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息をのみ、涙を流した…感動の「歴史的判決」から5年、なのに変わっていないこと【#むちぞん】

  • 2026.10.23

世の中の「知らないと損する」話題を、北海道から「ざっくり」深掘りするHBCのWEBトーク番組「むちぞん~無知は損する~」。

情報があふれる現代社会で、「もやもやする話題」や「実は知らないと損する知識」を、その道の第一人者をお招きしてじっくり聞いていこうという企画です。

第3回のテーマは、知らないことで、近くにいる人を傷つけているかもしれない…「性の多様性」について考えます。

ゲストに、HBCテレビ「今日ドキッ!」のコメンテーターであり、Sitakkeでもお悩み相談連載を担当している満島(みつしま)てる子さんをお迎えしました。

聞き手は、HBC本間吏成(ほんま・りせい)アナウンサーと、WEBマガジン「Sitakke」編集長・幾島奈央(いくしま・なお)です。

これまでの記事は連載「むちぞん」に掲載しています。

「無邪気に恋バナがしたい」

本間アナ)続いて2つ目のトークテーマに行きたいと思いますが、2つ目が「無邪気に恋バナがしたい」ということです。幾島さん、これはどういうことですか?

幾島編集長)本間アナと一緒にやっている「アラサーの今、話してみた」というSitakkeの企画のときに、ちょっと疑問に思ったことなんです。本間アナと波多野裕太アナウンサー、2人とも30歳前後でアラサーの2人が今思っていることとかについてあれこれ喋るというトーク番組なんですけれど、前回の収録で「結婚」について話していました。

Sitakke

幾島)そのときに聞いていて、結婚について無邪気に話しているけれど、すべての人が結婚できる社会じゃないということへの配慮が足りなかったんじゃないかなという風に思って、1回収録を止めてみんなで話し合ったということがありました。

でもこれもなんかちょっとモヤモヤしてて、じゃあ今この3人で喋ってて「てる子さんはゲイだから今の日本では結婚できないから、結婚の話は一緒にできないね」とか仲間外れにするのは違うよなという風にも思うし、公表していない方々と一緒に話すときに「どういう聞き方をすれば傷つけないだろうか」とかも迷う。

何にも気にせずにそういう話ができて仲良くなれたら本当はいいのにと思うけれど、そこにモヤモヤがあるなっていうのをどうしたらいいでしょうかっていう。

てる子さん)またこれも深いトークテーマですね。

Sitakke

幾島)終わらない気がしてきましたけれど(笑)

本間アナ)恋愛の話とかをしたいのにできないというのもまた違うと思いますし。じゃあ「誰か傷つくんだったらそういう話はもう一切なしにしよう」というのはやっぱ違うとは思うんですよね。ただやっぱり、知った上で話していかなきゃいけないなとは思うんですよね。

そういう中で現状としては、同性どうしの結婚を巡る裁判というのも行われているということですね。

「同性婚訴訟」ではなく「結婚の自由をすべての人に訴訟」

幾島)ここで、裁判の現状についてご説明していきます。
まず、「結婚の自由をすべての人に訴訟」という言い方をこの番組ではさせていただけたらと思います。

ニュースでは結構「同性婚訴訟」という言い方をするんですけれど、なんで「同性婚」じゃないかというと、同性婚という特別を新しく作ろうという話じゃない。今ある結婚制度の話であるというところ。

あとは自分たちのことを同性だと思っていないカップルであっても、法律上の性別が同性なら結婚できないので、そのような場合も含むから。

「結婚の自由をすべての人に」であって、「結婚をすべての人に」ではないのは、結婚するかしないかその自由が認められるようになるべきだからという理由から。

カップル双方が結婚を望めば結婚できて、結婚の形を取らないことを望むなら結婚しなくてもいい、そういう結婚の自由をすべての人が平等に持てる社会を目指した裁判です。

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幾島)2019年に札幌、東京、名古屋、大阪、福岡で裁判が始まっていて、2021年に東京で2次訴訟があったので全国で6件になっています。各地で地方裁判所、高等裁判所と進んで、今年度中(2026年度)に最高裁判所での最終判断が出るのではという、日本の歴史にとって大きな判決を待っているタイミングになります。

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幾島)この裁判で何が争われているのかというところですね。法律上の性別が同じ人どうしが結婚できないというのが今の日本の現状です。これが憲法違反になるかどうかというのを争っている裁判です。争点になっている条文が3つ、憲法13条、憲法14条1項、憲法24条の1項・2項です。

原告側の主張としては、憲法13条(個人の尊重・幸福追求権)について「すべて国民は個人として尊重される」という条文があるので、誰と結婚するかは人生の中で大きな選択、それを自分の好きなように選べないというのは個人として尊重されていないんじゃないかと主張しています。

憲法14条1項は「法の下の平等」について定めていて、「すべての人は法の下に平等」という条文があります。異性愛の人たちは結婚ができるけれど、そうでなければ結婚ができないというのは、性的指向に基づいて不当な扱いを受けていると原告側は主張しています。

