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「猫を飼う女は寂しい女」と言った俺→ベッドの下の猫にささやいていた言葉

  • 2026.11.3
ハウコレ

あの日の言葉は、彼女ではなく昔の自分に向けたものでした。床に腹ばいになって、ベッドの下の猫に伝えようとしていたことを話します。

彼女の部屋のキャットタワーを見たとき、子どものころの家の匂いを思い出しました。共働きの両親の帰りを、毎日1匹の猫と待っていた家です。懐かしさと一緒に口をついて出たのは、昔言われた言葉でした。

教室で言われた言葉

「猫を飼う女は寂しい女」
小学生のころ、同級生から言われた言葉を変えたものです。
猫としか遊ばないやつは寂しいやつ、とよくからかわれていました。
猫が好きだと知られるのが恥ずかしくて、とっさに茶化してしまったのです。彼女が言い返します。
「この子、家族なんだけど」
「そういう意味じゃない」
それ以上説明すれば、自分の話をしなければなりませんでした。
実家の猫は、引っ越し先で飼えなくなり、親戚の家にもらわれていったのです。

床に座った理由

彼女の猫は、俺の足音を聞くだけでベッドの下に逃げていきました。
猫は自分から近づいてくる人を嫌うと、子どものころから知っていたのです。
だからソファではなく、ベッドの近くの床に座って、ただ待つことにしました。
初めて来た日も、本当はキャットタワーの爪とぎの跡ばかり目で追っていました。
猫の背中をなでながらその日の出来事を話すのだと、彼女から聞いたことがあります。
この子は、彼女の大事な話し相手なのだと思いました。
俺のことを、この子にも少しずつ知ってもらいたかったのです。

ベッドの下にささやいたこと

ある週末、彼女が台所に立ったすきに、床に腹ばいになりました。
彼女が戻ってくる足音には、まったく気づいていませんでした。
「あの日はごめん。俺も、ずっと猫と2人だったんだ」
小さな声でそう話しかけると、猫がほんの少しだけ前に出てきます。
そのとき、後ろから彼女の声がしました。
「何してるの」
「別に」
とっさにそう返して、体を起こしました。見られていたと分かって、顔が熱くなりました。
膝のほこりを払うふりをして、彼女と目を合わせないようにしていたのです。

そして...

お茶を受け取ってから、床に座り直して彼女を見上げました。
「笑わないで聞いてくれる?」
子どものころの猫のことも、からかわれていたことも、全部話したのです。
彼女は笑わずに聞いてくれましたが、猫はその間に一度だけ出てきて、俺の靴下をかいでまた戻っていきました。
ソファではなく床に座っていた理由も、そのとき一緒に話しました。
懐いてもらえる日は、まだ先のようです。
寂しかったのは猫を飼う女ではなく、猫に背を向けられて、毎週床に座り込んでいた俺のほうでした。

(20代男性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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