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「練習していたことができない…」女子プロの意外な悩み、その解決法は?

  • 2026.10.26

百獣の王こと武井壮が、プロゴルファーを目指していろいろな経験を積むのがこの企画。今回のゲストは、仁井優花とコーチを務める土手陸が、京都からはるばる茨城にやってきた。武井に聞きたい話を聞けた土手、そして仁井は、その直後になんと……

第1打だけ別人になってしまう!?

「練習していたことができない…」女子プロの意外な悩み、その解決法は?
この日の最高気温40度に達する酷暑。じつはゲストプロは徳永歩だったが、急遽レギュラーツアーに出場できることになり、姉妹弟子の仁井が来ることに。ちなみに代役を土手から頼まれたのは撮影前日。それでも出演を快くOKしてくれた

武井 ホント、このコーナーに来てくれる女子は「この子、うまいわ~」と感心させられます。

仁井 いやいや、お恥ずかしいプレーも見せてしまって。

武井 京都からはるばる来ていただき、今回も勉強になりました!

仁井 いや、私たちが勉強というか、武井さんにお聞きしたいことがありまして。

武井 何!?なんでしょうか?

仁井 たくさんあるんですが、ラウンド中にもちょっとお話させていただいたことだけでもあらためて……。コーチに教わったこと、やろうとしていることが試合でできない、出せないんです。

武井 スタート前の練習で「今、これに取り組んでいて、こう修正しています」といっていたようなことですか?

仁井 そうです。忘れちゃったり(笑)。とくにスタートホールのティーショットで地に足がついていない、頭のなかが真っ白になっちゃうんです。

「練習していたことができない…」女子プロの意外な悩み、その解決法は?
仁井のスタートホールのティーショットは、右に曲げてこの表情。練習で出ない、その後のホールでもほぼ出ないミスが、なぜ出てしまうのか?が大きな悩み

武井 たしかに最初の1打目だけ右ペラでしたね。うーん……試合では短期的な技術練習で高めたことよりも、長く積み重ねた動きのミスの幅の狭い運動を選択するほうがいいと思います。なるべくイレギュラーな反射をしたくないじゃないですか。新しい技術を試すのは、試合でドン、じゃない気がします。

仁井 プロになる前のジュニア時代は、何も考えずに、同じことをずっとやる。それしかできなかったタイプでした。

武井 それでうまくいっていたんですよね。でも、うまくなってさらに上を目指すとなると、それまでと逆や、新しいことをやろうとし出す。それが結構、迷路のはじまりだったりするんですよねぇ。新しい動きを作っていくとか、なんか発見して試行錯誤をするのは、意外と仁井プロがやってきたこれまでのこととは真逆の作業だったりして、その混ざり合いが起きているのでは?

仁井 そうなんです。スイングや知識も、コーチの指導でよくなったことは多々あります。今、隣にいるからそういっているのではないですよ(笑)。ただ、調子が悪くなる前のスイングに戻したほうがいいのかな、という気持ちと葛藤することがあります。

過去に戻すのは「悪」ではない

「練習していたことができない…」女子プロの意外な悩み、その解決法は?
最近はドラマや映画の撮影で忙しく、クラブを握る日がほとんどない武井。だが、中盤は4連続パーを獲るなど、23年にティーチングプロの技能検定に合格した実力は伊達ではない

武井 過去に戻すのは悪いことをしているんじゃないか、と思われがちですが、それは過去が正しいか、正しくなかったかだけ。「過去が悪い」「未来はよくなる」という単純な“仮定”が間違いで、未来を見ても間違ったことをしたら悪くなることだってある。昔やっていたことは今やろうとしていることよりレベルや質が低いものだという決めつけはなくしたほうがいい。過去によかったものは絶対にやってもいいと思うんです。

仁井 私は4歳からゴルフをはじめて、ほかのスポーツはほとんどしたことがなくて、たぶん運動音痴なんだと思います。

武井 それはむしろプラスの要素かもしれません。ゴルフのように精度を競うスポーツに関しては、とくに1本の絶対にブレない軸があって、そこからの揺らぎはどうしても出てしまうから、軸は1本だけがいちばんいいわけで。トッププロは頂点にいる選手ほどシンプルな作業、正しい作業をずっと繰り返していて、変えようともしていないじゃないですか。過去によかったものはまたやってもいい。ベースとしてこれをやっとけば、大成功じゃなくても、つねにここにはいられる、たとえばフェアウェイやグリーンの幅にいられるっていうのは、ゴルフには絶対にあっていいと思います。

