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「決裁できる方、いますよね?」何度断っても電話をかけ直す営業の男性。だが、代わって受話器を取った社長の返答

  • 2026.10.22

断っても何度もかかってくる営業電話

地方の小さな会社で、事務の仕事をしていたころの話です。

昼過ぎの事務所で、私は自分の席で伝票を整理していました。

社長は事務所の奥の席で、書類に目を通していました。

そんなとき、会社の代表電話が鳴りました。

受話器を取ると、相手の男性は名乗るなり、早口で営業の案内を始めました。

「今ならお試しでご案内できまして、ほかの会社さんでも評判がよくてですね」

私は話の区切りを待って、丁寧に断りました。

「すみません。そういったお話はお受けしていないんです」

ところが男性は、こちらの返事など聞こえていないかのように説明を続けます。

「あの、申し訳ありませんが、失礼しますね」

そう伝えて、私は受話器を置きました。

ところが数秒後、また電話が鳴ったのです。表示されているのは、先ほどと同じ番号でした。

「もしもし?」

「あ、さっき途中で切れちゃったみたいで。それでですね…」

私は思わず言葉を失いました。

「いえ、先ほどもお伝えしたんですが……」

すると男性は、私の言葉をさえぎるように声を強めました。

「いいから最後まで聞いてくださいよ。決裁できる方、いますよね?」

その言い方に、胸がざわつきました。

まるで、事務員の私と話しても意味がないと言われているようでした。

「申し訳ありませんが、お取り次ぎはできません。失礼いたします」

私はもう一度電話を切りました。

しかし、また数秒後に着信音が響きます。

受話器に手を伸ばしかけたものの、今度はためらってしまいました。

受話器を取った社長の一言

繰り返し鳴る電話に、奥の席にいた社長が顔を上げました。

そして私の席まで歩いてくると、短く言いました。

「代わるよ」

社長は私の机の横に立ち、受話器を取りました。

私は椅子に座ったまま、緊張しながらその様子を見守っていました。

「決裁できる方に代わっていただけましたか?」

受話器から、男性の声が漏れ聞こえてきます。

社長は落ち着いた声で答えました。

「はい、私が社長です。担当者が何度もお断りしているとおり、うちでは必要ありません」

その瞬間、先ほどまで続いていた男性の話し声が止まりました。

社長は続けました。

「何度お電話いただいても、お答えは同じです。これ以上のお電話はご遠慮ください」

男性からの返事は、私には聞こえませんでした。

社長は「失礼します」と告げ、静かに受話器を置きました。

そして奥の席へ戻りかけたところで、私を振り返りました。

「次から、しつこい電話はすぐ呼んで」

「はい……ありがとうございます!」

ようやく緊張が解け、私は思わず笑顔でうなずきました。

それまで一人で何とか断ろうとしていたので、社長の一言が本当にありがたかったのです。

それきり、あの番号から電話がかかってくることはありませんでした。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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