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理由を言わずに友人の引っ越し祝いを断った私。「予定があるわけじゃないんだけど」の続き

  • 2026.10.31
ハウコレ

「そういうことじゃないよ」と送ったきり、友人との2人のチャットは止まったままでした。消してしまった長い文に、本当は書きたかったことがありました。

始まりは1か月あまり前。グループチャットの通知が、続けて鳴りました。友人の引っ越しの報告と、それに「引っ越し祝いしようよ」と返した大学時代の仲間のメッセージです。何度か書き直してから私が送ったのは、断りの返事でした。

歩いて10分の距離

友人とは、大学を出てから4年間、歩いて10分の距離に住んでいました。仕事のあとに友人の部屋へ寄り、おかずを分け合う日が週に何度もありました。

友人が職場の移転で、電車で1時間ほどの町へ越すと聞いたとき、私は笑っておめでとうと言いました。大人が友人の引っ越しで寂しがるなんて子どもっぽい気がして、口に出せなかったのです。

だから祝いの日程が決まったとき、新しい部屋で乾杯する自分を想像して、うまく笑える気がしませんでした。去年の春、仲間の引っ越し祝いには一番乗りで行けたのに。あのときは、私の毎日から何も減らなかったからです。

返したのは「ごめん、その日は行けない」でした。

うまく選べなかった反応

個別のチャットで予定を聞かれ、「予定があるわけじゃないんだけど」とだけ返しました。嘘の予定も、本当の理由も書く気になれませんでした。日程をずらそうかと気づかってくれた友人には、「ううん、みんなで楽しんで」とすぐに打ちました。

当日は、家にいられずに外へ出ました。気づくと歩いていたのは、いつも友人の部屋へ通っていた道です。

グループチャットに届いた乾杯の写真を開いたのは、自分の部屋に戻ってからです。新しいカーテンの前で、友人は笑っていました。どの反応を選んでも嘘っぽく思えて、画面を閉じました。

しばらくして、友人の名前の通知が届きました。

打ち直してばかりの返事

「私の引っ越し祝いだけ、来たくなかった?」

友人からのそのメッセージに、違う、と伝えたくて長い文を打ちました。寂しかったこと。行けば、それが顔に出てしまうと思ったこと。読み返すと言い訳にしか見えず、全部消しました。「そういうことじゃないよ」とだけ送れたのは、だいぶたってからです。

それからの1か月、グループチャットには普段どおり返しても、友人との2人のチャットは開けないままでした。説明しなかった「そういうこと」が、ずっと宙に浮いていたからです。

休みの日に雑貨屋で、友人の新しい部屋に置いてもらうマグカップを1つ買いました。それを口実に、「今度の休み、そっちの駅まで行ってもいい?」と送りました。返事は「いいよ」だけでした。

そして...

改札を抜けると、友人が先に着いて待っていました。私は「あの日のこと、ちゃんと話したくて」と言うのがやっとで、マグカップの入った紙袋の持ち手を握り直しました。

部屋に着いて、カップを渡しながら打ち明けました。

「行ったら、おめでとうって顔できないと思ったの。遠くなるのが、思ってたより寂しくて」

友人は少し黙ってから、カップを棚の一番手前に置きました。

「次は、一番乗りで来てね」

友人がそう言ってくれて、私はやっと、いつもの顔で笑えました。歩いて10分が電車で1時間になっても、一番乗りは、これからも私の役目です。

(20代女性・販売職)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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