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「ワンランク上の葬儀にしたの」28万3000円を兄に立て替えさせた妹。だが、四十九日の席で黙りこんだ瞬間

  • 2026.10.30

葬儀の当日に聞いた金額

父が亡くなり、葬儀の手配は実家の近くに住む妹が引き受けました。

費用は兄妹で協力して負担するつもりでしたが、妹の暮らしに余裕がないこともあり、支払いはいったん私が立て替えることになっていました。

もちろん、父をきちんと送りたい気持ちは私も同じです。

ただ、費用については妹と相談しながら決めていくものだと思っていました。

ところが葬儀の当日、昼の式が始まる前のロビーで、妹が私のところへ来て言いました。

「お兄ちゃん、葬儀代は28万3000円ね。あとで払っておいて」

初めて聞く金額に、私は驚きました。

「えっ、そんなにかかったの?」

すると妹は、どこか得意げな様子で答えました。

「ワンランク上の葬儀にしたの」

「そうだったのか。でも、そういうのは先に相談してほしかったな」

「せっかくのお父さんのお葬式なのに、けちくさいこと言わないでよ。親戚にみっともないところは見せられないでしょ」

妹はそれだけ言うと、受付のほうへ歩いていきました。

立て替えること自体は了承していました。けれど、実際に支払う私に相談もなく費用を決めてしまったことには、納得できませんでした。

しかも、ありがとうのひと言もありません。

父のために立派な葬儀をしたい気持ちは分かります。それでも、費用を負担する側のことも少しは考えてほしかったのです。

叔母が手にしていた明細

葬儀の費用は、その後、私が支払いました。

それから四十九日の法要を終えたあと、親戚が実家に集まりました。

和室の座卓を囲んでいると、妹がみんなに聞こえる声で話し始めました。

「お父さんには、ワンランク上の葬儀にしてあげたの。やっぱり最後くらいはね」

妹は満足そうな表情を浮かべています。

確かに手配をしてくれたのは妹です。ただ、費用の相談もなかったことを思い出し、私は複雑な気持ちで話を聞いていました。

すると、座卓の向かいにいた叔母が、手元のファイルから紙を取り出しました。

叔母は保険の手続きを手伝うため、葬儀の明細と、私の名前が宛名に入った領収書を預かっていたのです。

叔母は書類に目を落とすと、妹に尋ねました。

「でも、費用はお兄さんが払ってくれたんでしょう?」

「え、それは……」

「立て替えてもらったんでしょう。お兄さんも協力してくれたんだから、自分一人で全部やったみたいに話すのは違うんじゃない?」

その一言で、座卓のまわりが静かになりました。

親戚たちの視線が妹に集まります。

妹は何か言いかけましたが、結局、言葉が出てきません。膝の上で手を握りしめ、うつむいたまま黙りこんでしまいました。

私は座卓の端から、その様子を見ていました。

自分から親戚に事情を話すつもりはありませんでしたが、叔母が私の協力にも触れてくれたことで、少し気持ちが軽くなりました。

立て替えた28万3000円は、幸い父が入っていた保険のお金で戻ってきました。

それでも、私にとってはお金が戻れば終わりという話ではありません。

それ以来、妹は親戚の前で葬儀の話をしなくなりました。

次に親戚が集まった日も、妹は台所に立ったまま、話の輪には入ってきませんでした。

叔母は何も言わず、私の湯のみにそっとお茶を注ぎ足してくれました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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