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「残りは出しといて」結納の朝、母の一言で結納金を立て替えた私。相手の父から受け取ったのし袋に笑いそうになった理由

  • 2026.10.18

結納の朝に聞いた母の一言

結婚が決まり、婚約者の家で結納をすることになりました。

結納金は母が準備することになっていて、前もって必要なことは伝えていました。

「結納金、大丈夫?」

「わかってるわよ」

そう答えていたので、私も安心していたのです。

ところが当日の朝。スーツに着替えて居間へ行くと、結納の品の前で母が困った顔をしていました。

「結納金ね、まだ下ろしてなかったの」

「えっ、今日なんだけど」

「今から銀行に行けば間に合うでしょ」

結納の品はそろっているのに、肝心のお金がありません。私たちは急いで銀行へ向かいました。

母がATMを操作すると、お金は下ろせたものの、必要な額には届きません。その日の引き出し限度額に達してしまったのです。

「えっ、もう下ろせないの?」

「限度額だよ。前もって用意してって言ったのに…」

母は下ろしたお札を封筒にしまい、私に言いました。

「残りは出しといて」

「えっ、私が?」

「今はそれしかないじゃない」

言い返したくなりましたが、結納の時間が迫っています。私は自分の口座から不足分を下ろし、母のお金と合わせました。

「自分の結納金を自分で立て替えるなんて…」

「いいじゃない、あんたの結婚なんだから」

よくないよ、と思いながら、私は母と婚約者の家へ向かいました。

結納返しの袋を見た瞬間

婚約者の家の和室で、結納が始まりました。

私は母と並んで正座し、向かいには和装の婚約者と相手の父が座っています。

こちらから結納の品と結納金を納めました。あの包みには、さっき私が下ろしたお金も入っています。頭を下げながら、朝の慌ただしさがよみがえりました。

やがて相手の父が、のし袋を両手で差し出しました。

「こちらからも、お納めください」

結納返しでした。両手で受け取った瞬間、あのATMの前で慌てていた自分を思い出しました。

もちろん、結納返しと母に立て替えたお金は別の話です。

それでも、朝はお金を包むのに必死だったのに、今度は自分が包みを受け取っている。

その巡り合わせが妙におかしくて、思わず口元が緩みました。

笑ってはいけない席です。

私は必死にこらえましたが、肩が小さく震えていたようです。

結納が終わり、席を立つと、婚約者がそっと私の袖を引きました。

廊下に出てから、小声で聞いてきます。

「さっき、なんで震えてたの?」

朝からのいきさつを話すと、婚約者は声を上げて笑いました。

そこへ母が来て、いつもの調子で言いました。

「ほらね、ちゃんと戻ってきたじゃない」

「いや、立て替えた分はまだ戻ってないからね」

そう返しながらも、私まで吹き出してしまいました。

思い返せば慌ただしい一日でしたが、あの結納の日のことは、母の一言とともに忘れられそうにありません。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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