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値下げの理由をあえて書かなかった僕が、値段が決まってからようやく送ったメッセージ

  • 2026.10.25
ハウコレ

事情を全部書けば、きっと応じてもらえた。それでも値下げのお願いには何も添えなかった。値段が決まってから、ようやく送れたメッセージがある。

検索結果の一番上に、見覚えのある柄が表示されました。何度も同じ言葉で探してきた、もう作られていないマグカップ。値段を確かめてから、給料日までに使えるお金を頭の中で数え直しました。

割れたマグと、給料日までの残り

彼女のマグカップが割れたのは、1か月ほど前のことです。彼女の部屋で洗い物を引き受けた僕が、手を滑らせました。「形あるものだからね」と彼女は笑っていましたが、学生のころから使っていたものだと知っていました。

それ以来、フリマアプリで検索するのが癖になりました。

ようやく見つけた出品は3,000円。ほかより安く、元箱付き。ただ、彼女の誕生日は給料日より先でした。家賃を払い終えたあとの残りから、給料日まで通勤に使う分を除くと、出せるのは2,700円まで。

給料日を待てば、誕生日には間に合いません。この値段なら、すぐに誰かが買ってしまうはずです。かといって、彼女への贈り物のお金を誰かに借りるのも違う気がしました。

事情は書かないと決めていた

コメントを打つ前に、決めたことがあります。事情は書かない。断られたら、そこであきらめる。

彼女の誕生日、割れたマグ、給料日。全部書けば、応じてもらえる見込みは上がったはずです。でもそれは、出品者さんの優しさに値段を下げさせるようなもの。すでに安く出してくれている人に、断りにくい理由まで背負わせたくありませんでした。

「はじめまして。こちら、2,700円にしていただくことは可能でしょうか。」

送ったあとは、アプリを開いては閉じるばかり。届いた返信には「すでにお安くしているのですが」とあり、そのとおりだと思いました。それでも、応じてくれた。お礼だけを返して、すぐに購入しました。

値段が決まってから、ようやく打てたこと

支払いを済ませてから、取引メッセージの欄を開きました。値段はもう決まっています。今なら事情を書いても、何かを引き出すことにはならない。だからこそ、きちんと伝えておきたかったのです。

「無理なお願いを聞いてくださってありがとうございました。彼女の誕生日が給料日より先で、どうしても割れてしまった物と同じ柄を渡したかったんです。値下げの前に事情を書くのは違う気がして、今になってすみません。」

割ったのが自分だということまでは、書けませんでした。

返ってきたのは、誕生日に間に合うように発送するという短いメッセージ。最初の返信より、言葉がやわらかくなっていました。

そして...

届いた箱を開けると、緩衝材に巻かれたマグの横に、同じシリーズのコースターが入っていました。箱の底には、無地の紙袋が平たく敷かれています。メッセージにも、何も書かれていませんでした。

受取評価には「コースターと紙袋まで、本当にありがとうございました。」と書きました。差額の300円を返す方法は、思いつきませんでした。

誕生日、マグとコースターを紙袋に入れて渡すと、彼女は「これ、セットだったんだ」と言いました。出品者さんが入れてくれたのだと、それだけ答えました。

給料日のあと、贈り物用の小さな封筒を1つ用意しました。中には今、500円玉が1枚入っています。

(20代男性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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