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伝統を守るミュンヘン、自由に挑むベルリン。二大都市の醸造所を巡って知る、ドイツビールの奥深さ

  • 2026.10.21

法令に基づいて造られるドイツビールは質が高く、祝祭の場では皆が衣装を着て杯を挙げるなどまさしく国民的な美酒。奥深い文化を味わいに、2大都市ミュンヘンとベルリンの醸造所を巡る。


ビールの国といえばドイツでその実態と文化はもっと深い

ひとりでもグループでも気軽に楽しめる、「アウグスティーナ・シュタムハウス」。

意外や、欧州でビール醸造所が一番多い国はフランスで、英国に次いでドイツは第3位。一人あたり消費量でもチェコ、クロアチア、オーストリアに続く。ただし生産量7900億リットルは2位スペインのほぼ2倍。逆説的だが、飲む以上にビールを造ることに、ドイツ人は積極的だ。

中世から近世の欧州では、温めたビールをパン代わりに朝食として摂っていたとか。どう汚染されているか分からない水より加熱麦汁ベースのビールを飲む方が、安全で衛生的。必要から口にするものだった。1516年にバイエルン公ヴィルヘルム4世が出したビール純粋令は“原料を麦芽・ホップ・水・酵母のみとする”という内容で、味よりも質の底上げ狙い。それ以前にも多くの自由都市や君主らが粗悪ビールを駆逐するのに腐心していた。

醸造所「ベルロ」では多彩なラインナップが楽しい。個性的な味わいを存分に楽しみたい。

美味しく飲むためのビール造りが、現在のミュンヘンがあるバイエルンで盛んになったのは、中世の修道院から。ボヘミアなど中欧、フランスの新教徒移民が独自のビール造りをもたらしたベルリンでは近世以降、ベルリナーヴァイセと呼ばれる白ビールが好まれた。ビール造りはご当地の事情や背景ごとに多様。

今日でもローカル色は濃く、修道院ビールの伝統に根ざすミュンヘンに対し、ベルリンは実験的でインディーズ気風。絶対に交わらない平行線のようで、意識し合っているのもドイツっぽさ。その文化も含めて現地で味わうのが最高だ。

バイエルン王家の祭典が発祥のオクトーバーフェスト

©DZT/Jens Wegener

1810年、皇太子時代のルートヴィヒ1世とテレーゼ王女の結婚祝賀として始まった祭典。東京ドーム9個分の広大な開催地に、アウグスティーナほかミュンヘンビールの商標・権利をもつ醸造所6社の特設テント(計12万席収容)が立つ。期間中は、麦汁とアルコール度数が高く(5.8〜6.3%)濃厚なフェストビアが提供される。

会場/テレージエンヴィーゼ
期間/9月中旬〜10月初旬
※週末は公式サイト(https://www.oktoberfest.de/en)で席の予約がおすすめ

◆Augustiner Stammhaus(アウグスティーナ・シュタムハウス)

木樽熟成を残す唯一の醸造所

ヒルシェンで熟成させたビールは鮮度が命。衛生管理、品質の安定性の観点から、穴を開けたら30分以内に飲み終わるのが理想とされる。

ドイツでは、法令により国内で製造されるビールの原料を水、麦芽、ホップ、酵母の4つだけに限定している。

ヒルシェンで熟成させたビールは鮮度が命。衛生管理、品質の安定性の観点から、穴を開けたら30分以内に飲み終わるのが理想とされる。

オクトーバーフェストに出店するためには、さらにミュンヘンの井戸水を使用し、ミュンヘンで醸造していることが絶対条件になる。

ミュンヘン名物の“白ソーセージ”8.20ユーロは、独特のやわらかい食感。

1328年にアウグスチノ会の修道院で始まったビール造りに起源をもつ、ミュンヘン最古の醸造所アウグスティーナは、出店ビール会社の一つ。現在も、一部、伝統的な木樽ヒルシェンで熟成している唯一の醸造所でもある。

光が美しいガラスのドーム。

19世紀の終わりにネオバロック様式で建てられた元醸造所のビアホール「アウグスティーナ・シュタムハウス」は、第二次世界大戦で主要部分への爆撃を奇跡的に逃れ、ガラスのドームやらせん階段など、芸術的な美しさを保っている。

醸造所の面影を残す建物。経営者が住んでいた場所を改装したワーグナーサロンも。

Augustiner Stammhaus(アウグスティーナ・シュタムハウス)

所在地 Neuhauser Str. 27, 80331 München
電話番号 089 23183257
営業時間 11:00~24:00(日曜・祝日~22:00)
定休日 無休
https://www.augustiner-restaurant.com/

文=安田和代(KRess Europe)、南陽一浩 写真=小野祐次、橋本 篤 コーディネート=見市 知、河内秀子

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