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「こっちは朝早くから並んで場所を取ったんだ」運動会の撮影エリアを譲らない父親。だが、徒競走の直前に発覚した事実

  • 2026.10.20

最前列を譲ろうとしない父親

息子が通う小学校の運動会でのことです。

その日は朝からよく晴れていて、グラウンドには大勢の保護者が集まっていました。

学校からは、撮影エリアは交代制で、自分の子どもの出番が終わったら後ろの人に場所を譲るよう案内されていました。

ところが、最前列には大きな三脚を広げた父親がいて、競技が変わっても一向に動こうとしません。

後ろにいる私たちは、三脚や父親の体を避けながら、何とか子どもたちの姿を見ようとしていました。

しばらくすると、私の前にいた母親が遠慮がちに声をかけました。

「あの、すみません。次、うちの子の学年なんです。少し代わってもらえませんか?」

しかし、父親は振り向きもせずに答えました。

「まだ次も撮るから」

母親は困った顔をして、一歩下がりました。

その様子を見て、私も黙っていられなくなりました。

「すみません。交代制ですよね。そろそろ代わってもらえませんか?」

すると父親は舌打ちをして、こちらをにらみました。

「こっちは朝早くから並んで場所を取ったんだ。譲る理由ないでしょ」

そこへ、やり取りに気づいた案内係の保護者がやってきました。

「すみません。こちらは交代でお願いしているので…」

「次で終わりだって言ってるでしょ。邪魔しないで」

強い口調に案内係の保護者も言葉を詰まらせ、その場を離れてしまいました。

私もそれ以上は言えず、仕方なく後ろから見守ることにしました。

反対側の列から聞こえた思いがけない声

次はいよいよ、息子たちの学年の徒競走です。

子どもたちはグラウンドの手前と反対側に分かれて列をつくり、自分の出番を待っていました。

紅白帽をかぶった子どもたちは、遠くから見るとよく似ています。

最前列の父親は、手前の列にいる男の子にカメラを向け、夢中で撮影を始めました。

「いいぞ!こっち向いて!そうそう!」

そのときです。

グラウンドの反対側から、子どもの大きな声が響きました。

「パパー!ぼく、こっちの列だよー!」

見ると、反対側の列にいる男の子が、両手を大きく振っています。

父親がカメラを向けていたのは、自分の息子ではなく、同じ色の帽子をかぶった別の子だったのです。

「えっ……あ、そっちか…」

父親はカメラから顔を離し、慌てて反対側を見ました。

近くから小さな笑い声が漏れます。先ほど声をかけた母親も、思わず口元を押さえていました。

顔を赤くした父親は、カメラを息子のほうへ向けようとしました。しかし、三脚の位置を変えようとすると、大きく広げた脚が撮影エリアのロープに引っかかり、うまく動かせません。

「あれ、ちょっと…」

父親はしばらく三脚を動かそうとしていましたが、周囲の視線が気になったのか、やがて黙って脚をたたみ、撮影エリアから出ていきました。

空いた最前列に、待っていた保護者たちが進みます。

「前へどうぞ」

「あ、ありがとうございます」

私もようやく前に出ることができました。

まもなく徒競走の合図が鳴り、息子が走り出しました。私はその姿を、遮るもののない場所から見ることができました。

ふと後ろを見ると、あの父親がたたんだ三脚を抱え、人の頭のすき間から一生懸命に背伸びをしていました。

あれほど最前列にこだわっていたのに、結局、自分の息子の走る姿を撮れなかったようです。

せっかくの運動会なのだから、みんなが気持ちよく子どもの姿を見られたらいいのに。そう思わずにはいられない出来事でした。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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