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揺れやすさマップとは!地震の揺れは地盤で異なる

  • 2026.10.22

写真提供:Adobe Stock

地震が発生した際、「同じ市内なのに隣の地区の方が揺れが激しかった」「震度のわりに自宅はあまり揺れなかった気がする」と感じたことはないでしょうか。

実は、地震による揺れの強さは、震源からの距離や地震の規模だけでなく、足元にある地盤の性質によっても変化します。このため、同じ市町村の中であっても、地盤の違いによって揺れやすさは異なるのです。

こうした地域ごとの揺れの違いを分かりやすく可視化したのが「揺れやすさマップ」です。今回は、防災科学技術研究所が提供する「揺れやすさマップ」の概要や見方を解説するとともに、地盤ごとの揺れの違いや、住んでいる地域の危険度を正しく把握して日頃の防災対策に生かすポイントについて詳しくご紹介します。

地震の揺れは地域で異なる

同じ市町村にあっても、場所によって地震の揺れの強さは大きく異なります。まずはこちらの図をご覧ください。

出典:気象庁「震度データベース検索」

これは2026年7月28日に発生した熊本地震の震度分布ですが、揺れの強さは必ずしも震源から近いほど強く、遠いほど弱いとは限らず、震源から離れた場所でも周囲より強い震度が観測されている地域があることが分かります。

こうした地域による揺れの違いが生じる要因の一つは、地表近くにある「表層地盤」の質が地域ごとに違うためです。

表層地盤とは、地表面からおよそ深さ30m程度までの浅い地層を指します。地下の固い岩盤を通ってきた地震波は、この表層地盤を通って地表へと伝わりますが、表層地盤が柔らかいほど波の振幅が大きくなり、揺れが増幅する性質を持っています。

そのため、同じ震源距離や規模の地震であっても、表層地盤が固い山地や台地などに比べて、柔らかい地盤でおおわれた地域の方が、地表では一段と強い揺れに見舞われやすくなります。

揺れやすい地盤の特徴

地盤は、岩石や土の固まり具合によって「固結地盤(岩盤)」「半固結地盤」「未固結地盤(土)」に分類されます。

また、人の手によって造成された盛土や埋立地などは「人工地盤」と呼ばれます。

このうち、特に地震の揺れが増幅しやすく注意が必要なのが、未固結地盤のなかでも柔らかい粘土や緩い砂でできた軟弱地盤や人工地盤です。

地盤の分類 主な地形・場所 特徴と地震時のリスク
沖積層(軟弱地盤) 海岸平野、河川周辺の低湿地、浅い谷 非常に柔らかく、建物を支える力が弱い。揺れが増幅しやすく、液状化や不同沈下(建物が不揃いに沈み、傾むくこと)を起こしやすい。
人工地盤(盛土・埋立地) 臨海部の埋立地、丘陵地の谷埋め造成地 人工的に土を盛ったり埋め立てたりした地盤。締め固めが不十分な場合が多く、強い揺れや地滑り、盛土の崩落リスクがある。
固結・半固結地盤 山地、高台 岩盤など固く引き締まった地盤。揺れが増幅しにくい。

日本で軟弱地盤の多くを占めるのが、河川の流域や沿岸部に広がる沖積層(ちゅうせきそう)です。こうした軟弱地盤や人工地盤の上では、地震の波が大きく増幅されて激しい揺れが生じるだけでなく、地盤沈下や液状化現象、土砂災害といった被害にもつながりやすくなります。

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揺れやすさマップとは

揺れやすさマップとは、地震が発生した際の各地域の地面の揺れやすさを地図上に色分けして可視化したものです。地表近くの地盤の固さを数値化し、どのエリアで強い揺れに見舞われやすいかを一目で把握できるように作られています。

ここでは、防災科学技術研究所が提供する「J-SHIS Map」の揺れやすさマップをご紹介します。

揺れやすさマップの見方

J-SHIS Mapの「表層地盤」画面を選択すると、プルダウンメニューから「地盤増幅率」と「30m平均S波速度」との2つの指標を選択してマップを表示できます。

目的に合わせて使い分けるのがポイントです。

以下に地盤増幅率と30m平均S波速度の特徴をまとめています。

指標 マップが表している意味 揺れやすい地域
(赤〜オレンジ)
揺れにくい地域
(青)
地盤増幅率 固い地盤と比べて、地表で揺れが何倍に増幅するか 数値が大きい 数値が小さい
30m平均S波速度(Vs30) 地表から深さ30mまでの地盤の固さ(S波の伝わる速度) 数値が小さい 数値が大きい

以下の画像は地盤増幅率です。

以下の画像は30m平均S波速度です。

出典:防災科学技術研究所「J-SHIS Map」

実際に関東付近のマップを見てみましょう。

東京湾沿岸や埼玉・千葉へと広がる平野部、河川の流域周辺にかけて赤やオレンジ色の領域が濃く広がっているのが分かります。これは沖積層などの柔らかい地盤や埋立地が集中しており、地震の波が増幅されやすい揺れやすい地域であることを示しています。

一方で、甲信越や北関東の山間部、武蔵野台地などの高台は緑〜青色が広がっており、地盤が堅固で揺れが増幅しにくい性質を持っていることがわかります。

なお、「地盤増幅率」は数字が大きいほど揺れやすいため、直感的に危険度を把握するのに適しています。一方「30m平均S波速度」は、数字が小さく速度が遅いほど柔らかく揺れやすい地盤であることを示します。

最初は分かりやすい「地盤増幅率」でご自身の住む地域の揺れやすさを確認し、さらに地盤そのものの固さを詳しく知りたい場合に「30m平均S波速度」に切り替えるといった使い方がおすすめです。

揺れやすさマップを活用するポイント

マップでご自身の住む地域の揺れやすさを把握したら、次はそのリスクに応じた具体的な防災行動につなげることが大切です。

特に揺れが大きいと予想されている地域では、以下の対策を早めに行う必要があります。

・家具固定と耐震の強化:赤や橙色の揺れやすい地域では大きな揺れが想定されるため、家具の転倒防止器具の設置や建物の耐震補強を最優先で進めます。

・避難経路の危険チェック:揺れが大きい場所ではブロック塀の倒壊や道路の亀裂が起きやすいため、避難ルートを事前に点検します。

・ハザードマップの併用:自治体の液状化や土砂災害ハザードマップと照らし合わせ、二次災害も含めた総合的な避難計画を立てることが重要です。

もちろん、揺れが比較的小さいと予想されている地域であっても油断は禁物です。

震源が近い場合や想定を超える大地震が発生した際には強い揺れに見舞われるため、最低限の家具固定や備蓄といった基本的な地震対策は必ず実施しておきましょう。

頻発する地震に備えよう

いつどこで大地震が発生してもおかしくない日本において、自分が暮らす地域の地盤リスクを知ることは防災対策で欠かせません。地盤の揺れやすさを事前に把握しておくことで、家具の固定や避難経路の点検など、必要な対策を効率的に進められます。

まずは揺れやすさマップを活用して足元の地盤を確認し、具体的な備えをはじめましょう。

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<執筆者プロフィル>
田頭孝志
気象防災アドバイザー(国土交通大臣委嘱)

田頭気象予報士事務所代表。愛媛の気象予報士・防災士。防災や気象関連の記事執筆をはじめ、テレビ番組の監修、防災教材開発などを行う。BS釣り番組でお天気コーナーを担当したほか、自治体、教育機関、企業向けに講演を多数、防災マニュアルの作成に参画。

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