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人の家を捜索する背徳感…!空き家をまるごと使うリアル謎解きゲーム静岡市駿河区の一軒家で開始

  • 2026.10.21

スマホ・ゲーム機の世界を超えて、リアルでも楽しめる「謎解きゲーム」。今では体験型エンターテインメントとして定着し、多くのファンを魅了している。

今回、静岡でスタートしたのはそんな「リアル謎解き」ファンがワクワクするような新たな取り組みだ。

探偵キャラクター「たぬき探偵ジェリー」の助手となり、畳の部屋から押し入れ、タンスの引き出しまで捜索する。それらを行うのは、「創られた」空間ではなく、かつての生活の空気と家具を残した“空き家”だ。

空き家一軒まるごと使った「新感覚体験」の舞台裏

全国で増え続ける、誰も住まなくなった「空き家」。手放せずに放置されたその空間は、見方を変えれば誰も手を付けていない「未攻略のリアルダンジョン」そのものだ。 そんな空き家に目をつけたのが、静岡の維新エンターテインメントだ。

「売りたくない・直せない」という空き家を、改修も解体もせず、そのまま物語の舞台として借り受ける──。そんな逆転の発想で、リアル空間を巨大なゲームフィールドへと作り変えてしまった。

その第1弾として生み出されたのが、実際の空き家を丸ごと捜索する探索型ゲーム『おばあちゃんの遺産の謎』だ。

自分の手で家具を開け、家じゅうを捜索していく──。ゲーマーの冒険心を激しく揺さぶる、新感覚の体験型エンターテインメントの舞台裏に迫る。

全国に溢れる「開かずのダンジョン」──捨てられない思い出と不動産市場の限界

総務省の調査によれば、全国の空き家数は約900万戸、空き家率は過去最高の13.8%に達している。中でも深刻なのが、売却や賃貸に出されていない「その他の空き家」だ。

空き家が放置される背景には、大きく分けて2つのケースがあるという。ひとつは、立地や老朽化、残置物の多さから売ることも貸すこともできず、固定資産税だけを払い続けているケース。もうひとつは、市場価値はあっても、思い出のある実家を「他人が住む家」として手放す決心がつかず、判断を先送りしているケースだ。

どちらの場合も、所有者は「売る・貸す・直す」のどれかを選ぶよう迫られる。そのため、片付けや改修の手間、膨大な費用、そして気持ちの整理がすべて揃わないと動き出せない。そうして判断を先送りにしている間にも家は傷み、老朽化や近隣住民への気がかりばかりが増えていくのが実情だ。不動産の価値判断(=住む・売る・貸す)だけでは救い出せない家が、全国に溢れ返っている。

そこに維新エンターテインメントが提示したのが、そのどれでもない「第三の選択肢」だった。

「私たちがお願いしているのは、売ることでも、直すことでもありません。残置物はそのまま残していただいて構いませんし、むしろ歓迎しています。改修もせず、水道光熱費は当社が負担し、家賃もお支払いします。残っているものをそのままに、物語の舞台としてお借りするだけです。誰かが長く暮らした家に残る気配は後からつくれませんし、それを一番いい形で活かせるのが謎解きだと考えています」(維新エンターテインメント代表取締役 武友 淳さん)

片付けや修繕の手間・コストを一切求めず、思い出の品もそのまま活用する。「売りたくない、でも放っておくのも心苦しい」と悩んでいた所有者にとって、大切な家を手放さずに価値を生む新しい道が開かれたのだ。

「人の生活痕」こそが最高のギミック。「リアルステージ」へと再定義

生活感こそ、ゲームにとっては最高のリソースだった。維新エンターテインメントが着目したのは、「人が長く暮らした家に残る生活の痕跡は、謎解きの舞台装置としてはむしろ強みになる」という点だった。

2026年9月、同社は実際に人が住んでいた静岡市駿河区の一軒家をそのまま使用する「空き家謎解きゲーム」を開始。第1作として驚かせるようなホラー演出が含まれない、空き家ならではの空気感のなかで、仲間と協力しながら遺産のありかを突き止めていく探索型の『おばあちゃんの遺産の謎』を公開した。

難航した「物件探し」──オーナーの一言から生まれた奇跡の第1号

実はこの事業、はじめからスムーズに運んだわけではなかった。当初、アパートや空き家を不動産会社経由で探していたものの、「近隣の目がある」「住むための場所だから」と断られ続けたという。転機となったのは、維新エンターテインメントが運営する店舗「ジェリーの謎解きルーム」内に貼っていた一枚の「空き家募集」の貼り紙だった。

それを見た長年お店に来ていたオーナーから「おばあちゃんが亡くなり、住んでいた家が空き家になっている。物が残っていても大丈夫でしょうか」と連絡が届き、奇跡的な縁で第1号物件が決まった。

