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【漫画】「見習いが勝手に手を出すからだ」触るなと言った茶会の菓子の失敗を、私に着せる先輩職人。だが、嘘が暴露

  • 2026.10.18
【漫画】「見習いが勝手に手を出すからだ」触るなと言った茶会の菓子の失敗を、私に着せる先輩職人。だが、嘘が発覚

茶会の注文と、先輩の嫌み

先輩は、茶会の菊は自分が作るから触るなと言いました

作業台の左端に、今朝練習した菊の練り切りを一つ置きました。

町の和菓子屋の奥の工房で、見習いを始めて2年。

練習の菊は、先輩に見てもらうため、毎朝そこに置く決まりです。

その朝、お茶の先生から、明日の茶会の菊の練り切りを20個、中はゆず入りのこしあんで、と注文が入りました。

「茶会の菊は、俺が作る。」

「お前は、一つも触るな。」

工房で20年の先輩の腕を、女将さんは何より頼りにしています。

女将さんは注文に合わせ、ゆず入りのこしあんを20個分のあん玉に分け、ふた付きの容器に用意しました。

同じ棚には、通常の菓子に使うこしあんも置いてあります。

私は先輩から、注文の菓子にも材料にも手を出さないよう念を押されました。

先輩は背を向けて作りながら、私の菊を毛玉と言いました

先輩は私に背を向けて、茶会の菓子を作り始めました。手元は、広い背中の陰で見えません。

横目で私の菊を見て、先輩が言います。

「お前の菊は、毛玉だ。」

「ハサミ菊なんて、10年早い。」

私の菊は、ピンクの丸い玉に太い切り込みが少し入っただけ。言い返す言葉は、見つかりませんでした。

その後、私は女将さんに頼まれ、店先で包装用の箱を組み立てる作業をしていました。

注文の菓子は、先輩があんを包むところから仕上げ、箱詰めまで一人で担当しました。私は完成した菓子にも、あんの容器にも触れていません。

茶会の翌日、先輩はあんの失敗を私のせいにしました

茶会の翌日の朝。お茶の先生が、残った菓子を箱ごと持って来られました。注文と違う点があったため、確認してほしいとのことでした。

中のあんに、ゆずの香りがしなかったそうです。

女将さんは箱を受け取ると、先輩と私がいる工房へ入ってきました。

「女将さん、こいつです。」

先輩は女将さんにそう言うと、私をにらみました。

「見習いが勝手に手を出すからだ。」

先輩は先月も、別の注文の数を間違えて、女将さんに注意されたばかりでした。

今回も自分の失敗になることを恐れたのか、私が勝手にあんを取り替えたと主張し始めたのです。

見習いに着せられた失敗

先輩はゆず入りのあん玉には触っていないと言い、私の説明を口答えとして片づけました

女将さんは箱を作業台に置き、困った顔で私を見ました。

注文用に準備したゆず入りのあん玉について確認すると、先輩は女将さんの前で言い切ります。

「俺は一つも、触ってません!」

自分はゆず入りのあん玉を動かしておらず、見習いが勝手に手を出したのだと言い張るのです。

「私は、触っていません。」

口答えするな、先生に謝りに行ってこい。先輩の声が、私の言葉をかき消しました。

20年の職人と、2年の見習い。女将さんがどちらを信じるかは、分かっています。

それでも、私が注文の菓子を作っていないことだけは、はっきりさせなければなりません。

懐紙にのせた菊には、ハサミで切った花びらが重なっていました

菓子の形なら、女将さんは一目で見分けます。

私は箱のふたを開けて菊を一つ取り、白い懐紙にのせて、女将さんの前の作業台に置きました。

白から薄黄色へと色が変わる菊。ハサミで細く切った花びらが、幾重にも重なっています。

先輩が、私には10年早いと言ったハサミ菊です。箱に残った菊も、一つ残らずハサミ菊でした。

「毛玉の私に、これが切れますか?」

女将さんの目が、懐紙の上の菊に落ちました。先輩も、菊から目を離せません。

もちろん、菊の形だけでは、私があんに触っていない証明にはなりません。

しかし女将さんは、前日に私が店先で包装の準備をしていたことも知っています。先輩が一人で菓子を仕上げたことを思い出したようでした。

練習用の菊と注文用の菊を見比べた女将さんが、先輩の失敗に気づきました

私は懐紙の菊を箱に戻し、ふたを閉めました。

「陰で、練習してたんだろう!」

「私の腕は、あの毛玉です。」

作業台の端には、今朝も練習で作った私の菊が、毛玉のまま置いてあります。

女将さんはその菊を見て、ゆっくり先輩へ目を移しました。

そして、前日に用意したあんの容器を確かめるため、冷蔵庫へ向かいました。

注文用に取り分けておいたゆず入りのあん玉は、20個とも残っていました。一方、別の菓子に使うはずだった普通のこしあんは、20個分減っていたのです。

女将さんは先輩に、どちらのあんを使ったのか確認しました。

先輩はしばらく黙っていましたが、やがて、ゆず入りと普通のこしあんの容器を取り違えたのは自分だと認め、女将さんに頭を下げました。

前日に私が注文の菓子に触れていなかったことも確認でき、ようやく疑いは晴れました。

先生には代金を返金したうえで、作り直した菊を持って、先輩が自分で謝りに行くことになりました。

私への謝罪はありませんでしたが、女将さんが私の練習用の菊を手に取り、今度はじっくり見てくれたことが、少しだけうれしかったです。


※本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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