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ジョナサン・アンダーソンのアートの世界をのぞいて。「ありふれた日常を少しずらすことに、ずっと興味を抱いてきた」

  • 2026.10.27
DAVID SIMS.

ジョナサン・アンダーソンのクリエイションと日常に、欠かせないもの。それがアートだ。彼の関心はファッションの枠にとどまらず、インスピレーションの源も実に幅広い。今をときめくモデルよりもウェールズ出身の彫刻家に心を動かされることのほうが多いという。

長年にわたってさまざまなアート作品を収集してきた彼は、ディオールのクリエイティブ ディレクターであると同時に、ファッション界きってのクラフトの支持者でもある。

「日常のありふれたものに、少し違った見方を持ち込むことにずっと興味がありました。それに、アートは暮らしのなかにあってこそだと思うんです。しまい込んで、たまに取り出して眺めるようなものではないはずです」とアンダーソンは言う。

彼にとってアートは頭で理解するだけのものではなく、日々の暮らしのなかで楽しむもの。例えば自宅に置かれたジェニファー・リーの花器。あるいは、ロンドンのピムリコ・ロードにあるJW アンダーソンの店舗での展覧会に向けて、ケリス・ウィン・エヴァンスに制作を依頼したガラス製のウインドチャイム(風鈴)もそのひとつだ。

フリーズの開催に合わせて企画されたこの展覧会では、エヴァンスによる30点の作品に加え、ギャラリーのホワイト・キューブが選んだ同作家の作品も紹介されている。

アメリカン・エキスプレスのプラチナ・カードとのコラボレーションによって実現した「A Composition」。アンダーソンの美意識を形づくるさまざまなアーティストやつくり手たちに光を当て、アートとの新たな出合い方を提案する展覧会だ。

「A Composition」に展示されたケリス・ウィン・エヴァンスの作品群。 Courtesy of American Express

“アートは日々の暮らしのなかにあってこそ。しまい込んで、たまに取り出して眺めるようなものではないと思う”

「ケリスの作品をJW アンダーソンの店舗に展示することで、ギャラリーとは違う場所でアートに触れてもらうことができます。普段なら、そこに作品があるとは思わないような空間で、ですね。そうした場所の意外性も、この展覧会の面白さのひとつ。ケリスの作品はものの見方を変えてくれる。どこか見慣れたものが感じられるのに、眺めているうちにその印象がいつの間にか変わっていくんです」

「A Composition」に展示された平井明子の陶芸作品。 Courtesy of American Express

ありふれたものを新たな文脈に置き、これまでとは違う魅力を引き出す。アンダーソンのクリエイションに一貫して流れるテーマだ。ディオールでのデニムの提案から、パンデミック中にハリー・スタイルズが着用し、SNSで大きな話題を呼んだJW アンダーソンのパッチワークカーディガンまで、その発想はさまざまな形で表れている。今回の展覧会もまた、そんな彼のクリエイション哲学を体現するものだ。

JW アンダーソンとアメリカン・エキスプレスのプラチナ・カードがコラボレーションしたブックマーク(しおり)。 Courtesy of American Express

「アート、クラフト、日用品、ファッション……異なるジャンルのものが優劣なく並び、それらが出合うことで何が生まれるのか。そんなことに興味があるんです」とアンダーソン。

彼のクラフトへの愛着は、幼少期にまでさかのぼる。北アイルランドで育った少年時代、初めて夢中になったのが、小さな動物の置物を集めることだった。その数は数百点にもおよび、今も母親が大切に保管しているという。

現在、彼のアートコレクションは実に多彩だ。20世紀の工芸品から希少本、線描画、銀細工、アーツ・アンド・クラフツ運動の時代の家具、絵画まで、ジャンルは幅広い。しかも、それらをガラスケースにしまい込むのではなく、ロンドンの自宅に飾り、日々の暮らしのなかで実際に使っている。

「祖父が陶芸のコレクターだったので、幼い頃からものの美しさや、その背景にある物語に親しんで育ちました。特定のジャンルにこだわって収集しているわけではありません。僕にとってコレクションの醍醐味は、異なる作品同士がどんな対話を生み出すかということなんです」

Courtesy of American Express

※「A Composition」は10月21日まで、ロンドンのJW アンダーソン(105–107 Pimlico Road, London SW1W 8PH)を会場に開催された。

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