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母に「ケチ」と言い返してきた私。母の引き出しで見つけた、私の名前が入った書類

  • 2026.11.2
ハウコレ

封筒に入っていたのは、私の名前が書かれた1枚の証書でした。「ケチ」と言い返すたび、母はなぜ何も言わずに背中を向けていたのでしょう。

テレビ台の右の引き出しを開けたのは、印鑑を探すためでした。パートに出ている母から、荷物の受け取りを頼まれていたのです。ところが、そこに入っていたのは印鑑だけではありませんでした。

口うるさい母に、いつも言い返していた

母は昔から、お金のことになると口うるさい人でした。部屋の電気を消し忘れれば「電気、つけっぱなしよ」と声が飛び、コンビニで飲み物を買えば「水筒があるでしょ」と言われる。

社会人になって自分で稼ぐようになっても、それは変わりませんでした。数日前も、通販で買ったワンピースの箱を開けていると、母が後ろから覗き込んできたのです。

「また買ったの?それ、本当に要る?」

「自分の給料なんだからいいでしょ。お母さんってほんとケチだよね」

私がそう返すと、母は何か言いかけて、そのままキッチンへ戻っていきました。似たようなやりとりは、もう何度目か分かりません。言い返したあとに残るのは、いつも少しの気まずさだけでした。

印鑑を探して開けた引き出し

久しぶりの休みの日、家でのんびりしていると、パート先の母からメッセージが届きました。

「荷物が届くから受け取っておいて。印鑑はテレビ台の右の引き出しね」

母の物が入った引き出しを開けるのは、ほとんど初めてです。中には細かな書類が、きっちり重ねて並べられていました。母らしいと思いながら、印鑑ケースを取り出します。

すると、その下に白い封筒が1枚。表には、母の字で私の名前が書かれていたのです。

封筒の中に入っていたもの

自分の名前が書いてある以上、私に関係するものなのでしょう。迷ったのはほんの少しの間で、気づけば封筒のふたを開けていました。

入っていたのは、保険の証書です。

契約者の欄には母の名前、被保険者の欄には私の名前。契約日をたどると、私が8歳のころの日付でした。母はこれを、20年近く払い続けてきたことになります。

そのとき、インターホンが鳴りました。ふたを差し込む余裕もなく封筒を引き出しに戻し、印鑑を持って玄関へ。荷物を受け取ってリビングに戻っても、もう一度封筒を開ける気にはなれませんでした。勝手に見てしまった後ろめたさのほうが、ずっと大きかったからです。

ソファに座ると、母に向けてきた言葉が1つずつよみがえってきました。「ケチ」と言うたび、母は言い返さずに背中を向けていました。何年も同じコートを着ているのも、外でお茶をすることがほとんどないのも、ただの性格だと決めつけていたのです。

そして...

パートから帰ってきた母は、リビングに入るなり言いました。

「電気、つけっぱなしよ」

見ると、私の部屋のドアの隙間から明かりが漏れています。いつもなら「今消そうと思ってた」と言い返すところでした。

「うん、ごめん。消すね」

私がそう返すと、母はこちらを見て、それから何も言わずにキッチンへ向かいました。冷蔵庫を開ける母の背中を見ながら、引き出しの封筒のことを考えていました。

20年近く払い続けてきたものを、母はどうして一度も口にしなかったのか。あの封筒を、いつ、どんな顔で私に渡すつもりだったのでしょうか。

(20代女性・会社員)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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