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【不登校】わが子が「学校に行きたくない」と言い出した! 親が知るべき「居場所」選び方のポイント[専門家3者対談]

  • 2026.10.31
cocrecoイメージ写真:years/イメージマート

不登校35万人時代、子どもが「学校に行きたくない」と言い出したとき、「学校の代わりになる場所がどこかないか」とあせる親は多いでしょう。最近ではフリースクールもその存在が広く知られるようになりました。

学びの現場を取材し続ける教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏と、NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』に出演した数学教師で、思考力教室「いもいも」創業者・最高教育責任者で、平日昼間の学びの場「いもいもデイクラス」も運営する井本陽久氏、4000人以上の子どもを指導しフリースクール「花まるAll Inclusive School」を立ち上げた相澤樹氏。

教育と子どもたちに真剣に向き合い続ける3人が、「フリースクールの今と選び方」について語り合いました。

※2026年8月に花まる学習会の「花まる子育てカレッジ」にて配信された3者対談を一部抜粋してお届けします。

プロフィール

●おおたとしまさ

教育ジャーナリスト。1973年東京生まれ。リクルートから独立後、教育に関してさまざまな観点から取材を行い、著書は90冊以上。どこの組織にも属さない在野の視点で現代の教育への考察・提言を続けている。メディアへの出演や講演も多数。中高教員免許をもち、小学校教員や心理カウンセラーとしての経験もある。

●井本陽久(いもと・はるひさ)

数学教師、思考力教室「いもいも」創業者・最高教育責任者。子どもが自分の感覚を拠り所に、試行錯誤しながら考え続ける授業が注目され、NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』に出演。トップ進学校・栄光学園の数学教師を経て、2016年「いもいも」をスタート。

●相澤樹(あいざわ・たつき)

フリースクール「花まるAll Inclusive School」(花まるAIS)代表。これまでに3歳から中学生まで4000人以上の子どもたちを指導。2025年、不登校や行き渋りの子どもたちが安心して挑戦できる学びの場をめざしたフリースクール、花まるAIS(アイス)を創設。現在は、流山おおたかの森校(千葉)、武蔵浦和校(埼玉)、武蔵小杉校(神奈川)、三軒茶屋校(東京)、門前中町(東京)を開校(2026年9月時点)。

「居場所重視」か「学び重視」か 多様な学びの場

司会:今、学校の代わりとなるフリースクールがたくさんできています。おおたさんは著書『フリースクールという選択』(講談社)で、フリースクールを徹底取材されましたが、そもそもどんな場所なのか、どう選べばいいのか、どんな子が合うのかなどを教えていただけますか。

おおた:一般的に、文科省が定めている法律に基づいた学校(一条校)ではない学びの機関のことを、広い意味でフリースクールと呼んでいます。

フリースクールの選び方についてはいろいろな視点があるんですよ。私の本の中でもいろんな種類のフリースクールを取り上げ、5つくらいの観点で分類しています。

まず一つ目は「居場所」か「学び」の場か。子どもたちがそこで1日中、好きなことをやって安心できる場所であることを重視したのが「居場所」。一方で、ここは学ぶところだと「学び」を重視している場所もあります。その学びの意味はすごく広いのですが。

もう一つは「学校っぽい」か「学校っぽくない」か。一般的な学校じゃないにしても学校っぽい環境へ毎日通ってほしいという親御さんのニーズもあります。逆に学校がイヤになった子たちが来る場所なのだからと、学校っぽさをできるだけ漂白したフリースクールもあります。

あと、運営する団体が、個人だったり、不登校の親の会のようなところがやっていたり、大きな通信制高校の付属だったり、経営母体の大きさも違う。

また、子どもたちがどれぐらいの人数で一緒に学ぶのか。フリースクールには大人数のところから、マンツーマンのところまである。大勢がいいか、一人がいいか、子どもによって違いますよね。

あと、元気になったらまた学校へ戻ったり、別のフリースクールとの掛け持ちも可能な中継地点的なフリースクールと、元気になっても一緒に卒業まで学びましょうという継続型の違い。

継続型でわかりやすいのが「オルタナティブスクール」です。オルタナティブスクールは不登校の受け皿というわけではなく、一般的な学校とは違う教育理念を掲げ、その教育に賛同するご家庭のお子さんが通っています。

このようにいろいろありますが、それぞれに長所と悩ましい点があります。

司会:不登校の子どもたちの学びの場を運営されている、井本先生と相澤先生はいかがでしょう。

井本:僕がやっている「いもいもデイクラス」は、月曜から金曜まで通うような学校と同じ形ではなく、好きな教室ごとに入るシステムです。いくつかの校舎があって、好きな曜日に好きな教室へ申し込めます。

学校の学びがおもしろくない、苦しいと、水曜日に「いもいもデイクラス」の数理教室だけ来て、あとは学校へ行ってるという子もいます。

僕が知る範囲では、学校で行われている学びをある程度前提にして、ペースや形を変えているフリースクールも多いと思います。うちの場合は、「そもそも学びってなんだ」っていう考えから入っています。

すでに正解がある問題を与えられ、答えを再生する学びではなくて、自分でああでもないこうでもないって考えながら、自分なりに真理ににじり寄っていくような学びです。教材も授業も全部自分たちでデザインしてやっています。

相澤:花まるAll Inclusive School(以下:アイス)は、「居場所」か「学び」かでいうと、日中は「学び型」でかなり学校に近いやり方をしています。

朝の会から始まって、基本的な計算とか発声とかをみんなで一緒にやる時間があり、午前中は学習指導要領に基づいた勉強をやります。受験を目指している子も多いので学習を進めたり、子どもたちに合わせ個別最適な学びを目指しています。

