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「ボールくらいくれたっていいじゃないですか」公園で譲るよう迫った母親。だが、息子の何気ない一言に黙り込んだ瞬間

  • 2026.10.26

キャッチボール中に近づいてきた男の子

小学生の息子と、近所の公園でキャッチボールをしていたときのことです。

そこはボール遊びが認められている広い公園で、私たちはグローブをはめ、向かい合ってボールを投げ合っていました。

息子が投げたボールを捕ろうとしたとき、近くにいた小学生くらいの男の子が駆け寄ってきました。

男の子は私の前に立つと、手を差し出して言いました。

「ねえ、そのボールちょうだい!」

突然のお願いに、私は少し驚きました。

少し離れたところには男の子の母親がいましたが、こちらを見ているだけで、特に声をかけてくる様子はありません。

私たちが持ってきたボールは、ひとつだけです。息子もまだ遊びたそうにしていたので、私は男の子に目線を合わせて答えました。

「ごめんね。これ、今、息子と使ってるんだ」

男の子は「そっか…」と残念そうに手を下ろしました。

すると、それまで離れていた母親が、ため息をつきながらこちらへ歩いてきたのです。

「大人げないですね」

思いがけない言葉に、私は一瞬、返事ができませんでした。

母親は私のグローブと、息子が持っているボールを見比べながら続けました。

「ボールくらいくれたっていいじゃないですか」

「いや、でも…うちもこれしか持ってきていないので」

「子どもが欲しがってるんですよ?」

その言い方に、私も困ってしまいました。

子どもが欲しがっているからといって、今使っているものを譲らなければならないのでしょうか。

それなら自分で買ってあげればいいのに、という言葉が喉まで出かかりましたが、ぐっと飲み込みました。

いつの間にか隣に来ていた息子も、ボールを胸に抱えたまま、不安そうに私を見上げていました。

母親を黙らせた、男の子の素直な一言

私がどう返そうか迷っていると、男の子が母親の服のすそを引っ張りました。

「ねえ、ママ」

母親が男の子に顔を向けると、男の子は不思議そうに言いました。

「ママ、ボール、うちにあるじゃん。持ってくるの忘れただけでしょ」

「えっ…」

母親は口を開きかけたまま、言葉に詰まっていました。

私も息子も、思わず顔を見合わせます。

しかし、男の子はそんな空気に気づいていないのか、さらに続けました。

「赤いやつ。昨日、玄関に置いたよ」

どうやら男の子は、自分の家にもボールがあることを、ちゃんと覚えていたようです。

母親は気まずそうに目を伏せ、しばらく黙っていました。近くのベンチにいた別の親子も、口元を押さえてこちらを見ています。

やがて母親は、男の子に小さな声で言いました。

「……じゃあ、取りに帰ろうか」

「うん!」

男の子はうれしそうにうなずきました。

母親は私たちに何も言わず、男の子の手を引いて歩き始めます。

その途中、男の子だけが振り返り、元気よく手を振ってくれました。

「ばいばい!」

息子も「ばいばい!」と手を振り返しました。

母親は振り向かず、そのまま早足で公園の出口へ向かっていきました。

二人の姿が見えなくなり、私たちはキャッチボールを再開しました。

すると、息子がボールを投げながら、くすっと笑いました。

「あの子、正直だね」

「本当だな」

私も思わず笑ってしまいました。

男の子に悪気はなかったのでしょう。ただ、思ったことをそのまま口にしただけです。

それだけに、あの一言が妙に印象に残った出来事でした。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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