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【漫画】「鍋は借りてない。備品を使っただけ」と言い切る料理教室の古株の先輩。調理台の前で返した一言に沈黙

  • 2026.10.28
【漫画】「鍋は借りてない。備品を使っただけ」と言い切る料理教室の古株の先輩。調理台の前で返した一言に沈黙

先週貸した鍋を返してと頼んだ朝

先輩は腕を組み、借りた鍋はないと言い切りました

五月の料理教室。授業が始まる三十分前の実習室には、奥の台で野菜を洗う年配の受講生のほかに、誰もいませんでした。

私は、先週貸した圧力鍋を返してもらおうと、先輩の前に立ちました。ふたの持ち手には、取り外しできる木彫りの猫の飾りを付けていました。

調理中は外す、私の鍋だと分かるための目印です。今日の煮込みの実習に持ってくるつもりだったため、授業が始まる前に返してもらいたかったのです。

先輩は教室でいちばんの古株で、講師にも頼りにされている人です。

先週の水曜、先輩は『一日だけ貸して』と言い、私は駐車場で、車のトランクからその鍋を手渡しました。見ていた人は、誰もいません。

『先週貸した圧力鍋を、返していただけますか』と私が頼むと、先輩は腕を組み、私を見下ろして言いました。

「鍋は借りてない。備品を使っただけ。」

私は貸した証拠がなく、言葉に詰まってしまいました

私は、言葉に詰まりました。鍋を渡した場にはほかに誰もおらず、貸し借りを記録したメモも写真もありません。先輩の調理台は衝立の向こうで、私の立つ場所からは見えません。

ここで『借りたはずです』と言い張っても、講師が信じるのは、長年通っている先輩のほうかもしれません。先輩はそのことをよく分かっている様子で、顎を上げ、続けました。

「備品はずっと、ステンレスだけ。」

「木の飾りの物なんて一つもない。」

教室の備品は、装飾のないシンプルなステンレス製の鍋ばかりです。

始業前で講師はまだ来ておらず、確かめてくれる人もいません。

私は考えた末、こう頼みました。『では、備品の棚を見せてください』。先輩は一瞬ためらいましたが、私がその場を動かずに待っていると、舌打ちして棚のほうを指しました。私は先に歩き出しました。

洗い場へ向かう途中で

台の上の鍋に、見覚えのある猫が座っていました

備品の棚は、洗い場の奥にあります。そこへ行くには、衝立の脇を回るしかありません。先輩も、しぶしぶ私の後ろについてきました。

脇を回ったところで、私の足が止まりました。先輩の調理台の上に、圧力鍋がのっていたのです。

ふたの持ち手には、三角の耳と丸い顔をした木彫りの猫の飾りが付いていました。その左耳は、以前私がうっかりぶつけて、小さく欠けさせてしまった部分です。先輩は衝立の向こうなら私には見えないと思ったのか、今日の実習で使おうと、すでに台に出していたようでした。

私は、先輩のほうへ向き直りました。

「その猫の左耳は、私が欠いた所です。」

先輩は自分で鍋を持ち上げ、私の台の端に置き直しました

先輩は顎を引き、一瞬だけ目を泳がせましたが、すぐに声を張り上げました。

「新しく入った備品です!」

私は鍋のふたの猫を見たまま、静かに答えました。

「備品は、ずっとステンレスだけ。」

先輩は、口を一文字に結びました。先ほど自分で言ったことと矛盾していると気づいたのでしょう。私は、見覚えのある猫の左耳を指さしたまま、返事を待ちました。

奥の台にいた受講生も、私たちのやり取りに気づいて、こちらを振り向きました。先輩はその視線に気づくと、うつむいてしまいました。

しばらく沈黙が続いたあと、先輩は観念したように肩を落としました。そして、鍋の両側の取っ手を握って持ち上げ、自分の調理台から私の調理台まで運び、端に置き直しました。

『先週の水曜に借りました。今日の実習で使いたくて、返しませんでした』。

猫の飾りが付いた鍋は、ようやく私の手元に戻りました。私は調理を始める前に飾りを外し、予定どおりその鍋で煮込みを作りました。先輩は備品のステンレス鍋を、黙って自分の台へ運びました。


※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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