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「たこ焼き焼けてないやないか!」床に投げつけた客。だが、駆けつけた店長が拾った後にした思わぬ行動

  • 2026.10.21
「たこ焼き焼けてないやないか!」床に投げつけた客。だが、駆けつけた店長が拾った後にした思わぬ行動

夕方のたこ焼き屋で起きた騒動

大学生のころ、私は地元で人気のたこ焼き屋でアルバイトをしていました。

その店のたこ焼きは、中がとろっとした仕上がりが特徴です。

私もその味が好きで、毎日お客さんに提供していました。

ある日の夕方、先輩と私が2人で鉄板の内側に立っていると、60代くらいの男性がやってきました。初めて見るお客さんでした。

男性はカウンター越しにたこ焼きを注文し、受け取った舟からひとつ口に入れました。

ところが、かんだ途端に顔をしかめたのです。

「なんやこれ。中、どろどろやんけ」

そして、突然声を荒らげました。

「たこ焼き焼けてないやないか!」

男性は持っていた舟を勢いよく傾け、たこ焼きを店内の床に投げつけました。

ソースが飛び散り、たこ焼きがいくつも転がっていきます。

あまりに突然のことで、私は言葉も出ませんでした。

先輩は慌てて身を乗り出し、男性に頭を下げました。

「申し訳ありません。うちのたこ焼きは、中をとろっと仕上げているんです」

しかし、男性は納得しません。

「客をなめとんのか!生焼けを売りつけといて、何がとろっとや!」

先輩は落ち着いて説明を続けましたが、男性は聞く耳を持たず、怒鳴り続けていました。

店長が拾い上げた、床のたこ焼き

そのうち男性は、カウンターをバンッと平手でたたきました。

「客をなんだと思ってるんだ!」

先輩の顔がこわばります。

私も怖くて、どう対応すればいいのか分かりませんでした。

このままでは収まらないと思い、私は男性から見えないように店の奥へ下がり、店長に電話をかけました。

事情を伝えてから鉄板の前に戻りましたが、男性の怒鳴り声はまだ続いていました。

やがて店長が駆けつけました。

店長は男性のすぐそばまで歩いていくと、何も言わずに床へしゃがみ込みました。

そして、散らばったたこ焼きをひとつ拾い上げたのです。

片づけてくれるのだと思った、次の瞬間でした。

店長は、そのたこ焼きを自分の口に入れたのです。

「えっ……?」

思わず声が漏れそうになりました。

男性も驚いたように、店長を見つめています。

店長はゆっくりとかんで飲み込むと、男性の目を見て、静かに言いました。

「これが、うちのたこ焼きです」

さっきまで響いていた怒鳴り声が、ぴたりと止まりました。

男性は一瞬言葉を失い、半歩後ろへ下がりました。

「いや、でも……」

何か言いかけましたが、それ以上は続きません。

男性は小さな声でぶつぶつ言いながら目をそらし、そのまま店を出ていきました。

入口の外で様子をうかがっていた通りがかりの人たちも、男性が出てくると左右へよけていました。

店長は何事もなかったように鉄板の前へ戻り、油引きを手に取りました。

「さ、次、焼こか」

先輩と私は顔を見合わせました。

床に落ちたものを食べるなんて、まさかそんなことをするとは思ってもいませんでした。

けれど、あれほど怒鳴っていた男性が静かになり、ようやく緊張が解けた私たちは、思わず小さく笑ってしまいました。

鉄板の上では、次のたこ焼きがじゅうっと音を立て始めていました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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