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「娘と出かけたら、遠くて歩きすぎたのよ」受付で患者さんの長話を聞き流した私。その後、医師の言葉に顔が熱くなった理由

  • 2026.10.20
「娘と出かけたら、遠くて歩きすぎたのよ」受付で患者さんの長話を聞き流した私。その後、医師の言葉に顔が熱くなった理由

受付で始まった、いつもの長い話

整形外科の病院で、受付の仕事をしていたころの話です。

待合室はいつも混み合っていて、受付に人が並ぶことも珍しくありません。

患者さんに来院理由や症状を確認するのも、私の仕事のひとつでした。

ある日の昼、定期的に通っている女性の患者さんが受付にいらっしゃいました。

私は問診票を差し出し、声をかけました。

「お久しぶりです。今日はどうされましたか?」

すると、患者さんはにこやかに話し始めました。

「娘と出かけたら、遠くて歩きすぎたのよ」

「そうだったんですね」

「そうなの。坂道もあってね。帰りなんて、もう足が棒みたいで大変だったのよ」

それからも、出かけた先の景色や、その日の天気の話が続きました。

私は笑顔で相づちを打ちながら、内心では少し焦っていました。

患者さんの後ろに、受付を待つ人の列ができ始めていたのです。

(そろそろ、どこが痛いのか聞かないと…)

「それでね、途中で休むところもなくて…」

「ああ、それは大変でしたね。ちなみに、今日は膝ですか?それとも腰ですか?」

話を区切るように尋ねると、患者さんは少し考えてから答えました。

「ああ、膝ね。膝が痛いのよ」

「分かりました。ありがとうございます」

私は問診票に「膝」とだけ記入し、患者さんを診察室へ案内しました。

長くなりそうな話をうまく切り上げて、必要なことも確認できた。そう思っていたのです。

診察室の医師に言われた、思いがけない一言

しばらくして、書類を届けるために診察室の前の廊下へ向かいました。

すると、ちょうど診察室から出てきた先生が、カルテを手に私のほうへ歩いてきました。

「さっきの患者さんなんだけどね」

「はい。どうかされましたか?」

先生は少し苦笑いしながら言いました。

「問診票に膝としか書いてなかったから、何があったのか一から聞いたんだよ」

「あっ……すみません」

「娘さんと遠くまで出かけたとき、坂道で膝をひねったんだって。それから痛くなったらしいんだ」

その言葉を聞いた瞬間、私はハッとしました。

娘さんとの外出。長い坂道。歩きすぎて足が棒のようになったこと。

さっき患者さんが話していたのは、ただの世間話ではなかったのです。

「あの…実は受付でも、娘さんと出かけた話は聞いていたんです。でも、関係ない話だと思ってしまって…」

先生はうなずきました。

「そうだったんだね。長い話にも、痛みのきっかけが入ってることがあるからね。今度から、そこも確認してくれると助かるよ」

「はい……気をつけます」

恥ずかしくて、顔が熱くなりました。

患者さんの話をきちんと聞いたつもりで、実際には自分に必要だと思う部分しか聞いていなかったのです。

それから私は、患者さんの話を長いからと決めつけず、最後まで耳を傾けるようになりました。

次にあの患者さんが来院されたときも、話を聞きながらメモを取っていると、患者さんがうれしそうに笑いました。

「あら、今日はずいぶん熱心に聞いてくれるのね」

その言葉に、私は少し照れくさくなりました。

何気ない話の中にも、大切な情報が隠れていることがある。あの日の失敗は、今でも忘れられません。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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