さすがは2年連続でレギュラーツアーのシード権を獲得した実績のあるプロ。アイアンはキレキレ、たまにグリーンを外したあとはきっちり寄せて簡単にパーを重ねていく

ラウンド中、3人でのゴルフ談義が頻繁に行われたが、もっとも積極的だったのは土手!ときには教え子そっちのけで、武井にディープな質問をしていた

スイングは極論物理でしかない

仁井 運動音痴なんで同じことしかできないはずなのに、なんか違うことをしよう、したい、と思って打っているからベースも崩れてしまっている気がします。

武井 プロですから、きちんとしたベースはもうできている。あとは極論、ゴルフのスイングは物理なんで。もう本当の正解はそこにしかない。ただ、その正解を理解していなくても仁井プロたちプロゴルファーは、球を打つのがものすごくうまい。それは積み重ねでしかない、そこはホントうらやましい(笑)

仁井 武井さんがラウンド中に「ショットのことはなるべく鈍感にして、それ以外のところは繊細に、が、このゲームのいちばんの鍵」とおっしゃっていましたが、その考え方や作業がとてもためになって、とくに私には「こうしたらいいんだ。それが自分らしさかも」と感じるものがありました。

武井 それはよかった!

仁井 土手コーチに何かアドバイスはありますか?

武井 土手コーチとはラウンド中にもいろいろお話をしましたが、たくさんのゴルファーの動きを見てきて、こうなっていると見抜く力がある。勉強や経験からもこういうことが起こるとこうなるよ、というアドバイスができる人ですが、仁井プロには仁井プロのための教科書、その教科書を開いて見せれば「ああなるほどね」と体もクラブも動かせる指導をしてほしいですね。

仁井 私専用の指導法ですか?

武井 コーチングは全部そう。全員に役立つ魔法の言葉なんてありませんから。形や傾向からの指導ではなく、悪くなるときはこういう言葉をかけたときだなとか、でもこういうことをいうとこの動作に戻ってくれるとか、その選手に対してのいい言葉を探して、かけてあげてほしいですね。

仁井 フフフッ。土手さん、お願いしますよ(笑)

武井 コーチだけに頼らず、2人で探していったらすごくいい関係になるんじゃないかな、と僕は思うんですよね。そういう師弟になってほしいです。

*仁井プロは、この対談後の直近の試合(八光カップ 大阪オープン)で優勝を飾る。その報告のインスタ投稿のコメント欄では「まじか!もう勝ってる!笑笑」(武井)「武井さんのおかげで優勝できましたー!本当にありがとうございますー!」(仁井)

「俺のおかげではないよ笑 仁井ちゃんの実力が出ただけ!おめでとう!」(武井)というやりとりがあった。

「武井さんは、左脳と右脳理論と感覚を使い分ける天才」

コースを回りながらの武井さんとの会話で、いちばん驚いたのはその〝熱量〞!

僕らの質問に対して、何倍もの熱量で応えてくれて、運動に対する考え方、物事の取り組み方、物体(クラブ)の動き方の物理に関してなどを、武井さん自身がアスリートとして積み上げてきた経験だけでなく“そこまで考えるのか!"と驚かされる学術的や論理的な観点からのお話も聞けて「この人は左脳と右脳、理論と感覚を使い分ける天才だ!」と思いました。

コーチという立場でもっとも胸に刺さったのは「ミスが出るとコーチはすぐに“何かの動きが悪いから”と決めつけて動きを修正しようとする」という言葉。ミスが出たのはほかの要因かもしれないのに、ということですね。

僕もコーチしながら、迷うことはもちろんあります。ゴルフは自分以外の環境の変化も多いスポーツなので、今後コーチングをしていくなかで、視野をとても広くしてくれるお話がたくさん聞けて、僕も仁井選手も大変感謝しています。

いかがでしたか? 次回のゲストをお楽しみに!

武井 壮
●たけい・そう/ スポーツ、芸能の枠を超えて活躍するマルチタレント。ルコックスポルティフゴルフのアンバサダーや、テレビ東京系列(テレビ大阪制作)で「武井壮のゴルフバッグ担いでください」( 日曜朝 10:00 から) をオンエア中。
●オフィシャルサイト gogotakei.com/
●X(旧Twitter)アカウント @sosotakei
●インスタグラムアカウント sosotakei

仁井優花
●にい・ゆうか/2002年生まれ、大阪府出身。学生時代は数々の大会で優勝を収め、2021年にアマチュアとして初出場したステップアップツアー「山陰ご縁むす美レディース」で2位に入賞。21年には2回目の受験でプロテストに合格。23、24年と2年連続でシード権を獲得。レギュラーツアーでは2度、ホールインワンを記録している。エレコム所属。

土手 陸
●どて・たいら/1991年生まれ、広島県出身。24歳でゴルフをはじめ、森守洋コーチを師事し、現在は「京都ゴルフスタジオ」でヘッドインストラクターを務める。仁井優花のほか、徳永歩や上久保実咲、男子ツアーのプロの試合に帯同するツアープロコーチとしても活動し、選手たちの成績が日を追うごとに上昇している。

写真=田中宏幸
協力=取手国際ゴルフ倶楽部

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