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結婚って「愛し合った2人がゴール」だけの話じゃない 法律に潜む差別を見つめ直す【#むちぞん】

  • 2026.10.23

世の中の「知らないと損する」話題を、北海道から「ざっくり」深掘りするHBCのWEBトーク番組「むちぞん~無知は損する~」。

情報があふれる現代社会で、「もやもやする話題」や「実は知らないと損する知識」を、その道の第一人者をお招きしてじっくり聞いていこうという企画です。

第3回のテーマは、知らないことで、近くにいる人を傷つけているかもしれない…「性の多様性」について考えます。

ゲストに、HBCテレビ「今日ドキッ!」のコメンテーターであり、Sitakkeでもお悩み相談連載を担当している満島(みつしま)てる子さんをお迎えしました。

聞き手は、HBC本間吏成(ほんま・りせい)アナウンサーと、WEBマガジン「Sitakke」編集長・幾島奈央(いくしま・なお)です。

前回の記事で、「結婚の自由をすべての人に訴訟」の現状、そして司法の判断を受けてもなかなか動かない政治へのモヤモヤについて話しました。

この記事では、法的に結婚できないことで直面する具体的な障害や、パートナーシップ制度の限界、そして「無邪気な恋バナ」で相手を傷つけないためのコミュニケーションや言葉選びについて深掘りします。

これまでの記事は連載「むちぞん」に掲載しています。

結婚って単に「愛し合った2人がゴール」みたいな話ではない

本間アナ)札幌地裁の違憲判決から5年、国や社会は変わっていないと感じますか?

てる子さん)全国でこれだけ違憲の判断が下されているにもかかわらず、じゃあ国として何とかしなきゃねという感じのままで今まで立法府が動いてきたかと言うと、本当そんなことはまったくないなというのが正直な現状なんですよね。

待っている間に結婚したいと望んでいる当事者の人たちが、例えばご高齢になってしまってパートナーが亡くなってしまったということも実際にあるんですよ。だから「早く変わってくれるといいな」というのが切なる願いですよね。

Sitakke

てる子さん)結婚って単に「愛し合った2人がゴール」みたいな話ではなくて、不動産の契約であったり、相続税、扶養控除という税金や社会保障制度にアクセスすることなので、そうした当たり前の権利にアクセスする権利はほしいですし、保障されるべきだと思うんです。

そういう当事者がいるって知ってほしいですし、それを前提に国には変わってほしい。

本間アナ)現在パートナーシップ制度などもありますけれど、やっぱり「結婚」というものが認められることによって保障される権利がたくさんあるんですよね。具体的にはどういったところで困るケースがあるんですか?

幾島)結婚していないと法律上認められないことがいろいろあって、例えば「相続」ですね。遺言で財産を渡すことはできるんですけれど、税金が重くかかってきたり、「遺留分」といって親や子どもに権利があるので、例えばずっと同性どうしで暮らしていたけれど親が反対していて「パートナーに財産を渡せない」となった場合、親の方の権利が強いからそっちにお金がいっちゃって、全財産渡したかったのに渡せなかったということになっちゃったりすると。

あとは子どもを2人で育てていたとしても、同性どうしだったらどちらもが親権者になることができない。会社によっては育休が取れないかもしれない。

それから、パートナーが外国人だったら配偶者として日本にいる資格が得られない「配偶者ビザ」が取れない。

Sitakke

てる子さん)これ、めちゃめちゃ大きい問題なんですよね。かなり困っている人が多いと思います。

幾島)配偶者ビザじゃないビザを取る方法はありますけれど、やっぱり配偶者ビザが強いので権利の制限が生まれてきちゃったりしますよね。

あとは病院で手術の同意が「家族じゃないとできません」と言われたり、コロナ禍以降「家族しか面会できない」と決められていて、ずっと一緒に暮らしているパートナーなのに会うことすらできない、連絡も来ない。パートナーがどっかで倒れているかもしれないのに正式な家族じゃないから病院から連絡がもらえない恐怖感がある。賃貸物件の入居を断られたり、ペアローンが組めないというケースもあります。

ただ、この裁判が始まったときに「不利益がある」と上がってきたことの中で、民間企業の努力で変わってきているところもすごくあって。ペアローンや携帯電話の家族割り、航空会社のマイル共有などが同性カップルも利用できるようになってきています。

だから最高裁の判断を待つだけでなく、民間の努力で不公平を変えていく意識も大事ですね。

てる子さん)民間が努力してくれるようになったきっかけとして、自治体の「パートナーシップ制度」が2015年頃から導入されたことが大きかったと思います。証明カードを見せることで「パートナーです」と証明できるようになって、医療現場などでも対応してくれるようになりましたし、「嘘をつかなくてよくなったね」という安心感を覚えている当事者もいます。

だけど、このパートナーシップ制度があることで「日本はゲイの人も結婚できるんでしょ?差別ないじゃない」というまた間違った理解が広まっているなと思って。「てるちゃんよかったね、日本はパートナーシップ制度があって結婚できるんでしょ」ってよく言われるんですけれど、パートナーシップ制度は自治体でカードを作れるだけですべてに対応できるわけじゃないし、法的な拘束力は全くないわけですよ。

Sitakke

幾島)このパートナーシップ制度と結婚の関係について、結婚の自由訴訟に関わっている加藤丈晴弁護士がかつてアメリカの人種差別であった「分離すれども平等」という考え方に例えてお話しされていました。

昔アメリカで「黒人と白人で学校を分けます、でも受けられる教育は同じだから差別じゃないですよね」という考え方があったけれど、「分けていること自体が差別の温床になる」として間違っていたとされた歴史があります。

それが今の日本の結婚制度におけるパートナーシップ制度と婚姻制度の関係にも言えるんじゃないかと説明されていました。

てる子さん)そうですね。法的保護を受けられるかどうかとパートナーシップ制度は別問題ですし、異性愛者の結婚とは別の制度を作るという方向には行ってほしくないなという気持ちが私にもありますね。

続きは次回の記事でお伝えします。

むちぞん~無知は損する~

Sitakke

HBCニュースのYoutubeで動画を公開しています。

HBCアナウンサー・本間吏成

稚内市出身。HBCラジオ「気分上昇ワイド ナルミッツ!!!」パーソナリティ、野球実況、HBCテレビ「キタコイ」を担当。Sitakkeでは「むちぞん~無知は損する~」や「アライマ(アラサーの今、話してみた)」に出演。好き勝手に喋るので、リスナーからは「ナルミッツの毒」と言われる。

Sitakke編集長・幾島奈央

報道記者時代に、結婚の自由を求める訴訟などを通して性の多様性について取材。現在はWEBマガジン「Sitakke」と、クマと人のいい距離の保ち方を考えるサイト「クマここ」の運営を担当。

ゲスト:満島てる子さん

三重県出身、北海道大学大学院文学研究科修士課程修了。札幌・すすきののバー「7丁目のパウダールーム」店長。HBCテレビ「今日ドキッ!」コメンテーター、HBCラジオ「したっけラジオ」パーソナリティ、Sitakkeお悩み相談コラムのライターを務める。

※掲載の内容は収録時(2026年7月)の解説・議論に基づきます。

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