1. トップ
  2. エピソード
  3. 「客が冷たいって言ってるんだから取り替えなさいよ!」肉まんの交換を要求した客。だが、店員に差し出された商品を触って黙った

「客が冷たいって言ってるんだから取り替えなさいよ!」肉まんの交換を要求した客。だが、店員に差し出された商品を触って黙った

  • 2026.10.25

出勤前のコンビニで、肉まんに怒り出した女性客

3か月ほど前の朝、会社へ向かう途中でコンビニに寄ったときのことです。出勤前の時間帯で、レジには長い列ができていました。

私のすぐ前に並んでいたのは、私よりずっと年上に見える女性客でした。

女性は何度も腕時計を確認し、列が進むたびに大きなため息をついていました。よほど急いでいるのだろうと思いながら、私はその後ろで順番を待っていました。

ようやく女性客の番が来ました。

女性は冷えたペットボトルのお茶をレジに置くと、肉まんを注文しました。

新人らしい若い男性の店員が、カウンター横の蒸し器から肉まんを取り出し、紙袋に入れました。

「お飲み物と袋をお分けしますか?」

「一緒でいいわよ。急いでるから」

店員は肉まんとお茶を一つの買い物袋に入れ、会計を済ませて女性に渡しました。

ところが、女性は受け取った袋の上から中身に触れると、急に顔をしかめたのです。

「ちょっと、これ冷めてるじゃない!」

店員は驚いたように顔を上げました。

「えっ、肉まんですか?今ケースから出したばかりなんですが……」

「だから冷たいって言ってるでしょ!もっと温かいのに替えてよ!」

女性は買い物袋をカウンターに突き出しました。

店員が返事に困っていると、女性はさらに声を荒らげました。

「客が冷たいって言ってるんだから取り替えなさいよ!」

その声に、周囲の客も女性のほうを見ました。

後ろには出勤前の客が何人も並んでいます。どこからか舌打ちが聞こえ、店内には気まずい空気が流れ始めました。

私も早く会計を済ませたかったのですが、女性の勢いに圧倒され、黙って見ているしかありませんでした。

店員が袋から取り出した、もう一つの商品

困った顔をしていた店員でしたが、女性が握っている買い物袋に目を向けると、何かに気づいた様子でした。

「すみません。少し中身を確認してもよろしいですか?」

女性は不満そうな顔で袋を差し出しました。

店員は袋から肉まんとペットボトルのお茶を取り出し、それぞれカウンターに置きました。

そして、肉まんの紙袋を女性の前に差し出しました。

「こちら、もう一度触っていただけますか?」

「だから、冷たいって…」

女性は文句を言いながら紙袋に手を伸ばしました。

ところが、指が触れた瞬間、その動きがぴたりと止まったのです。

「……あれ?」

女性はもう一度、肉まんを触りました。

「……温かい」

店員は隣に置いたペットボトルを示しました。

「たぶん、こちらのお茶が当たっていたところを触られたんじゃないでしょうか」

女性が最初に触っていたのは、買い物袋の中で冷たいペットボトルが当たっていた部分だったのです。

女性はお茶と肉まんを交互に見つめ、何か言いかけましたが、結局何も言いませんでした。

店員は落ち着いた声で尋ねました。

「肉まんはこのままで大丈夫でしょうか?」

「……もういいわよ」

女性は袋を受け取ると、誰とも目を合わせずに足早に出口へ向かいました。

あれほど「冷たい」と怒鳴っていた肉まんは、最初からちゃんと温かかったのです。

女性が出ていったあと、店員は小さく息を吐き、私たちに頭を下げました。

「大変お待たせいたしました」

私は温かいコーヒーを買い、会社へ向かいました。

肉まんを触った瞬間の女性の「……あれ?」という声が、今でも耳に残っています。

ほんの少し確かめれば分かったことなのに。あれだけ怒鳴られながらも、最後まで落ち着いて対応した店員の姿が印象的な朝でした。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