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「うちの子が走るあいだだけなんで」運動会で座る決まりを守らなかった父親。だが、スタート直前に赤面したワケ

  • 2026.10.18
「うちの子が走るあいだだけなんで」運動会で座る決まりを守らなかった父親。だが、スタート直前に赤面したワケ

運動会で立ち上がった父親

よく晴れた日の、息子の小学校の運動会でのことです。

徒競走では、自分の子どもが走る組のときだけ、保護者がトラックの内側に入って応援や撮影をしてよいことになっていました。

ただし、内側では必ず座ること。案内のプリントにも、そう書かれていました。

息子の番が近づき、私もカメラを持って内側に入りました。

周囲の保護者たちは、後ろの人の邪魔にならないよう地面に腰を下ろしています。

私も前の人のすぐ後ろに座り、カメラを構えました。

ところが、そのときです。

目の前に座っていた父親が、突然すっと立ち上がったのです。

大きなカメラを顔の前に構え、背筋を伸ばしてスタート位置を狙っています。

私のカメラには、その父親の背中しか映らなくなってしまいました。

後ろの保護者たちも困ったように顔を見合わせています。

私は少し身を乗り出して、声をかけました。

「すみません、座っていただけますか」

すると、父親は振り向きもせずに答えました。

「一瞬だけだから」

そう言ったきり、立ったまま撮影を続けようとしています。

私の後ろにいたお母さんも、たまらず声をかけました。

「あの、内側は座る決まりですよ」

「分かってますって。うちの子が走るあいだだけなんで」

面倒くさそうな返事に、私も言葉を失いました。

わが子の写真を撮りたい気持ちは分かります。でも、それは後ろにいる保護者だって同じです。

父親をしゃがませた、息子の大きな声

立ち上がった父親の肩越しに目を向けると、紅白帽をかぶった男の子が見えました。私の息子のすぐ隣に並んでいます。

どうやら、あの父親の子どもも同じ組で走るようです。

このままでは息子の走る姿が撮れません。私は諦めかけて、カメラを膝に下ろそうとしました。

そのとき、先生の声が響きました。

「位置について」

すると、スタート位置に並んでいたあの男の子が、こちらに向かって父親を指さしたのです。

「パパ、すわって!うしろの人がとれないよ」

あまりにはっきりした大きな声に、父親はカメラを構えたまま固まりました。

「いや、これは、その…」

何か言おうとしたものの、言葉が続きません。

周囲の保護者たちから、小さな笑い声がもれました。

父親は顔を真っ赤にして、慌ててその場にしゃがみこみました。

ようやく私の目の前が開け、スタート位置がしっかり見えるようになりました。

ほどなくして号砲が鳴り、子どもたちが一斉に走り出します。

私はカメラを構え直し、息子が腕を振ってゴールまで走る姿を撮ることができました。

ところが、話はこれで終わりませんでした。

ゴールしたあの男の子が、しゃがんだままの父親に向かって、大きく手を振ったのです。

「パパ、ちゃんとすわれたね!」

その声に、周囲からまた笑い声が広がりました。

父親は気まずそうにうつむき、膝の上のカメラを抱えたまま顔を上げませんでした。

大人が何度お願いしても聞いてもらえなかったのに、子どもの一言であっさり状況が変わるとは思いませんでした。

私は心の中で、あの男の子にそっとお礼を言いました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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