1. トップ
  2. ゴジラ・エルニーニョってなに?日本への影響は?

ゴジラ・エルニーニョってなに?日本への影響は?

  • 2026.10.22

日比谷ゴジラスクエアのゴジラ像 写真提供:Adobe Stock

「ゴジラ・エルニーニョ」という言葉をご存じでしょうか?どこかで見聞きして、気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

過去最大級のエルニーニョとも称されるこの現象は、いま欧米のメディアや科学者の間で大きな議論を呼んでいます。英ガーディアン紙などが「ゴジラ級の強さ」と報じた背景にあるのは、極端な異常気象や世界的な食料危機などを引き起こしかねないという深刻な危機感です。

一見すると遠い外国の出来事のようにも思えますが、ゴジラ・エルニーニョは私たちの暮らす日本や日々の生活にも大きな影響を与える可能性があります。

その実態と今後の見通しについて解説します。

ゴジラ・エルニーニョとは

「ゴジラ・エルニーニョ(またはスーパー・エルニーニョ)」とは、太平洋赤道域の中部から東部にかけての海面水温が平年より高くなる「エルニーニョ現象」のうち、過去最大級の規模にまで発達した場合を指す呼び名です。

なお、ゴジラ・エルニーニョは気象庁の正式な名称ではなく、一部の科学者や欧米メディアが非公式にそう呼んでいます。

一般的なエルニーニョ現象との違い

一般的なエルニーニョ現象との違いは、その「規模の大きさ」と「影響」です。

気象庁では、監視海域の海面水温の5か月間の平均値が、過去30年の水温の平均と比べて0.5度以上高い状態が半年以上続いた場合に「エルニーニョ現象が発生した」と定義しています。

エルニーニョ現象が発生すると、日本では冷夏や暖冬になり、世界各地では極端な熱波や寒波、干ばつ、大雨といった異常気象を引き起こす原因となります。

ゴジラ・エルニーニョでは、監視海域の基準値が+2.0℃以上に達するような規模になります。規模が大きくなることで、通常のエルニーニョ現象の枠に当てはまらない異常気象や、それに伴い社会生活に甚大な被害を与えるリスクが高まります。

2026年の秋から冬にかけて過去最大規模のエルニーニョ現象が予想されている

過去最大のエルニーニョ現象は1997年春~1998年夏に3.6℃、次いで2014年春~2016年春に3.1℃を記録しました。

そして2026年は、これらの過去の記録を大きく上回る可能性が出てきています。

出典:気象庁「エルニーニョ監視指数の経過と予測」

気象庁の予測を見ると、秋から冬にかけては+4.0℃前後という、これまでに経験したことのない水準に達する予測となっています。

数値からも、今回のエルニーニョ現象がゴジラ級の規模であること、そしてこれまでの常識が通用しない気候変動への警戒が必要であることがわかります。

ゴジラ・エルニーニョがもたらす日本への影響

これから冬にかけてエルニーニョ現象が最盛期を迎えます。

過去最大級とされる今回のゴジラ・エルニーニョは、私たちの暮らす日本にもさまざまな影響を及ぼすおそれがあります。

一般的に、エルニーニョ現象が起こると日本では「冬型の気圧配置が弱まり、暖冬になりやすい」という特徴がありますが、気象庁が発表した最新の冬の天候見通しでも、日本付近の今年の冬は寒気の影響が小さくなる予想となっています。

具体的なポイントは以下の通りです。

・東・西日本を中心に気温が高い

・日本海側の降雪量は少ない傾向

・太平洋側などで多雨のリスク

今冬は、暖冬・少雪が予想される一方で、低気圧の通過に伴うまとまった雨が予想されるなど、例年とは異なる気象への警戒が欠かせません。

なお、監視海域の基準値が+2.0を大きく上回った2015年12月~2016年2月にかけての冬も、全国的に高温・多雨となりました。沖縄・奄美では、冬の降水量が平年比188%となり、1947年の統計開始以来のもっとも多い値を更新(2016年時点)しました。これもエルニーニョ現象に伴うフィリピン付近の対流活動の変化により、偏西風が蛇行し、日本へ南から暖かく湿った空気が流れ込みやすい状態だったことが主な要因とされています。