第1作『おばあちゃんの遺産の謎』は、この家そのものから着想を得て作られた特別な作品だ。 演出面でも「謎解きライト層」でも楽しめる温かいストーリーを意識しつつ、作り込みすぎず元々ある空間や家具をそのままステージ化。一軒家丸ごとだからこそ仕込めた「空き家でしかできない驚きの演出」も盛り込まれている。

畳の部屋、押し入れ、タンスの引き出し──。箱の中でも紙の上でもなく、作り物のセットでもない。人が住んでいたリアルな空間で、参加者は60分間の制限時間内に家じゅうを捜索し、手がかりを集めていく。

「売りたくない・直せない」空き家を、改修費をかけずにそのまま「物語の舞台」としてお借りする──。従来の空き家活用とは一線を画す、エンターテインメント発の逆転の発想であった。

【4時間で即完売】満足度9.6点!タンスも押し入れも捜索する圧倒的没入感

この挑戦は、スタート直後から圧倒的な反響を呼んだ。 先行公演のチケットは受付開始からわずか約4時間で完売。実際の参加者を対象にしたアンケートでは、10点満点中、平均9.6点(満点回答率84%)という驚異的な満足度を記録し、89%が「第2弾にも参加したい」と回答した。

先行公演や本公演では、複数人で協力しながら家じゅうを探索し、最初は口数の少なかったプレイヤーが閃き一発で謎を解き明かすなど、誰もが活躍できるドラマが生まれている。驚きの演出の瞬間には「おーっ」と歓声が上がるなど、テーブルゲームやカフェ型にはない熱量に包まれた。

参加者の36%は謎解きイベント初体験者であったが、初心者層の満足度は平均9.8点とさらに高評価を得た。困った時にはヒントを受け取れる配慮や、1組貸切(2〜6名)で周りを気にせず自分たちのペースで楽しめる点も大きな魅力となっている。

「人の家に来て勝手に漁る背徳感」

「人の息吹を感じるのが怪しくて良い」

「空き家を実際に探検できるのが面白かった。住人の気配が感じられる」

「人の家を探索するのは初めて。わくわく感満点でした」

「空き家ならではの残置物がストーリーになってリアルでよかったです」

といった声が寄せられ、家族やカップル、友人同士が「いつもと違う体験」を求めて訪れる新たな名所となっている。

日本中の空き家がプレイエリアに! 全国150棟の「リアルステージ化」へ

「使われない家」から「人々が集まり感動を生む場所」へ──。維新エンターテインメントは、この「空き家謎解きゲーム」をフランチャイズ方式で拡大し、2031年度までに日本全国150棟での展開を目指している。

本部が空き家の確保・ゲーム制作・プロモーションを担い、加盟者が運営に専念できる仕組みを整備。さらに、個人オーナーからの空き家募集だけでなく、空き家対策や地域活性化に悩む「自治体・企業」との連携ソリューションとしても動き出している。

会場となった空き家のオーナー(お孫さん)も、思い出の家に再び活気が戻った様子に「毎週掃除に行くだけだった家に、活気が戻ってきたような安心感がある」と喜ぶ。自身でゲームを体験した際も「元々あった空き家がこんな風にゲームに変わるんだ」と感動した様子だった。「家は誰も住んでいないとすぐに傷んでしまう。手放したくないけれど住む予定もないなら、使えなくなる前に貸すことをおすすめしたい」と語っているという。

「全国の空き家は約900万戸あります。これは一社だけで解決できる規模ではありません。だからこそ、一緒に取り組んでくれるフランチャイズ加盟者の方を全国で募集しています。空き家探し、ゲーム制作、プロモーションは本部が担うので、加盟者の方は運営に専念していただけます。2031年度までに全国150棟の展開を目指しています。

空き家に定期的に人の出入りがあると、家の傷みを防げますし、地域の見守りにもつながります。運営を担うのは地域のスタッフなので、小さいながら雇用も生まれます。そして何より、その町に『この家を目当てに来る人』が生まれます。

当社の理念は『ENJOY』です。空き家問題は暗い話として語られがちですが、私たちは楽しみながら解決していけると思っています。舞台になる空き家をお持ちのオーナー様、空き家対策に取り組む自治体や企業の皆さま、そして一緒に運営してくださる加盟者の方。仲間を増やしながら、みんなで楽しく空き家問題を解決していけたらと思っています。」(維新エンターテインメント代表取締役 武友 淳さん)

全国の街に眠る空き家が、次々と「エンターテインメントの聖地」へと姿を変えていく未来は、すぐそこまで来ている。

維新エンターテインメント:https://www.tanteijelly.com 空き家オーナー募集ページ:https://akiyanazo.com/owner フランチャイズ(FC)加盟募集ページ:https://akiyanazo.com/fc

(白井恵理子)

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