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「朝いちばんに場所を取ったのはうちなんで」運動会の撮影場所を譲らなかった父親。だが、親子競技から戻って見た光景

  • 2026.10.25
「朝いちばんに場所を取ったのはうちなんで」運動会の撮影場所を譲らなかった父親。だが、親子競技から戻って見た光景

最前列を占領した父親

息子の幼稚園の運動会でのことです。

撮影エリアの最前列は、自分の子どもが出る競技のときだけ利用し、保護者同士で交代する決まりになっていました。

事前に配られたプリントにも、そう書かれていました。

ところが、開会式が終わってすぐ、ある父親が最前列に脚立と大きな三脚を据えたのです。

ほかの学年の競技が始まっても、父親は動こうとしません。後ろに並ぶ私たちは、脚立を避けながら、背伸びをして子どもたちを見ていました。

子どもを抱っこしたお母さんが少し前に出ると、父親が不機嫌そうな声を上げました。

「ちょっと、映り込むんで下がってもらえます?」

お母さんは困った顔をして、元の位置に戻りました。

やがて、息子の学年の競技が近づいてきました。私の隣にいたお母さんが、父親に声をかけます。

「すみません。次、うちの子の学年なので、少し詰めてもらえませんか?」

すると父親は、面倒くさそうに振り返りました。

「いや、うちもずっと撮ってるんで無理です」

「でも、交代する決まりですよね…?」

「朝いちばんに場所を取ったのはうちなんで」

そう言うと、父親は再びカメラのほうを向いてしまいました。

結局、私は人の肩の隙間から息子の姿を追うのが精いっぱいでした。楽しみにしていた運動会なのに、なんとも残念な気持ちになりました。

親子競技から戻った父親が見た光景

しばらくして、親子競技の呼び出しがかかりました。

すると、あの父親が慌てて入場門へ走っていきました。最前列には、脚立と三脚だけが残されています。

そこへ、エプロン姿の先生がやってきました。

先生は残された機材を確認すると、近くの保護者に声をかけました。

「すみません。安全のため、こちらを後ろへ移すのを手伝っていただけますか?」

何人かのお父さんたちが先生の指示に従い、脚立と三脚を後方へ運びました。

先生は次の競技を撮影する保護者たちを最前列へ案内しました。私も空いた列の端に入ることができました。

その後、親子競技を終えた父親が息を切らして戻ってきました。

しかし、先ほどまで自分がいた場所には、別の保護者たちが並んでいます。

父親は辺りを見回し、後方に置かれた脚立を見つけると、驚いたように立ち止まりました。

「えっ……あれ?ちょっと、そこ……」

父親が何か言いかけたところで、先生が声をかけました。

「あ、こちらの脚立ですね。安全のため、後ろに移動させていただきました」

「いや、でも、さっきまでここで撮ってたんですけど」

「はい。ただ、最前列は交代で使っていただく決まりなんです」

父親は納得できない様子で、最前列を見つめています。

先生は続けました。

「ほかのお子さんの出番もありますので、皆さんに順番でお願いしています。脚立も後ろで使ってくださいね」

「……分かりました」

父親は顔を赤くしながら、小さく返事をしました。そして、それ以上は何も言わず、脚立のほうへ歩いていきました。

やがて次の競技が始まり、園庭に大きな声援が響きました。

今度は遮るものがありません。私は最前列から、駆けていく息子の姿をしっかり見届けることができました。

特別なことを求めていたわけではありません。ただ、決められた順番を守るだけで、みんなが気持ちよく応援できるのだと感じた運動会でした。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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