憲法24条は婚姻の自由と個人の尊厳と家族の平等について定めています。1項の「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立」という文言が争いがあるところですが、原告としては同性婚を排除する趣旨で作られた文言ではなく、現代社会の法解釈としては当事者同士の合意という趣旨で解釈すべきと言っています。昔は親に決められる結婚だったけどそうじゃなくて当事者同士で、というような趣旨ですね。

憲法24条2項は結婚や家族に関するルールは個人の尊厳と平等を元に作らなければならないと定めていて、同性カップルを排除しているのは不当だと主張されています。

一方、国の主張としては、この24条1項の「両性」というのが争点になりますが、この「両性」というのは男女という意味であって、同性同士の結婚を想定していないと主張しています。

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本間アナ)国側としても排除しているわけではなく「想定していない」という言い方なんですね。

幾島編集長)そうです。なのでこの憲法の解釈の仕方によってどうなるかというのが、今争われているところです。

息をのむ音と涙…「違憲判決」の現場で感じたこと

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幾島)それぞれの主張をもとに裁判所がどういう風に判断しているかというところですが、今全部の高等裁判所の判断が出揃っているところです。ざっくりご説明すると、札幌、東京1次、大阪、福岡すべて「違憲」という判決になって、東京2次のみ合憲判断がされました。ただ東京高裁も「状況が続けば憲法違反、まずは国会で審議が尽くされるべき」と言っているので、このままで全然いいですよと言っているわけではないという現状です。

一番最初に違憲判決が出たのが2021年3月の札幌地裁。北海道がこの違憲の流れをつくってきたと言えると思います。

てる子さん)懐かしい!判決現場にいましたもん。もうそんなに時が経ったんですね。

幾島)私も当時報道記者でこの裁判の担当をしていたので、てる子さんと一緒に裁判所にいたんですけれど、あの判決を聞いた瞬間どう思いましたか?

てる子さん)正直、どうなっちゃうんだろうって私は思っていて。裁判を起こしているチームのこともすごく応援してましたし、それをPRするマリッジ・フォー・ジャパンというチームのこともすごく応援して、報告会の司会も担当させてもらったりいろいろと協力的に関わらせてもらってはいたんですが、正直「同性婚」について日本は本当に遅れているので、判決としてもものすごくアゲインストなものが出てきて自分が傷つく可能性もあるなと思いながらその場に行って空間にいたんですよね。

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てる子さん)で、そんな中で憲法14条の「法の下の平等」において「違憲状態にある」「違憲である」という風なことが言われたときに、なんか本当に「そういうことを言ってくれる人が司法サイドにいるんだ」ということがまず何より嬉しかったというのがものすごく正直なところでした。

自分たちがLGBTQについて「いろんな生きづらさがあるんですよ」と発信していても、「それって君たちが考えているだけでしょ」と思われることがそれまですごく多かったんですけれど、法という公的な態度から「この国の現状がおかしい」ということが発信されたことは、ものすごく大きなことだったなという風に思っています。

幾島)私も裁判所にいたときにすごく感動して。みんな「どんな判決が出るんだろう」と不安な気持ちとドキドキしながら席で聞いていて、「違憲だ」という発言が出たときに、裁判所だから誰もワーとか言わないんだけど、息をのむ音がすごく聞こえて。「はっ」っていう音。記者たちがバタバタ走って出て「違憲だ」というニュースをやるんですけれど、あの感動的な瞬間というのはすごく印象に残っていますね。

てる子さん)そうですね。しかも息をのんだ後、泣き始めましたからね。それが未だに忘れられなくて、日本の状況を大きく変えていく一瞬に立ち会った感じが私自身もありました。

幾島)だからこそ、あんなに感動があった判決だったのに、5年経って今まだ社会が変わっていないというところに対して、裁判と政治のズレがある。裁判に時間がかかるというのは何に関してもそうなんですけれど、政治ってこのままでいいのかなとか、社会ってちゃんと変わってきたかなというのには疑問を持っています。

むちぞん~無知は損する~

Sitakke

HBCニュースのYoutubeで動画を公開しています。

HBCアナウンサー・本間吏成

稚内市出身。HBCラジオ「気分上昇ワイド ナルミッツ!!!」パーソナリティ、野球実況、HBCテレビ「キタコイ」を担当。Sitakkeでは「むちぞん~無知は損する~」や「アライマ(アラサーの今、話してみた)」に出演。好き勝手に喋るので、リスナーからは「ナルミッツの毒」と言われる。

Sitakke編集長・幾島奈央

報道記者時代に、結婚の自由を求める訴訟などを通して性の多様性について取材。現在はWEBマガジン「Sitakke」と、クマと人のいい距離の保ち方を考えるサイト「クマここ」の運営を担当。

ゲスト:満島てる子さん

三重県出身、北海道大学大学院文学研究科修士課程修了。札幌・すすきののバー「7丁目のパウダールーム」店長。HBCテレビ「今日ドキッ!」コメンテーター、HBCラジオ「したっけラジオ」パーソナリティ、Sitakkeお悩み相談コラムのライターを務める。

※掲載の内容は収録時(2026年7月)の解説・議論に基づきます。

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