ゴジラ・エルニーニョがもたらす世界への影響

英ガーディアン紙をはじめとする欧米メディアや科学者の間では、今回の現象がもたらす世界規模の気候変動や社会への影響について、深刻な議論が交わされています。

歴史的に見ても、規模の大きなエルニーニョ現象は世界各地で異常気象の引き金となり、食糧危機や社会的な混乱を引き起こしてきました。

そして、ゴジラ・エルニーニョにより、2026年~2027年にかけて世界各地で深刻な干ばつや洪水、暴風雨のリスクが高まることが予測されています。

こうした背景を受け、国連世界食糧計画(WFP)や国連食糧農業機関(FAO)は、ゴジラ・エルニーニョがもたらす世界的な飢餓危機や農業への打撃を未然に防ぐため、早期の資金援助と予防措置を共同で強く訴える事態となっています。

具体的には、影響が懸念される22か国(アフリカ、アジア、太平洋、ラテンアメリカ、カリブ海の諸国)において、約880万人を保護するため、総額2億200万ドルの資金拠出を呼びかけています。

日本国内だけでなく、世界全体の食料安全保障や経済の安定にとっても、今回のゴジラ級の規模は重大な脅威となっています。

ゴジラ・エルニーニョはいつくらいに解消するのか

エルニーニョ現象は今冬に最盛期を迎えた後も完全には収束せず、2027年の春先にかけて持続し、春頃から段階的に平常状態へと移行していく見通しです。

以下はNOAA(アメリカ海洋大気庁)が2026年9月に発表した今後のエルニーニョ現象の発生確率をまとめた表です。

期間 エルニーニョ発生確率
(0.5℃以上の確率)
うち2.0℃以上の確率
8-10月 100% 77%
9-11月 100% 97%
10-12月 100% 98%
11-1月 100% 93%
12-2月 100% 75%
1-3月 100% 39%
2-4月 97% 5%
3-5月 82% 0%
4-6月 43% 0%

表: NOAA「2026年9月CPC公式ENSO強度確率」を参考に筆者が作成

※NOAAのエルニーニョの定義は、日本の気象庁とは異なり「3か月移動平均」を用いており、対象とする監視海域も一部異なります。

NOAAの予想では、2026年12月~2027年2月の期間でエルニーニョ現象の基準を満たす確率は100%に達しています。さらに、監視指数が+2.0℃以上となる「ゴジラ・エルニーニョ」に達する確率も75%と高く、今冬にかけて記録的な勢力が持続する見込みです。

来年に入っても、1月~3月にかけて39%の確率で+2.0℃以上となっており、春から初夏にかけて徐々に確率が低下していく予測となっています。

これから来年にかけて気をつけるべきこと

まず今年の冬は過去最大級のエルニーニョ現象により、暖冬や少雪、大雨など過去に経験がないような気象現象に気をつける必要があります。

春頃からゴジラ級のエルニーニョ現象は解消されていくものの、依然としてエルニーニョ現象自体は続く見込みです。エルニーニョ現象になると春の平均気温は高いことが多いため、季節外れの高温や熱中症への早めの対策なども必要になります。

今年の冬から来年にかけては、一時的な異常気象への警戒にとどまらず、中長期的な防災・減災意識を継続していくことが重要です。

<執筆者プロフィル>
田頭孝志
気象防災アドバイザー(国土交通大臣委嘱)

田頭気象予報士事務所代表。愛媛の気象予報士・防災士。防災や気象関連の記事執筆をはじめ、テレビ番組の監修、防災教材開発などを行う。BS釣り番組でお天気コーナーを担当したほか、自治体、教育機関、企業向けに講演を多数、防災マニュアルの作成に参画。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