1. トップ
  2. エピソード
  3. 「狭いんやから、しゃあないやん」発表会で椅子を後ろにずらした父親。おしゃべりを続ける家族に先生がかけた一声

「狭いんやから、しゃあないやん」発表会で椅子を後ろにずらした父親。おしゃべりを続ける家族に先生がかけた一声

  • 2026.10.17
「狭いんやから、しゃあないやん」発表会で椅子を後ろにずらした父親。おしゃべりを続ける家族に先生がかけた一声

前の席から下がってきた椅子

わが子の小学校で、国語の音読の発表会が開かれた日のことです。体育館には保護者用のパイプ椅子が何列も並び、私はその一つに座って始まるのを待っていました。

すぐ前の列には、父親と母親、それに祖母らしい女性が並んで座っていました。

気になったのは、父親の座り方です。足を前へ投げ出し、椅子を後ろに引いて、背もたれに深く寄りかかっていました。

「まだ始まらんの?はよ始めてほしいわ」

そんな声が聞こえるたび、父親が椅子を動かし、背もたれが私のほうへ近づいてきます。

椅子の脚も私の足元ぎりぎりまで下がり、膝をまっすぐに向けて座れなくなりました。

思い切って、前の席に声をかけました。

「すみません。椅子をもう少し前にしてもらえますか。足が当たりそうで…」

すると父親は、前を向いたまま答えました。

「狭いんやから、しゃあないやん」

隣の母親は祖母らしい女性に顔を寄せました。

「何なん、あの人」

「もう、ほっとき」

二人は小さく笑っています。私にも聞こえる声だったので、居心地が悪くなりました。これ以上言い合いになるのも嫌で、膝を横へ寄せて座り直しました。

子どもの音読より大きなおしゃべり

やがて発表が始まりました。舞台に並んだ子どもたちが、一人ずつ声を出して教科書を読み上げていきます。

ところが、前の二人は発表中もおしゃべりを続けていました。

母親が舞台を見て、ひときわ大きな声を出したのは、自分の子どもの番になったときです。

「あ、うちの子や。めっちゃ頑張ってるやん!」

母親は祖母らしい女性と顔を見合わせて笑い、父親まで肩を揺らしています。

その声が気になって、私は音読に集中できません。近くの保護者も前の席をちらちら見ていました。

司会の先生がマイクで伝えた一言

次の子どもが読み始める前、舞台の横にいた司会の先生がマイクを持ちました。

「お子さんの声がよく聞こえるよう、おしゃべりはお控えください」

先生の声が体育館に響くと、近くで話し声が止まりました。

母親は笑いかけたまま口を閉じ、祖母らしい女性と目を合わせます。

父親も何か言いかけましたが、周囲の様子を見て黙りました。そして足を引っ込め、後ろに下げていた椅子を前へ戻したのです。

ようやく私も、膝を正面に向けて座れるようになりました。

その後は前の席から話し声が聞こえなくなり、子どもたちの音読がよく聞こえました。

ほどなくわが子の番が来て、私は舞台を見つめながら、最後までその声を聞くことができました。

先生は誰かを名指ししたわけではありません。ただ、発表を聞くための場だと改めて伝えてくれたことが、ありがたく感じられました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