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Spotifyが不正再生を黙認?ドレイクの再生回数水増し疑惑を巡る訴訟が棄却

  • 2026.10.28

ドレイクらの楽曲がボットによって数十億回も不正に再生されているにもかかわらず、Spotifyが黙認していると訴えた集団訴訟が、現地時間10月26日、米連邦地裁で棄却された。今回は訴状の再提出を認めない形での判断となり、約1年間にわたる連邦地裁での審理に終止符が打たれた。(フロントロウ編集部)

「見て見ぬふり」と訴えたのはラッパーのRBX

訴えを起こしたのは、スヌープ・ドッグのいとこでもあるラッパーのRBX(本名エリック・ドウェイン・コリンズ)。2025年11月、カリフォルニア州の連邦地裁に集団訴訟を起こし、Spotifyが人気アーティストの不正再生を黙認することで、何万人ものアーティストが本来受け取るべき印税を失っていると主張した。

Spotifyのストリーミング収益は、一定期間の収益を再生シェアなどに応じて権利者に分配する仕組みになっている。そのため、不正な再生回数が増えれば、正規の再生に対して分配される収益が減る可能性がある。RBX側は、Spotifyの不正対策は「見せかけにすぎない」と主張。偽のユーザーが増えるほど広告収益も増えるため、Spotifyにはボットによる不正再生を放置する動機があるとまで訴えた。

ドレイクは被告ではなく、本人が不正に関与したとして訴えられたわけでもない。しかし、訴状ではドレイクが問題の象徴として繰り返し名指しされ、「史上最も再生されたアーティストであるドレイクの楽曲について、数十億回の不正再生が発生している」と記されていた。

米The Hollywood Reporterによると、訴状では、2022年1月から2025年9月までにSpotifyで記録されたドレイクの楽曲の再生回数約370億回のうち、相当数がボットによるものだったと主張。さらに、2024年のある4日間には、ドレイクの楽曲「No Face」の再生回数のうち少なくとも25万回がトルコから発生していたにもかかわらず、VPNを使ってイギリスからの再生に偽装されていたと訴えていた。ただし、こうした数字を裏付ける具体的な根拠は、訴状では示されていなかった。

6月にも棄却、修正版では「6億ドルの被害」を主張

この訴訟は、2026年6月22日にも一度棄却されている。担当のジョセフィン・ステイトン判事は、原告側の主張が曖昧で、訴訟を進めるには不十分だと判断。訴状では、ほぼ1人のアーティストの不正再生ばかりが取り上げられており、ボットによる不正再生によってRBX自身がどれほどの損害を受けたのかが明らかになっていないとも指摘した。ただし、この時点では訴状を修正して再提出する機会が与えられていた。

RBX側は7月に修正版の訴状を提出。Spotifyは一部の人気アーティストによる不正再生だけを意図的に見逃す二重基準を設けていると主張した。さらに、2025年までの約48か月間のデータ分析をもとに、少なくとも6億ドル(約900億円)もの印税が、ほかのアーティストから奪われたと訴えた。

Spotifyの広報担当者は英CMUに対し、修正版の訴状も根拠に乏しく、裁判所が指摘した問題点が解消されていないとして、再び棄却を求める方針を示していた。

判事「ドレイクの名前以外に具体的な主張がない」

そして迎えた10月26日、ステイトン判事は、同じ訴えを再び起こすことを認めない「with prejudice」と呼ばれる形で、訴訟を棄却した。

判決文について報じた米Billboardによると、判事は「Spotifyがドレイクのような人気アーティストの不正再生を『見て見ぬふりしている』という結論ありきの主張を除けば、Spotifyが不正対策を選択的に運用していることを示す具体的な主張はない」と指摘した。

さらに判事は、Spotifyにはボットによる不正再生から原告を保護する特別な法的義務はないとして、過失に関する主張を退けた。また、カリフォルニア州の不正競争防止法に基づく主張についても、Spotifyが不正対策に関して利用者を欺くような説明をしたとは認められないと判断した。Spotifyは今回の判決についてコメントしていない。

Spotifyはこれまで、不正再生を検知・排除する仕組みに多額の投資をしていると説明してきた。2024年に起訴されたノースカロライナ州の男性によるAI生成楽曲の不正再生事件についても、Spotifyから不正に得られた収益は約6万ドルにとどまったとしている。

ドレイク自身はUMGとの裁判が継続中

今回の訴訟では繰り返し名前が登場したドレイクだが、本人が原告となっている別の裁判はまだ終わっていない。

ドレイクは2025年1月、ケンドリック・ラマーのディス曲「Not Like Us(ノット・ライク・アス)」のリリースと宣伝をめぐり、自身も所属するユニバーサル ミュージック グループ(UMG)を名誉毀損で提訴した。

ニューヨークの連邦地裁は2025年10月、問題となった歌詞は意見の表明であり、事実を述べたものではないとして訴えを退けたが、ドレイクは控訴。12月4日には連邦控訴裁判所で口頭弁論が予定されている。

10月に40歳の誕生日を迎えたばかりのドレイク。UMGとの法廷闘争は、年末に大きな山場を迎えることになりそうだ。

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