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「泊めてあげなよ」と彼女の部屋を出た俺が、40分の帰り道で飲み込んだ本音

  • 2026.10.26
ハウコレ

彼女の友人からの返信を見て、俺はテレビを消して上着を取りました。帰り道に通知が鳴っても、部屋に着くまで返信しなかったのには理由があります。

スニーカーのかかとを指で直して、俺は彼女の部屋のドアを閉めました。自分の部屋までは、歩いて40分ほど。笑って出てきたはずなのに、階段を下りる足はなかなか速くなりませんでした。

またか、と思った通知

テーブルのスマホに彼女の友人の名前が出たとき、またか、と思いました。

終電を逃して泊めてほしいと頼まれるのは、この1年で3回目。前回は泊めた次の日、寝不足だからと彼女から連絡が来て、会う約束が一度流れています。

彼女が、「今、彼が来てるんだよね」と送るのを、隣で見ていました。すぐに返ってきたのは、「えー、全然気にしないよ!床でいいから」でした。俺が来ていると知っていて、床で寝るから平気だと言う。正直、非常識だなと思いました。

でも、それをそのまま口にするわけにはいきませんでした。

板挟みにしたくなかった

彼女には昔から、頼まれると断れないところがありました。ここで俺が「断りなよ」と言えば、友人と俺の間で板挟みになる。断ったあとも、友人にどう思われたかを気にして眠れなくなるのが目に見えていました。かといって俺が残れば、そのまま3人で過ごす流れになる。それも嫌でした。だからリモコンでテレビを消して、ソファの背にかけていた上着を取りました。「泊めてあげなよ。俺、歩いて帰れるし」「え、いいの?」「うん。また来るから」笑って言ったつもりでした。

本当は、あの友人のために泊まりの予定を譲るのが、少しも面白くありませんでした。それでも彼女が断れないなら、自分が帰るのが一番簡単だと思ったのです。

送れなかった2つの下書き

歩き出して20分ほどたったころ、ポケットの中でスマホが鳴りました。信号待ちで取り出すと、通知に「着いた?」と出ています。今返せば、友人への文句まで続けてしまいそうでした。そのままスマホをポケットへ戻しました。

部屋に着いてから、「着いたよ」とだけ返しました。

しばらくして届いたのが、「ごめんね、せっかく来てくれたのに」というメッセージです。謝るのは彼女じゃない。そう思いながら、「あの子、ちょっと甘えすぎじゃない?」と打って、消しました。

次に、「次は断ってほしい」と打ちました。それも消しました。友人のことをどうするかまで、俺が決める話ではないと思ったからです。返事を決められずにいるうちに、もう1通届きました。

「本当は、帰ってほしくなかった」

玄関に座りこんだまま、その言葉をしばらく見ていました。俺だって帰りたくありませんでした。それなら、上着を取る前にそう言えばよかった。でも、今さら長い文章を返すのも違う気がして、打ちかけていた言葉を全部消しました。

送ったのは、「俺も。」だけでした。

そして...

次に泊まりに行った日、彼女は棚から俺のマグカップを出して、いつもの場所に置きました。ソファの背には、その日も俺の上着をかけました。

あの友人のことは、今も少し苦手です。彼女がまた泊めてほしいと頼まれたら、どう返すのかも知りません。

ただ、同じ名前が画面に出たら、あの夜ほど簡単には上着を取れないと思います。

(20代男性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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