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「自分で捨てたのにね」レジ前で聞こえた小さな声。毎朝レシートを床に捨てていた男性客が、顔を赤くした瞬間

  • 2026.10.24
「自分で捨てたのにね」レジ前で聞こえた小さな声。毎朝レシートを床に捨てていた男性客が、顔を赤くした瞬間

毎朝パンを1個だけ買っていく男性客

学生のころ、私は朝のコンビニでアルバイトをしていました。店には毎朝同じ時間に、パンを1個だけ買いに来る会社員らしい男性がいました。

初めてその男性のレジを担当した朝のことです。私はいつもどおり、お釣りとレシートを差し出しました。

「お釣りとレシートです」

「いらねえよ」

男性はぶっきらぼうに答えると、お釣りだけをつかみ、レシートを指ではじきました。

ひらりと落ちたレシートは、レジ前の客側の床へ。そのまま男性は振り返ることもなく、店を出ていきました。

私は一瞬あっけにとられましたが、レジの外へ回ってレシートを拾いました。

ところが、同じことが翌朝も、その次の朝も続いたのです。

男性は毎回、レシートを床に捨てて帰ります。私はそのたびにカウンターの外へ回り、落ちた紙を拾っていました。

わざわざ床に捨てなくてもいいのに。そう思うと、だんだん腹が立ってきました。

ある朝、私は思いきって、レシートを渡す前に声をかけました。

「あの、レシートはご不要ですか?」

すると男性は大きく舌打ちをして、顔をしかめました。

「いらねえって言ってんだろ」

そう言うなり、私の手からレシートを抜き取り、また床に捨てたのです。

後ろに並んでいたお客さんも、思わず眉をひそめていました。

私は何も言い返せませんでした。どうしてそんなことをするのか分からず、悔しくて唇をかみました。

レジ横の貼り紙に気づいた男性

それからしばらくして、店でくじのキャンペーンが始まりました。

お買い上げのレシート1枚につき、くじを1回引けるというものです。レジの横には、くじの箱とキャンペーンの案内が書かれた貼り紙が置かれました。

その朝も、例の男性がいつものようにパンを1個持ってきました。

会計を済ませてお釣りを受け取ると、男性はレシートを床に放り捨てました。

ところが、その直後です。

男性はレジ横の貼り紙に気づいたらしく、くじの箱を指さしました。

「おい、それ、引かせろ」

私は男性に説明しました。

「くじは、今日のお買い物のレシートが必要なんです」

「レシートって、そんなの…」

そこまで言って、男性は口を閉じました。

ついさっき自分で捨てたレシートが、足元の床に落ちていたのです。

男性はしばらく床を見つめていました。

後ろに並んでいたお客さんたちも、その様子を見ています。

すると、列の中から小さな声が聞こえました。

「自分で捨てたのにね」

男性は顔を赤くすると、気まずそうに視線を落としました。

そして何も言い返さず、ゆっくりとかがみ込み、自分で捨てたレシートを拾い上げたのです。

男性はそれをレジ台に置き、ぼそっと言いました。

「……これでいいんだろ」

「はい、大丈夫です。どうぞ」

私はレシートを受け取り、くじの箱を差し出しました。

男性はくじを1枚引くと、その結果を確かめ、何も言わずに店を出ていきました。

いつもは堂々とレシートを捨てていた男性が、この日は自分で拾っていた。その姿が、私には何より印象に残りました。

翌朝も、男性はいつもの時間にパンを買いに来ました。

私がお釣りとレシートを差し出すと、男性は目を合わせないまま両方を受け取り、財布にしまいました。

もう、レシートを床に捨てることはありませんでした。

後ろに並んでいたお客さんが、こちらを見て小さくうなずいてくれました。

何かを言い返せたわけではありません。それでも、男性が自分でレシートを拾ったときの姿を思い出すと、少しだけ胸のつかえが取れた気がしました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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