1. トップ
  2. エンタメ
  3. エログロだけじゃない!数々の名作(?)や才能を輩出してきたカルトムービー量産工場「トロマ」の豆知識

エログロだけじゃない!数々の名作(?)や才能を輩出してきたカルトムービー量産工場「トロマ」の豆知識

  • 2026.11.1

伝説のカルト作品として愛され続ける『悪魔の毒々モンスター』(84)を復活させたリブート版『トキシック・アベンジャー』が11月13日(金)より公開。さらにU-NEXTで作品が一挙配信されたことがSNS上で話題になるなど、このところ日本で盛り上がりを見せているトロマ・エンタテインメント。

【写真を見る】リブート版『トキシック・アベンジャー』が公開されるいま、トロマの豆知識をチェック!

【写真を見る】リブート版『トキシック・アベンジャー』が公開されるいま、トロマの豆知識をチェック! [c]2025Legendary.All Rights Reserved.
【写真を見る】リブート版『トキシック・アベンジャー』が公開されるいま、トロマの豆知識をチェック! [c]2025Legendary.All Rights Reserved.

グロ描写や下品なユーモア、ヌードをふんだんに盛り込み、“B級を超えたZ級”と称される作品を量産する映画会社としてファンにはおなじみだが、知らない人も多いことだろう。ここでは改めて基礎知識から日本の人気アニメとの関係といった意外なトリビアまで、トロマについておさらいしていきたい!

ロイド・カウフマンを中心に、1974年に創設!

トロマ創業者のロイド・カウフマンとマイケル・ハーツ。1998年の『悪魔の毒々プラトーン』撮影時 [c]Troma Films/Courtesy Everett Collection
トロマ創業者のロイド・カウフマンとマイケル・ハーツ。1998年の『悪魔の毒々プラトーン』撮影時 [c]Troma Films/Courtesy Everett Collection

まずトロマを語るうえで欠かせないのが、創業者ロイド・カウフマンの存在だ。1974年に、映画プロデューサーのマイケル・ハーツと共に映画製作、配給会社のトロマ・エンタテインメントを立ち上げ、低予算のインディペンデントなホラーやSFの製作、配給をスタート。

ファストフード産業への皮肉が込められた『チキン・オブ・ザ・デッド 悪魔の毒々バリューセット』 [c]Troma Films/Courtesy Everett Collection
ファストフード産業への皮肉が込められた『チキン・オブ・ザ・デッド 悪魔の毒々バリューセット』 [c]Troma Films/Courtesy Everett Collection

自身もメガホンを握り、「悪魔の毒々モンスター」シリーズをはじめ、『カブキマン』(90)、『チキン・オブ・ザ・デッド 悪魔の毒々バリューセット』(08)などの代表作を監督した。

『チキン・オブ・ザ・デッド 悪魔の毒々バリューセット』の撮影時のカウフマン [c]Troma Films/Courtesy Everett Collection
『チキン・オブ・ザ・デッド 悪魔の毒々バリューセット』の撮影時のカウフマン [c]Troma Films/Courtesy Everett Collection

ちなみにカウフマンはキャリア初期にはフリーランスとしてハリウッドの現場を経験。『ロッキー』(76)では酔っ払い役で出演しているほか、スタッフとしてもプロダクションマネージメントを担当するなど、名作の誕生に関わった。

おっぱい…?中国…?トロマという名前の意味とは

そんなカウフマンとハーツが命名したのが、「トロマ(Troma)」という社名。日本人にとっては、“とんま”や“のろま”を想起させるなんとも絶妙な名前だ。

お色気といった要素もトロマの持ち味だ(『チキン・オブ・ザ・デッド 悪魔の毒々バリューセット』) [c]Troma Films/Courtesy Everett Collection
お色気といった要素もトロマの持ち味だ(『チキン・オブ・ザ・デッド 悪魔の毒々バリューセット』) [c]Troma Films/Courtesy Everett Collection

「長年、意味を聞かれた際に、古代ラテン語で“セルロイドの卓越性”を意味する言葉と答えていた」「“Tits R Our Main Asset(おっぱいこそ我々の大きな強み)”の頭文字と噂された」「中国で産出される金属合金の名前として実在することを知った」など、カウフマンは「DVD Talk」のコラムで、冗談めかして語っていたが、特に意味はなし。なんとなく醜い言葉の発音をハーツと考えていたなかで、それとなくたどり着いたそうだ。

『悪魔の毒々モンスター』はアニメやゲームにもなった!

