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「いま着替えるところだから無理です!」脱衣かごを余分に占領した女性客たち。だが、旅館スタッフが伝えた一言

  • 2026.10.21

脱衣かごを広げて座りこむ女性客たち

数年前、夫と温泉旅館に泊まった夜のことです。

大浴場の入口で夫と別れ、女湯の脱衣所へ入ると、ちょうど混み合う時間帯でした。

脱衣かごはほとんど埋まっていて、すぐに使えそうなものが見当たりません。

そんな中、棚の前では湯上がりの50代くらいの女性客3人が、床に座りこんでいました。

3人は自分たちのかごとは別に、さらに3つのかごを使い、私服や大きな着替えのバッグを広げています。

「私たち、先に来てたんだし、もう少しくらいいいわよね」

そんな声も聞こえてきました。

私がタオルを持ったまま少し離れて待っていると、40代くらいの女性客が棚に近づき、遠慮がちに声をかけました。

「すみません。こちらのかご、ひとつ使わせてもらえませんか?」

すると、グループの1人が顔も上げずに答えました。

「いま着替えるところだから無理です!」

「でも、ほかもいっぱいで…」

「あっち使ってください」

女性は奥の棚をあごで指しました。しかし、そちらもかごは埋まっています。

声をかけた女性客は困ったように口を閉じ、私の隣まで戻ってきました。

私も何か言おうか迷いましたが、強い口調で断る様子を見て、声をかけられませんでした。

30分以上続いたドライヤーの使用

その後も、3人は荷物を広げたまま、脱衣所の中を行き来していました。

ぬれた髪のまま歩き回るため、床も次第に水びたしになっていきます。

やがて、洗面台の前に立ち、備えつけのドライヤーを使い始めました。

ところが、30分以上たっても終わる様子がありません。

ドライヤーの後ろには、いつの間にか4人の女性客が並んでいました。

そのうちの1人が、控えめに声をかけました。

「あの、すみません。そろそろ代わっていただけませんか?」

「まだ乾いてないのよ。見れば分かるでしょ」

女性は鏡を見たまま答え、ドライヤーを使い続けます。

並んでいる人たちも顔を見合わせるばかりです。

とうとう列の最後尾にいた女性客が、入口にある内線電話でフロントに事情を伝えました。

スタッフが伝えた、当たり前のお願い

しばらくすると、旅館の制服を着た40代くらいの女性スタッフがやってきました。

スタッフはドライヤーを使っている女性のそばへ行き、穏やかに声をかけました。

「お客様、申し訳ありません。ほかのお客様もお待ちなので、そろそろお譲りいただけますか?」

「えっ?私が先に使ってたんですけど」

女性は不満そうに振り向きました。

すると、スタッフは落ち着いた声で続けました。

「はい。ただ、皆さまで順番にお使いいただくものですので。それから、脱衣かごもお一人様おひとつでお願いしています」

そう言って、荷物が広がった棚のほうへ目を向けました。

周囲のお客さんたちも、小さくうなずいています。

女性は何か言いかけましたが、そのまま口を閉じました。

棚の前にいた残りの2人も、気まずそうに顔を伏せ、広げていた私服をバッグにしまい始めます。

やがてドライヤーは列の先頭の女性客に渡され、余分に使われていたかごも空きました。

3人は誰とも目を合わせず、足早に脱衣所を出ていきました。

スタッフは水びたしになった床を手早く拭くと、私たちに頭を下げました。

「長いことお待たせして、申し訳ございませんでした」

私はようやく空いたかごに、持っていた浴衣をたたんで入れました。

隣では、先ほど断られた女性客も浴衣を置いています。

たった一言のお願いを聞いてもらえず、こんなに長く待つことになるとは思いませんでした。

それだけに、感情的にならず、必要なことをきちんと伝えてくれたスタッフの対応が、強く印象に残っています。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた50代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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