1. トップ
  2. エピソード
  3. 「どこでもいいです」が口癖の後輩を誘う前に、俺が彼女のSNSを1年以上さかのぼったわけ

「どこでもいいです」が口癖の後輩を誘う前に、俺が彼女のSNSを1年以上さかのぼったわけ

  • 2026.10.26
ハウコレ

「どうして知ってるんですか?」と聞かれて、最初に打った返事は送らずに消しました。本当のことを書くには、あのときの俺にはまだ少し勇気が足りなかったのです。

送信ボタンに触れる手前で、何度もスマホをベッドに伏せました。誘い文句は10回以上書き直して、残ったのは短い2通だけです。けれど、それより長く時間をかけたのは店選びのほうでした。

「どこでもいいです」しか返ってこなかった

同じ部署の後輩は、俺の担当する取引先の事務を受け持ってくれている存在です。外回りから戻るたびに彼女の席へ声をかけていたのは、半分は仕事で、半分はそうではありませんでした。

ただ、彼女の好きなものを俺は何も知りませんでした。ランチに誘っても、返ってくるのはいつも「どこでもいいです」。困らせたくなくて、それ以上は聞けずにいました。

彼女が「好き」とはっきり書くのは、部署の飲み会で教え合ったSNSの中だけです。投稿が上がるたびに、こっそり開いていました。

1年以上前の投稿と、送らなかった返事

誘う前に、彼女の投稿を1つずつさかのぼりました。ようやく見つけたのが、「ここのグリーンカレーが一番好き。また行きたい」という投稿です。日付は1年以上前でした。

「お疲れさま」

「ご飯行こう」

やっと送ると、「ぜひ行きたいです」と返ってきました。続けて「ここ、どうかな」とURLを送ると、

「ここ、私の一番好きなお店です。どうして知ってるんですか?」

最初に打ったのは「たまたま見つけた」。投稿を何十件もさかのぼったと知られたら、引かれる気がしたからです。けれど嘘をつくのも違う気がして消し、「前に投稿してたよね」とだけ送りました。

苦手なことは、言わずにおいた

しばらくして、また彼女から届きました。

「パクチーたっぷりのお店ですけど、大丈夫ですか?」

実は、パクチーは昔から得意ではありませんでした。それでも、彼女が「また行きたい」と書いた店を変えたくはなかったのです。

「たぶん大丈夫」

約束の日、店の前で彼女と合流しました。同じグリーンカレーを頼み、パクチーは1枚も残さず食べました。水を2度おかわりしたところは、きっと見られていたでしょう。

そして...

駅で別れてから「今日はありがとう」と送ると、少しして「次は先輩の好きなお店がいいです」と届きました。

すぐに開いたものの、返事が浮かばないまま。自分のSNSをさかのぼっても、並んでいるのは数件の風景写真だけ。好きな店を聞かれて思い浮かぶ名前が、1つもありませんでした。

地図アプリを開いては閉じて、入力欄は空のままでした。

(20代男性・営業職)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