ホラー、SF、セックスといった、あらかじめある程度の客層が決まった、採算が取れるテーマで作品を作りだしてきたトロマにとって、最大のヒット作となったのが、1984年の『悪魔の毒々モンスター』だ。

シリーズ化するメガヒットコンテンツとなった『悪魔の毒々モンスター』 [c]Troma Films/Courtesy Everett Collection
シリーズ化するメガヒットコンテンツとなった『悪魔の毒々モンスター』 [c]Troma Films/Courtesy Everett Collection

清掃員のメルヴィンが有毒廃棄物によって醜いモンスター、トキシーへと変貌を遂げ、悪を成敗する。50万ドルで製作されたこの異色のヒーローものは予想外のヒットを記録。3本の続編とリブート版が作られた。

3作目『悪魔の毒々モンスター 毒々最後の誘惑』など多くの作品、コンテンツが製作された [c]Troma Films/Courtesy Everett Collection
3作目『悪魔の毒々モンスター 毒々最後の誘惑』など多くの作品、コンテンツが製作された [c]Troma Films/Courtesy Everett Collection

さらにはアニメ「悪魔の毒々モンスター 毒々あにめいしょん! 」やミュージカル、あのマーベルやアホイコミックスから出版された漫画、ゲームやフィギュアといった玩具…とフランチャイズ化するヒットコンテンツに。世界中で70を超える企業がトキシーやテレビシリーズといったトロマ・ブランドに基づいた商品を製造しているそう。実現しなかったアニメのシーズン2のプロットを引き継いだゲームが今年リリースされた。

悪趣味なだけでなく、社会的メッセージも

この「悪魔の毒々モンスター」シリーズが、環境問題や弱者への視点を孕んでいるように、悪趣味なユーモア、描写の奥に社会的なエッセンスも盛り込んでいるのが、トロマ映画の特徴の一つだろう。

『悪魔の毒々ハイスクール』など、社会的なメッセージも作品に込められている [c]Troma Films/Courtesy Everett Collection
『悪魔の毒々ハイスクール』など、社会的なメッセージも作品に込められている [c]Troma Films/Courtesy Everett Collection

『Class of Nuke 'Em High』という原題を持つ『悪魔の毒々ハイスクール』(86)では、原発近くの高校の生徒たちが放射能の影響を受けて変異するという原発問題を戯画化。聖地に建てられたファストフード店で、チキン・ゾンビが大暴れする『チキン・オブ・ザ・デッド 悪魔の毒々バリューセット』では利益優先主義のファストフード産業に冷ややかな眼差しを向けるなど、あえて下品な娯楽にしつつも主張を盛り込んだ骨のある作品が楽しめる。

映像を使い回す財テクで低予算を実現

そんなトロマといえば、いかにして低予算で映画を作るかということを極めた“財テク”もお手のもの。その最たる例が、過去の作品でも使った映像を再度用いる、いわば“トロマ式リサイクル”だ。

カウフマンが監督した人気作『カブキマン』は、ギャガとナムコが関わった日米合作映画 [c]Troma Films/Courtesy Everett Collection
カウフマンが監督した人気作『カブキマン』は、ギャガとナムコが関わった日米合作映画 [c]Troma Films/Courtesy Everett Collection

例えば、日本のナムコ(現バンダイナムコエンターテインメント)が半分を出資したことでそれまでより潤沢な予算が準備できた『カブキマン』では、1978年型フォード・サンダーバードが車に衝突し、スローモーションで360度回転し、地面に着地して爆発するというド派手なカークラッシュを撮影。

ゴージャスなシーンだけに、ほかの映画にもアレンジして流用。幸せそうな家族の車のボンネットに人間の生首が飛び込んできたことで事故へとつながる『トロメオ&ジュリエット』(96)をはじめ、『テラー・ファーマー』(99)、『悪魔の毒々モンスター 新世紀絶叫バトル』(00)などへと受け継がれた。

ジェームズ・ガンをはじめ、いまをときめく才能を輩出!

