
口にした瞬間、さすがに言いすぎたと思いました。彼は笑ってみせました。
「冗談だって」
「ほんとに?」
そう返したものの、彼の笑い方がいつもと違って見えて、すぐに後悔しました。店員さんとの約束がちゃんと伝わっているか気になり、レジのほうを何度も見てしまいました。
デザートのあと、「お手洗い」と言って席を立ち、レジへ寄りました。「帰りに領収書だけ私へ渡してください」と、念のためもう一度お願いしました。

レジの前に先に立った彼

席に戻ると、彼はもう立ち上がるところでした。
「そろそろ出ようか」
彼は伝票を探し、見つからないまま先にレジへ歩いていったのです。追いかけたときには、店員さんがもう首を振っていました。
「お会計は、いただいております」
店員さんは慌てたのか、領収書をそのまま彼に差し出してしまいました。
「あ、それ」
伸ばしかけた手は、途中で止めたままでした。今さら取り返しても、遅いと思ったのです。
私が店員さんに小さく頭を下げたあと、彼が領収書を手にしたまま、こちらを見ているのに気づきました。

そして...

「家に着いたら、電話する」
そう言って改札の前で彼と別れ、部屋に着いてすぐ電話をかけました。翌週が3年目の日だということも、あの言葉がわざとだったことも、全部を話したのです。
「言い方、ほかになかったの」
電話の向こうで彼は少し笑い、それからしばらく黙りこみました。記念日を忘れていたことを、気にしている声に聞こえました。
あの領収書は、今も彼の財布に入ったままだそうです。
「男なら奢って当然」と言った私の3年分のお礼は、いちばん見られたくなかった彼の手に、領収書の形で渡ってしまいました。

(20代女性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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