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「君のやり方は効率が悪い」と台所に口を出す夫。全部任せた3日間のあとに差し出された紙切れ

  • 2026.10.26
ハウコレ

まな板の上で玉ねぎを刻んでいると、背中越しに夫の声が飛んできました。手元をのぞき込み、段取りに口を出すのは、いつからか夫の習慣になっていました。ただ、その日はいつもの一言だけでは終わりませんでした。

台所に立つたびに届く一言

夫が台所をのぞくようになったのは、半年ほど前からです。

「先に全部切っておけば早いのに」

「その鍋、さっきも洗ってなかった?」

悪気がないのは分かっていました。仕事で段取りを考えるのが癖になっている人なのです。最初のうちは、どうしてこの順番なのかを説明していました。けれど話すたびに「でも、効率で考えたらさ」と返されるうちに、説明しようという気持ちのほうが先にすり減っていきました。

その日も、煮立ち始めた鍋の横で玉ねぎを刻んでいたときのこと。振り返ると、夫は腕を組んだまま、はっきりと言いました。

「君のやり方は効率が悪い」

エプロンを差し出した日から

包丁をまな板に置き、コンロの火を弱めました。エプロンのひもをほどいて、夫の前に差し出します。

「じゃあ、今日から3日間全部任せるね」

夫は少し目を丸くしてから、エプロンを受け取りました。

「3日もあれば十分だよ」

その返事を背中で聞きながらリビングのソファに座り、読みかけの本を開きました。料理も買い出しも、洗い物も全部夫の担当。台所からは包丁の音や水の音が聞こえてきましたが、一度ものぞきませんでした。のぞけば、また何か言いたくなる気がしたからです。

2日目、さすがにソファから声をかけました。

「手伝おうか?」

「大丈夫」

返事は短く、夫は台所から出てきませんでした。

そして3日目。食べ終えた食器を流しに下げた夫が、小さく折った紙を手にしてテーブルへ戻ってきました。

向かいの席に置かれた紙

夫は向かいに座り、その紙をテーブルに置きました。

「これ、読んでほしい」

見覚えのある紙でした。冷蔵庫の扉に貼ってある、買い物メモ用のメモ帳。そこから破り取った1枚です。真っ先に浮かんだのは、改善点の一覧でした。

夫は仕事でも家のことでも、気になることを箇条書きにして整理する人です。3日間、私のいない台所に立って、私のやり方のどこに無駄があったのかを書き出していたのかもしれない。

紙に手を伸ばしかけて、一度膝の上に戻しました。夫は何も言わず、こちらを見ています。

そして...

もう一度紙を手に取ると、裏側から夫の字がうっすら透けていました。

台所を明け渡したのは、口出しにうんざりしたからでした。けれど3日間一度ものぞかなかったせいで、あの台所で夫が何を見ていたのか、私は何も知りません。

折り目に指をかけたまま、向かいの夫の顔を見ました。この3日間、夫はあの台所で、いったい何を書き留めていたのでしょうか。

(30代女性・会社員)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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