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中古車の値段が、2008年の約2.4倍に…新車の納期が戻っても安くならない“意外な理由”

  • 2026.11.8
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出典:PIXTA(※画像はイメージです)

かつては新車より手頃に買えるのが中古車の魅力でしたが、最近は中古車まで高くなったと感じることはないでしょうか。オークネットが2026年10月20日に公表した調査では、2026年9月の中古車市場価格指数が2008年7月の約2.4倍になり、業者間の平均取引価格も約1.6倍の約99万円となっています。

なぜここまで高くなったのか、新車・海外・買い替えという3つの視点からその背景を紐解きます。

新車が買えない人が中古車に集中? 価格高騰のきっかけ

中古車販売店をのぞいてみたとき、昔に比べて全体的に値段が上がったと感じる方もいるかもしれません。その感覚は、最新の調査の数字にも表れているようです。オークネットが2026年10月20日に公表した調査を見てみると、2026年9月の中古車市場価格指数は2.435で、2008年7月の約2.4倍になっていました。これは年式や状態といった車ごとの違いをならしたうえで、相場そのものがどれだけ動いたかを表す数字です。

一方、実際に取引された車の平均価格を示す指数は1.605で、こちらは約1.6倍となっており、2026年9月の平均取引価格は99万2,104円でした。どちらもオークネットの会員、つまり業者同士の取引をもとにした数字なので、販売店の店頭で支払う金額とは異なります。とはいえ、中古車の値段が長い期間をかけて大きく上がってきたことは、数字からも読み取れそうです。

では、なぜここまで値上がりしたのでしょうか。きっかけのひとつとしてよく挙げられるのが、2020年代前半に起きた新車の供給不足です。新型コロナウイルス感染症の拡大や半導体不足によって自動車メーカーの生産が滞り、車種によっては新車の納期が大きく延びました。しかし、通勤や買い物で車が欠かせない方にとって、購入を何カ月も先延ばしにするのは簡単ではありません。

そこで、納車を待つ代わりに、比較的早く手に入る中古車を選ぶ方が増えていきました。欲しい人が増えているのに売る車が十分になければ、価格は上がりやすくなります。さらに、安全装備の充実や物価の上昇などを背景に新車そのものの価格も上がっており、予算内で新車を買いにくくなった方が中古車に目を向けていることも、需要を支えていると考えられます。

一方で、現在は新車の供給は落ち着きを取り戻しつつあるようです。実際にメーカーの公表する納期目安などを確認してみると、以前のような極端な長納期はかなり解消されています。また、2025年以降は新車販売の回復に伴って中古車の供給も改善し、深刻だった車両不足はやや緩和したとのことです。それでも中古車の価格が高い水準にある背景には、国内とは別のところにある需要が関わっているとみられています。

日本の中古車を欲しがるのは日本人だけではない

実は、日本の中古車市場で車を仕入れているのは、国内の販売店だけではありません。業者同士が車を売り買いするオークションなどでは、海外への輸出を目的とする事業者も車を買い付けています。日本車は海外でも信頼性や耐久性の評価が高く、国や地域によっては中古車にも一定の需要があるためです。

そこに拍車をかけていると考えられるのが、円安です。外貨で支払う海外の買い手から見れば、円安が進むほど日本の中古車は相対的に割安に映る場合があります。
海外の事業者が高い値段で仕入れるようになると、同じ車を仕入れたい国内の販売店も、価格で競り合う必要が出てきます。その結果、国内の中古車相場が押し上げられる可能性があるのです。輸出のされやすさは車種や年式、輸出先の規制などによって違うため、すべての中古車が同じように影響を受けているわけではありませんが、日本の中古車販売店が日本の消費者に売るためだけに車を仕入れているわけではないというのは、意外な事実といえるのではないでしょうか。

そして、もうひとつの変化は、市場に出てくる中古車の数そのものにも起きているようです。

長く乗れるようになったことも中古車高騰の一因?

中古車市場に並ぶ車の多くは、持ち主が新車や別の中古車へ買い替える際に手放した車です。しかし新車の価格が上がると、買い替えを先延ばしにして、今の車にもう少し長く乗ろうと考える方も出てきます。例えば、以前なら5年ほどで乗り換えていた方が7年、9年と乗り続ければ、その車が中古車として市場に出てくるタイミングも遅くなります。

加えて、近年の車は耐久性や安全性能が向上しており、長く乗り続けやすくなっています。新車を買う人が減れば、下取りとして出てくる中古車も減りやすくなるため、とくに年式が新しく、内装にもまだ真新しさが残るような状態のよい中古車は、数が限られやすくなると考えられます。

ただし、長く乗られた車もいずれは中古車として市場に出てくるため、中古車全体が一律に足りなくなっているわけではありません。手放されるまでの期間が延びたことで、市場に並ぶ車の年式の顔ぶれが変わってきている、と捉えるのが実態に近いかもしれません。車が長持ちするようになったのは喜ばしい変化ですが、それが巡り巡って中古車の値段にも影響しているというのは、少し意外な話といえそうです。

では、新車の供給が元に戻れば、中古車の価格も下がっていくのでしょうか。

新車の供給が戻っても、中古車は安くならない?

ここまで見てきたように、中古車の値上がりは、半導体不足などによる一時的な新車不足だけで起きているわけではないようです。新車価格の上昇、円安による海外からの需要、そして買い替えサイクルの長期化など、いくつもの要因が重なっています。そのため、新車の生産が回復したからといって、中古車の価格がすぐに以前の水準まで戻るとは限りません。

一方で、為替が円高に振れたり、海外の需要が落ち着いたり、新車の販売がさらに回復したりすれば、中古車相場が落ち着いていく可能性もあります。価格の先行きを決めつけず、こうした条件の変化に目を向けておくと、中古車のニュースもぐっと読み解きやすくなるはずです。

また、今回の約99万円は業者間で取引された車の平均額で、販売店の店頭価格とは異なる点にも気をつけておきたいところです。店頭価格には仕入れ値に加えて、販売に向けた点検や仕上げの費用、販売店の経費などが含まれており、実際に支払う金額にはさらに諸費用が加わります。

中古車を検討する際は、相場全体のニュースだけで判断せず、同じ車種や年式、走行距離、修復歴の有無といった条件をそろえて比べ、諸費用を含めた支払総額を確かめることが大切です。値上がりの背景を知ったうえで、焦らずに納得のいく一台を探してみてください。


参考:2026年9月の「中古車市場価格指数」を公開(株式会社オークネット)



ライター:Masaki.N
自動車メーカーで車体開発エンジニアとして設計・先行開発に携わった後、マーケティング/市場リサーチ領域で商品導入・訴求設計にも従事。さらに自動車サブスク系ITベンチャーでマーケティングを担当し、ユーザー視点のコミュニケーション設計を経験。現在は自動車ライターとして、新車情報、技術解説、モデル比較、中古車相場、維持費、業界動向まで幅広く執筆。SEO記事・コラム・インタビューなど媒体横断で制作し、専門知識を生活者の言葉に翻訳して「買う/持つ」の判断を支援します。加えて、カスタムを含む実車取材・体験を通じて得た一次情報を記事に落とし込み、机上の知識にとどまらない“現場感”のある解説を強みとしています。


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