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「男女の性加害」がトイレ問題の本質 性の多様性と一緒に見つめ直したい、根づいた格差【#むちぞん】

  • 2026.10.23

世の中の「知らないと損する」話題を、北海道から「ざっくり」深掘りするHBCのWEBトーク番組「むちぞん~無知は損する~」。

情報があふれる現代社会で、「もやもやする話題」や「実は知らないと損する知識」を、その道の第一人者をお招きしてじっくり聞いていこうという企画です。

第3回のテーマは、知らないことで、近くにいる人を傷つけているかもしれない…「性の多様性」について考えます。

ゲストに、HBCテレビ「今日ドキッ!」のコメンテーターであり、Sitakkeでもお悩み相談連載を担当している満島(みつしま)てる子さんをお迎えしました。

聞き手は、HBC本間吏成(ほんま・りせい)アナウンサーと、WEBマガジン「Sitakke」編集長・幾島奈央(いくしま・なお)です。

これまでの記事は連載「むちぞん」に掲載しています。

「女子トイレ使っていいよ」の法的なリスク

満島てる子さんは性自認は男性、性的特徴(生まれたときに社会から割り当てられた性)も男性、性的指向(好きになる性)は男性、性表現(服装やふるまいなど)は女性性が強い=女装のゲイです。
(くわしくは1回目、2回目の記事で解説しています)

男性であるのに、女装をしていることから、男性トイレではなく女性トイレを勧められることがあります。今回は、そこにまつわる偏見や誤解について見つめる企画です。

幾島)性の多様性とトイレについての話題では「犯罪目的じゃないの」という視点での話題になりがちですね。「トイレどうしてるの?」と聞いた側は悪気なく言ったのに、当事者はその背景には無意識の差別があると傷ついてしまう、それはそうした不当な疑いや批判にたくさん晒されてきた経験があって、「またそういう目で見られているのかな」と思わせてしまうからだと思うんです。

Sitakke

幾島)そこで、性の多様性に関わっていらっしゃる加藤丈晴弁護士にお話を聞いてきました。性表現が女性で、割り当てられた性別(性的特徴)が男性の方が女子トイレに入った場合、問われる可能性のある法律として、例えば建造物侵入などに問われてしまう可能性もあるそうなんです。

だから「てる子さんいいんですよ、女子トイレ使って」とよかれと思って言って入れさせてしまうと、てる子さんが「えっ、私は法的リスクに晒されるかもしれないのに…」というような危険な立場に置いてしまう意味合いもあるんです。だから、それを知らないで「女子トイレ使いなよ」と言ってしまうのは、無知に基づく傷つける発言になってしまうんですよね。

Sitakke

幾島)ただそういうリスクがあるからトイレについて考えなくていいというのもまた違う。加藤弁護士がおっしゃっていたのは、「犯罪を取り締まるのは当たり前のことだし、悪質な人が処罰されるのは当たり前。だけど、どうしてその人たちの論理で、何にも悪意のないトランスジェンダーの方々が権利を制限されなきゃいけないのか」ということなんです。
高らかに特別な権利を主張しているわけではなくて、ただ「安心してトイレを使いたいだけ」なんですよね。

てる子さん)本当にそうなんですよ。安心してトイレを使いたいですし、トイレを使いたいときって切羽詰まっているじゃないですか。「もうダメ、危ない!」みたいなときもあったりするので、そんなときに「またこの問題来たか、どこ使ったらいいんだろう」と毎回毎回イライラしたりするんですよね。

だけど、さっきいくちゃんが加藤先生からのお話で言っていただいた通り、法的なトラブルに巻き込まれたくないという気持ちがあるので、私は多目的トイレが一番理想ではあるんだけど、仕方なく男性トイレの方を選択するのがメインの方向性だったりするんですよ。

トイレ問題の本質は「男女の性加害」

てる子さん)不思議だなと思うのが、毎回こうしたトイレの話になったときに「男性スペースに男装の人が入ってくること」が取り沙汰されるのではなく、世間一般として「女性のスペースに女装やトランス女性が入ること」がどうしてもピックアップされて、「犯罪目的じゃないの」と悪者にされがちなんですよね。

本間アナ)確かに。

てる子さん)私これって別の「社会的な問題の象徴」だと思うんですよ。つまり、この世の中にどれぐらい「男女の権力差」があって、男性というカテゴリーによって性的な加害を受けている女性が多いのかということの象徴だと思うんですよね。

Sitakke

てる子さん)女性の受ける性的な加害が多いからこそ、「女性としてのスペースをどうにかして守らなきゃ」という感覚になってしまう気がするんです。だから、トランス女性が悪いのではなくて、この世の中の「男女という力の差に基づく性加害」が問題だなと思うんですよね。

ちなみに、トランス女性って実は女性として不利益を受けている率がものすごく高いということが分かっていて。やっぱり「女性」というカテゴリーの中にいろんな多様な人がいるからこそ、その人たちがみんなで手を取り合って、いろんな課題を解決していかなきゃいけないのが根本の問題なのかなと私自身は思ったりします。

幾島)トランス女性という言葉が何回か出てきたので改めて。この表で言うとどういう方か説明をお願いできますか?

Sitakke

てる子さん)性的特徴が男性として生まれてきたけど、性自認、自分のことを女性と思っている人ですね。その中には戸籍を変える人もいれば途中の人もいるし、いろんな過程があります。

幾島)加藤弁護士に聞いてみたのですが、自分の性自認(自分が女性だと思っていること)に基づいて女性トイレを使うこと自体は犯罪にはならないです。盗撮だとか悪質な行為をしたときに初めて処罰されるもの。
ただ、「そう言えば悪意を持って入れちゃうじゃん」と見る方がいるかと思いますが、それはちゃんと犯罪として捜査されます。普段の生活実態を見てちゃんと捜査するのは警察の仕事。犯罪対策と性の多様性は別物として考えなきゃいけないよね、ということなんですよね。

てる子さん)男性、女性というカテゴリーの権力差を起点に、性加害について考えなきゃいけないし、そこから性の多様性に広げて、根本的なジェンダーによる格差や差別、被害や加害をなくすためにどうすべきかを考えていかなきゃいけないですね。

続きは次回の記事でお伝えします。

むちぞん~無知は損する~

Sitakke

HBCニュースのYoutubeで動画を公開しています。

HBCアナウンサー・本間吏成

稚内市出身。HBCラジオ「気分上昇ワイド ナルミッツ!!!」パーソナリティ、野球実況、HBCテレビ「キタコイ」を担当。Sitakkeでは「むちぞん~無知は損する~」や「アライマ(アラサーの今、話してみた)」に出演。好き勝手に喋るので、リスナーからは「ナルミッツの毒」と言われる。

Sitakke編集長・幾島奈央

報道記者時代に、結婚の自由を求める訴訟などを通して性の多様性について取材。現在はWEBマガジン「Sitakke」と、クマと人のいい距離の保ち方を考えるサイト「クマここ」の運営を担当。

ゲスト:満島てる子さん

三重県出身、北海道大学大学院文学研究科修士課程修了。札幌・すすきののバー「7丁目のパウダールーム」店長。HBCテレビ「今日ドキッ!」コメンテーター、HBCラジオ「したっけラジオ」パーソナリティ、Sitakkeお悩み相談コラムのライターを務める。

※掲載の内容は収録時(2026年7月)の解説・議論に基づきます。

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