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いつも一番乗りだった友人が、私の新しい部屋にだけ来なかった。「予定があるわけじゃないんだけど」

  • 2026.10.31
ハウコレ

乾杯の写真に、反応が2つつきました。いくら待っても3つ目は増えないまま。グラスを洗い終えた私は、来なかった友人に送るつもりのなかったメッセージを打ち始めました。

引っ越しの日、最後の段ボールを潰し終えて、大学時代の4人のグループチャットに報告を送りました。すぐに仲間の1人が「引っ越し祝いしようよ」と返し、日程もその場で決まりました。ところが、いつも真っ先に返事をくれる友人から届いたのは、短い一言だけでした。

いつも一番乗りだった友人

大学のサークルで出会った4人は、卒業後も何かと集まる仲です。中でも友人は、前の家から歩いて10分のところに住んでいて、2人でごはんを食べる回数が一番多い相手でした。去年の春、仲間の1人の引っ越し祝いでも、友人は誰より先に着いていました。

そんな友人から届いたのが「ごめん、その日は行けない」という返事でした。

個別のチャットで「何か予定あるの?」と聞くと、「予定があるわけじゃないんだけど」とだけ返ってきました。「別の日にずらそうか?」と送ると、今度はすぐに「ううん、みんなで楽しんで」と届きました。

予定はない。日をずらす必要もない。それなら、私の部屋には来たくないだけだと読めてしまいました。新しい部屋を一番に見せたかった相手は、友人だったのに。

みんなの反応が並ぶ写真の下で

当日は、仲間の2人が来てくれました。鍋を囲み、新しいカーテンの色を褒められながら乾杯しました。

1人が「あの子が来ないの、珍しいね」とつぶやき、私は「予定があるみたい」とだけ答えました。予定はないと言われたことは話せず、伏せたスマホばかり気になっていました。

3人で撮った乾杯の写真をグループチャットに送ると、反応がすぐに2つつきました。2人を駅まで見送って戻っても、数は2つのままでした。

洗い終えたグラスを伏せてから、友人との個別のチャットを開きました。打っては消してを繰り返し、最後に残ったメッセージを送りました。

返ってきた短い否定

「私の引っ越し祝いだけ、来たくなかった?」

友人から返事が来たのは、ベッドに入ってだいぶたった頃です。「そういうことじゃないよ」。続きを待っても、それきりでした。

じゃあ、どういうことなの。そう打ちかけて、やめました。聞けば、友人にとって私の部屋はその程度だと確かめることになる気がしたのです。

それからの1か月、グループチャットでは普段どおりにやりとりしても、2人だけのチャットは止まったままでした。

そんなある日、友人から「今度の休み、そっちの駅まで行ってもいい?」と届きました。「いいよ」とだけ返しました。

そして...

約束の日、新しい最寄り駅の改札の前に立ちました。現れた友人は、小さな紙袋を両手で持っていました。

「あの日のこと、ちゃんと話したくて」

そう言って、友人は紙袋の持ち手を握り直しました。

部屋に着くと、友人はマグカップを差し出して、あの日来なかった理由を話してくれました。私は少し黙ってから、そのカップを棚の一番手前に置きました。

「次は、一番乗りで来てね」

私がそう言うと、友人はやっと、いつもの顔で笑いました。

いつも一番乗りだった友人が、あの日だけ来なかった理由。それは、私が1か月思い込んでいたものとは正反対のものでした。

(20代女性・事務職)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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