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「なんとかなりませんかね?」福袋の交換を頼む女性客の後ろから現れた母親。後日、店員が思わず固まった理由

  • 2026.10.23

お正月のレジに戻ってきた女性客

服の店で働いていたころ、お正月の初売りで忘れられない出来事がありました。

昼過ぎ、朝に福袋を2つ買った30代くらいの女性がレジに戻ってきたのです。

女性は袋を開け、服をカウンターに並べました。

見比べると、色も形も同じ服が二組。

2つの福袋の中身が、そっくり同じだったようです。

「これ、両方とも同じだったんです。ひとつだけ交換してもらえませんか?」

せっかく楽しみに買ったのに、がっかりしたのでしょう。気持ちは分かりましたが、店では福袋の返品や交換を原則として受け付けていませんでした。

「申し訳ありません。福袋は交換できない決まりなんです」

「そうなんですね……。でも、同じ服が2枚あっても困るし……」

女性は服を見つめたあと、両手を胸の前で合わせました。

「そこをなんとか、お願いできませんか」

娘とそっくりな母親まで現れて

私が返事に迷っていると、女性の後ろから、もう一人の女性が顔をのぞかせました。

60代くらいのその人は、入口近くのワゴンを見ていた母親でした。

娘の様子が気になったのでしょうか。

レジまで来ると、娘の肩越しにこちらを見ました。

驚いたのは、目元や眉の下げ方が娘とそっくりだったことです。

「なんとかなりませんかね?」

母親まで両手を合わせ、娘と同じように首をかしげました。

二人の表情も仕草もあまりに似ていて、私は一瞬、返す言葉を失いました。

原則として交換はできません。

ただ、当時の店には、もめごとを避けるために例外的に応じる方針もありました。

私は迷った末、売り場から未開封の福袋をひとつ持ってきて、交換することにしました。

「わあ、ありがとうございます!」

「よかったわねえ」

親子は顔を見合わせ、そろって笑顔で頭を下げて帰っていきました。

後日の面接で、まさかの再会

それから少しして、店でアルバイトを募集することになりました。

面接の日、奥の事務所に入ってきた応募者を見て、私は思わず目を見開きました。

あのとき福袋を持ってきた女性だったのです。

面接の席で履歴書の職歴欄を見ると、「新幹線の車内販売」とありました。私は気になって尋ねました。

「新幹線で車内販売をされていたんですね」

「はい。前にやっていたんです」

「どのくらい続けたんですか?」

女性は少し間を置いて、照れくさそうに笑いました。

「3か月くらいです。私、乗り物酔いしやすくて。続けられなかったんです」

「えっ、そうだったんですか」

思いがけない答えに、私は思わず口元を押さえました。女性も自分で話しながら吹き出しています。

その笑顔を見て、正月のレジで並んで手を合わせていた親子を思い出しました。

母親と似た目元で笑う彼女に、また会うことになるとは。あの日の二人の姿は、今でも鮮明に覚えています。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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