そして午後2時半になると「ホワイトキャンバス」という名の放課後の時間です。この時間は完全に「居場所型」になります。子どもたちが「外へ行きたい!」と言ったら外へ行って遊びに行くなど、子ども主導でやりたいことをやります。

おおた:アイスは、学校と同じように机と椅子が並んでいて、一番前に先生が立ち、決まった時間割りと10分休憩があったり、ものすごく学校っぽいスタイルなんです。

ただ、始業時間に遅れてきても「遅刻じゃないか!」なんて絶対言わないし、授業中にちょっと喉が渇いたら後ろへ行って水を飲んだり、トイレへ行ったりが気楽にできる。

学校にありがちな、管理したい側の理屈で「誰が歩いていいって言った?」と言ったりするような窮屈(きゅうくつ)さがないんです。ちょっとした遊びの部分を残すことで、一般的な学校はキツくて行けなくなった子たちがこんなに適応できるんだというのはびっくりしました。

子どもをフリースクールに通わせている保護者の方から「勉強は大丈夫なんでしょうか」って質問がよく出てきますが、アイスの授業を見てたら、一般的な学校よりよっぽど効率的に学力が伸びると思いましたね。

一方、いもいもデイクラスは、そういった枠を度外視して、違う次元での学びを追求してますよね。

パソコンに例えるなら、いろんなアプリを入れるとき、従来の学校は決まったインストール方法しかしてなくて、それがうまくいかないケースが多々あった。だけどアイスでは、個別にインストールの仕方を工夫することができている。それで子どもたちもうまくやれている。

いもいもデイクラスは、そもそもアプリをインストールしようとすらしてなくて。子どもたちの思考のCPU(パソコンの頭脳的パーツ)のようなところをどうやったらマックスに働かせることができるかを追求しているんですね。

「渡り鳥」のように依存先を増やしていい

司会:幅広いフリースクールの中から、わが子に合った場所をどう探せばいいんでしょうか。

おおた:フリースクールだけじゃなく、中学受験の学校選びも同じだと思うんですけど、親はつい「わが子に合う学校がどっかにある」って思いがちですよね。でもそんなものはないんですよ。

結婚相手を見つけるのと一緒で、どっかに白馬に乗った王子様が現れるとか、僕だけの理想のプリンセスにいつか出会えるはずとか妄想しますよね。でもそんなことはないですよね。

学校もパートナーも最初はいいなと思うところを見つけて惹かれるんだけど、当然、嫌な面もあるんです。だけどそれ以上にいいところを見つけていく努力をお互いにできるか。そこが大事なわけで。

学校選びには正解がないことをまず前提にしなければいけない。それはフリースクール選びも一緒だと思います。

特に不登校の子ならば、その子の状況や今の気持ち、辛さはいろいろ違う。その「場」が合うかよりも、「タイミング」のほうが重要です。だからその子の状況に合わせていろんなフリースクールへ渡り鳥のように行かせてみたらいいんじゃないでしょうか。

水曜日は、いもいもデイクラスへ行く、月・火は頑張って学校へ行く。そして少し元気になってきたら毎日アイスへ行ってみようとか。

「自立っていうのは依存先を増やすことだ」と言いますけど、「ここがベスト」と決めなくてよくて、「こういうときにはここを利用できそう」といつでも柔軟に変えられる場が複数あることが、ものすごく力強いと思います。

井本:まさにそうですね。学校以外の場へ行ってみて、なんかつまんないからいいやって手放すのも自分の感覚じゃないですか。

「これおもしろそう」と手を伸ばす、「もういいや」ってなったら手放して、さらに別のものに手を伸ばせるか。「いいと思うほうをやればいい」を親も子もわかっておくのが、すごく大事って思いますね。

おおた:僕が取材したフリースクールには、地域のフリースクール同士で連絡取り合っているところもありました。

「この子はあっちのフリースクール向きだな」と感じたら、そこを紹介するんです。お客さんの取り合いなどとは考えず、ネットワークとして、子どもをサポートしようって考えてるんですよね。

1つのフリースクールで1人の子どもをずっとカバーするっていうのも結構無理があり、それをやろうとすると、手段が目的化しがち。だからこそ渡り鳥です。いろいろな居場所があるっていうことは、子どもにとっても親にとっても何よりの安心材料になると思います。

相澤:行ける先が多いって大事だなと感じてます。実はアイスにも、いもいもデイクラスと掛け持ちしている子がいるんです。どっちにも居場所があって、やりたいことがあって、イキイキとしていられる。それがすごく大事なことで。

おおた:そう、週に1回だけフリースクール行っていた子が、そのうち「じゃあ週1回は学校にも行ってみようか」となったりするしね。

井本:本当にそうなんです。学校が息苦しい場所じゃなくなったりする子もいるんです。

おおた:居場所が多いと余白ができるから呼吸ができる。学校は毎日6時間あって余白がないけれど、そういう居場所を挟むことによって修復する時間ができて、学校も利用できるようになる。逆説的にこれもあるなと思いますね。

井本:実は今、学校は全てを学校だけでやるんじゃなくって、学校と家庭と、フリースクールなどの外の学び場、この3つが連携して、自分らしく学べるところで学べるようにする方向にも動いてるんですよ。

これが進むと、子どもの居場所がたくさんできる。そうなると「不登校」って言葉もなくなるんじゃないでしょうか。

─・─・─・─・─・─・第3回は、「親はどうすればいい?」「将来や勉強の不安」について、さらに深くお話を伺います。

cocreco“フリースクール探し”で最初に読む本、登場! 『フリースクールという選択』(著:おおたとしまさ/講談社+α新書)
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