名作をトロマ流の悪趣味ギャグ満載でパロった『トロメオ&ジュリエット』 [c]Troma Films/Courtesy Everett Collection
名作をトロマ流の悪趣味ギャグ満載でパロった『トロメオ&ジュリエット』 [c]Troma Films/Courtesy Everett Collection

先ほど名前を出した『トロメオ&ジュリエット』。この作品の監督をノンクレジットながら担当し、また脚本や製作総指揮、出演(カークラッシュする家族の父親役)としても名を連ねているのが、DCスタジオの代表を務めるなど、いまやビッグな存在となったジェームズ・ガンだ。

ジェームズ・ガン監督もトロマ出身。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』にはカウフマンもカメオ出演してるぞ!
ジェームズ・ガン監督もトロマ出身。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』にはカウフマンもカメオ出演してるぞ!

トロマのもとで映画のキャリアをスタートさせ、カウフマンとの共著「All I Need to Know About Filmmaking I Learned from the Toxic Avenger」も手掛けたガンは、羽ばたいたあともカウフマンへの恩を忘れておらず、『スリザー』(06)から『スーパーマン』(25)に至るまで多くの作品でカウフマンをカメオ出演させているのは有名な話。

このほかにも多くの才能がトロマから巣立っており、「ホステル」シリーズで知られるイーライ・ロス監督は学生時代にトロマの現場経験があり、『悪魔の毒々モンスター 新世紀絶叫バトル』に端役で出演。またトロマの教材ビデオ『ロイド・カウフマン直伝!“Z級”映画の作り方』(09)にも本人として出演している。

「サウスパーク」のクリエイターコンビ、トレイ・パーカーとマット・ストーンの『カンニバル!THE MUSICAL』 [c]Troma Films/Courtesy Everett Collection
「サウスパーク」のクリエイターコンビ、トレイ・パーカーとマット・ストーンの『カンニバル!THE MUSICAL』 [c]Troma Films/Courtesy Everett Collection

「サウスパーク」で知られるトレイ・パーカーとマット・ストーンも、頭角を現すきっかけとなった自主映画『カンニバル!THE MUSICAL』(93)を1996年にトロマが配給したというつながりを持つ。彼らは応募も鑑賞も無料の自主制作映画の祭典としていまも続く「トロマダンス映画祭」の構想を提案するなど、カウフマンとの交流が深いことでも知られている。

あの『となりのトトロ』をアメリカで配給!

カウフマンが尊敬するB級映画の帝王ロジャー・コーマンが『風の谷のナウシカ』をアメリカで配給したことに影響を受けたとも言われている(『となりのトトロ』) [c] 1988 Hayao Miyazaki/Studio Ghibli
カウフマンが尊敬するB級映画の帝王ロジャー・コーマンが『風の谷のナウシカ』をアメリカで配給したことに影響を受けたとも言われている(『となりのトトロ』) [c] 1988 Hayao Miyazaki/Studio Ghibli

映画の製作に加え、配給も手掛けているトロマ。膨大なライブラリーのなかには有名俳優のキャリア初期作品も多く、カウフマンとハーツが監督した『初体験物語/ファースト・ターン・オン』(83)はヴィンセント・ドノフリオの映画デビュー作。アンクレジットだが、マリサ・トメイは『悪魔の毒々モンスター』に出演している。

いまのケビン・コスナーの活躍があるのもトロマのおかげ?(『マリブ・ビーチ物語』) [c]Troma Films/Courtesy Everett Collection
いまのケビン・コスナーの活躍があるのもトロマのおかげ?(『マリブ・ビーチ物語』) [c]Troma Films/Courtesy Everett Collection

ほかにもケビン・コスナーの映画デビュー作『マリブ・ビーチ物語』(81)やサミュエル・L・ジャクソンが出演した『サミュエル・L・ジャクソン in ブラック・ヴァンパイア』(90)など、数々の作品を世に送りだしてきた。アメリカでジブリ人気が高まる前に『となりのトトロ』(88)を配給し、劇場公開させたというから驚きだ。

50年以上にわたり、独自の路線を貫きながら数々の名作(?)や才能を輩出してきたトロマ・エンタテインメント。『悪魔の毒々モンスター 4Kレストア版』の11月20日(金)の公開など、改めて日本で盛り上がりを見せるいまこそ、個性豊かな作品たちをチェックしてみてほしい!

文/武藤龍太郎

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