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好きな人からの「彼氏いるのかな」。その前の吹き出しにあったのは私の名前でした

  • 2026.10.20
ハウコレ

謝罪のメッセージのあと、彼からの返事はなかなか届きませんでした。ようやく光った画面にあったのは、私が聞いたことへの答えではなく、別のメッセージでした。

洗ったマグカップを水切りかごに伏せたとき、テーブルのスマホが2回続けて短く鳴りました。画面の上に出ていたのは、同期の彼の名前。彼から連絡が来るのは、仕事の資料のことくらいです。だから通知を開く前、手を拭いたタオルを畳む余裕がまだありました。

名前と「彼氏いるのかな」だけの吹き出し

彼とは入社同期で、部署は違います。同期の集まりで隣の席になるたびに話すようになり、気づけば社内で目が探してしまう相手になっていました。

チャットを開くと、吹き出しが2つ。1つめは私の名前に「さん」がついただけ、2つめは「彼氏いるのかな」でした。

宛名のように置かれた私の名前と、その下の問いかけ。私に直接聞くなら、こんな書き方はしないはずです。誰かに向けた相談なのは、読めばすぐに分かりました。

彼が、私のことを誰かに聞こうとしている。そう考えた途端、タオルを持ったままキッチンを一周していました。

何通りも打ち直した返事

画面を開いてすぐ、3つめの吹き出しが届きました。

「ごめん、送る相手まちがえた」

こちらが読んだことが、向こうにも伝わったのでしょう。

返事は何通りも打ちました。「大丈夫だよ」だけでは素っ気なく、「気になる?」では踏み込みすぎる。消しては打ち直して、最後に残ったのはこれでした。

「いないよ。誰に送るつもりだったの?」

送信してから、スマホを伏せてソファの端に置きました。30秒もしないうちに裏返したのは、我ながら少しおかしかったです。

既読のあとの30分

既読はすぐにつきました。けれど、返事はなかなか届きません。

今頃、送るはずだった相手と話しているのだろうか。私の答えを、その人に伝えているのだろうか。考えるたびに、ソファのクッションを抱え直しました。

30分ほどたって、ようやく画面が光りました。

「そっか。それ、今度ごはん行ったときに話してもいい?」

誰に送るつもりだったのかには答えず、代わりに次の約束が書かれていました。話してもいい、の「それ」が何を指すのかも分からないまま、短く返事を送りました。

「いいよ、行こう」

送ったあとも、暗くなった画面を指で何度も起こしていました。

そして...

食事の日取りは、そのあとのやりとりで決まりました。クローゼットの前で、着ていく服を3回入れ替えました。

ただ、1つだけ引っかかっていることがあります。私の名前を出して相談できる相手が、彼には誰かいるということです。

次に会ったら聞くつもりでいます。あの30分、彼はいったい誰と、何を話していたのでしょうか。

(20代女性・事務職)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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