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「うちの子の出番なんだから、ちょっと我慢してよ」運動会で三脚を広げた父親。だが、係の先生の前で黙り込んだ瞬間

  • 2026.10.24

観覧席の前に広がった三脚

よく晴れた日、小学生の子どもの運動会を見に行きました。

私は観覧席の後ろのほうに座り、わが子のかけっこが始まるのを楽しみに待っていました。

競技が始まって間もなく、私よりずっと年上に見える父親が観覧席の前に出てきました。

手にしていた三脚の脚を大きく広げ、カメラを据え始めたのです。

父親がその後ろに立つと、三脚と背中でグラウンドの真ん中がほとんど見えなくなってしまいました。

「えっ、見えない…」

隣にいた母親が小さくつぶやきました。

周囲からもため息が聞こえますが、父親はカメラをのぞいたまま動きません。

私も困ってしまい、前方の父親に聞こえるよう、少し声を張りました。

「すみません。後ろから見えないんですが…」

すると父親は肩越しに振り返り、面倒くさそうな顔で言いました。

「うちの子の出番なんだから、ちょっと我慢してよ」

「えっ……でも、後ろにも見ている人が…」

私が言い終わる前に、父親はカメラへ向き直ってしまいました。

結局、父親は自分の子どもがゴールするまで、その場所で撮影を続けました。

放送のあとにやってきた係の先生

ところが、その子の出番が終わっても、父親は三脚を片づけようとしません。

次の子どもたちが走り始めても、カメラの向きを直しながら、ずっと前に立ったままです。

「もう終わったんじゃないの…?」

近くからそんな声も聞こえましたが、父親は反応しません。後ろにいる保護者たちは、三脚のすき間からグラウンドをのぞくしかありませんでした。

そのとき、会場に放送が流れました。

「保護者のみなさまにお願いいたします。三脚のご使用はご遠慮ください。撮影は、決められた撮影エリアでお願いいたします」

カメラをのぞいていた父親の手が止まりました。近くの保護者たちの視線も、目の前の三脚に集まります。

隣の母親が、小さな声でつぶやきました。

「さっき、我慢してって言ってたのにね…」

そこへ、ジャージ姿の係の先生がやってきました。先生は父親の前で立ち止まり、三脚を示しながら声をかけました。

「すみません。三脚はたたんでいただけますか。撮影はあちらのエリアでお願いします」

「えっ……いや、その……」

父親は口ごもり、顔を赤くしました。しかし、先生がその場にいると、それ以上は何も言わず、三脚をたたみ始めました。

そしてカメラを抱え、うつむいたまま撮影エリアへ足早に移動していきました。

ようやく目の前が開け、グラウンドがよく見えるようになりました。周囲からも、ほっとしたような声が聞こえます。

競技が進み、ちょうどスタートラインに並んだのは、待ちに待ったわが子でした。

「がんばれ!」

思わず大きな声が出ました。

わが子がゴールまで力いっぱい走る姿を、今度は最後までしっかり見届けることができました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた20代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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