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「IHに直接乗せるせいろはないのか」雑貨店で私に怒り出した男性客。だが、隣にいた妻が箱を手に取り、夫に見せた一文

  • 2026.10.25

せいろの棚の前で呼び止められて

以前、家具と雑貨の店で働いていたころの話です。当時はせいろを使った蒸し料理が流行していて、店でもキッチン用品売り場の目立つ棚に、木のせいろや鍋付きのセット商品を並べていました。

ある日の昼、私がエプロン姿で棚を整えていると、50代くらいの夫婦がやってきました。

夫はせいろの箱を一つ手に取り、裏をちらっと見てから棚へ戻しました。すると、私のほうへ歩いてきて尋ねました。

「IHに直接乗せるせいろはないのか」

私は少し戸惑いました。木のせいろを、そのままIHコンロに置いて使いたいということでしょうか。

「申し訳ありません。せいろを直接IHに乗せて使う商品は、当店にはないんです」

すると男性は眉を寄せました。

「え、ないの?こんなに並んでるのに?」

「はい。せいろは基本的に…」

「なんでないんだよ。これだけ売ってるんだから、IHで使えるものくらいあるだろ」

男性の声が大きくなりました。隣にいた妻が「ちょっと」と袖を引きましたが、男性はその手を払い、私に一歩近づいてきました。

どうやら男性は、IHでせいろを使いたいようです。私は、使い方を説明することにしました。

妻が箱を手に取って読み上げた言葉

「IHでもお使いいただけますよ。ただ、せいろを直接乗せるのではなく、IH対応のお鍋でお湯を沸かして、その上に乗せるんです」

「えっ、そうなの?だったら最初からそう言ってくれよ!」

男性の大きな声に、通路の向こうでクッションを見ていた客が振り返りました。

私は思わず口をつぐみました。直接使える商品はないと答えたつもりでしたが、最初から使い方まで説明したほうがよかったのかもしれません。

それでも、あの勢いで怒られるとは思っていませんでした。

そのとき、隣にいた妻が棚からせいろの箱を手に取りました。先ほど夫が手に取っていた箱です。

妻は箱の側面を指さしながら、夫に見せました。

「ほら、ここ。『鍋の上に乗せてお使いください』って書いてあるよ。あなた、さっきこの箱を手に取ってたでしょう」

男性は箱に顔を近づけ、説明書きを見つめました。

「ああ……そういうことか」

妻は少しあきれた様子で続けました。

「ちゃんと読んでみなさいよ。店員さんだって、今そう説明してくれたじゃない」

男性は何か言いかけましたが、結局何も言い返しませんでした。

「ほら、こっちは鍋も付いてるよ。IHで使うなら、鍋が対応してるかも確認しないとね」

妻が隣のセット商品を示すと、男性はそちらにも目を向けました。

通路の向こうから小さな笑い声が聞こえました。男性は顔を赤くし、しばらく黙っていましたが、やがて鍋とせいろのセットの箱を抱えてレジのほうへ歩いていきました。

妻は手にしていた箱を棚へ戻し、私に小さく頭を下げました。

「ごめんなさいね。ちゃんと教えてくれて、ありがとう」

「いえ、とんでもないです」

私も頭を下げ、ようやくほっと息をつきました。

妻が戻した箱は、ちょうど説明書きの面がこちらを向いていました。

最初はどうなることかと思いましたが、妻が説明書きを示してくれたおかげで、話が伝わったようでした。

私は箱の向きを整え、また売り場の仕事に戻りました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた20代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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