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「ゴール裏ならOKだろ、邪魔にならないし」運動会で規制ラインを越えた父親グループ。だが、直後の校内放送と、気まずい顔をしていたワケ

  • 2026.10.18
SHUFUFU

毎年、運動会の撮影エリアをめぐって揉めているという話は聞いていた。まさか今年、自分がそのど真ん中に立つことになるとは思っていなかった。

「ゴール裏ならOKだろ? 邪魔にならないし」

その日は朝から晴れていて、グラウンドはどこも人でいっぱいだった。

プログラムの裏には、撮影に関する注意事項がきっちり印刷されていた。「保護者の撮影は指定エリア内でお願いします。トラック後方(ゴール裏を含む)への立入はご遠慮ください」。文字も大きく、読み飛ばしようがない。

3年生の徒競走が始まる少し前、グラウンドの端で5、6人の父親グループが動き始めた。

全員、一眼レフや大きなビデオカメラを持っている。ゴール裏なら子どもがゴールする瞬間を真正面から撮れる。一人が「ゴール裏ならOKだろ? 邪魔にならないし」と言いながらロープの外へ足を踏み出すと、残りのメンバーもそれに続き、ぞろぞろとトラック後方へ移動していった。

私の隣に立っていたお母さんが「えっ、あそこ入っちゃだめなとこじゃ…」とつぶやいた。私も同じ場所を見ていた。

あの位置は、走ってくる子どもたちのゴール正面にあたる。走路に近いし、子どもたちの視界にも入る。プログラムにわざわざ「ご遠慮ください」と書いてあるのは、そこが危ないからだ。

でも父親グループは気にした様子もなく、三脚を広げ始めていた。

プログラムを持って、係の先生のところへ

周囲の保護者が顔を見合わせていたけれど、誰も声をかけに行かなかった。

声をかけてトラブルになるのが嫌なのはわかる。私だってそうだ。でも、このまま黙っていたら次のグループも同じことをするかもしれない。何より、走り込んでくる子どもたちのすぐそばに大人が何人もいるのは危ない。

私はプログラムを手に持ったまま、入口近くにいた係の先生のところへ歩いた。

「あの、トラック後方に何人か入っていらっしゃるんですが、プログラムにはご遠慮くださいって書いてあって…」

先生にプログラムの裏を見せながら、ゴール裏の方向を指した。先生はすぐに確認して「あ、ほんとだ。ありがとうございます、すぐ対応します」と言って、本部テントへ小走りで向かった。

「トラック後方への立入・撮影は禁止です」

30秒もたたないうちに、スピーカーから声が流れた。

「保護者のみなさまへお知らせします。トラック後方への立入および撮影は禁止です。現在、後方エリアにいらっしゃる保護者の方は、指定エリアまでお戻りください」

放送はそれだけだった。特定の人を責めるわけでも、怒鳴るわけでもない。ただ、はっきりと言い渡しただけだった。

ゴール裏の父親グループが一斉に顔を上げた。三脚をたたんでいた手が止まり、全員が互いの顔を見た。誰も何も言わなかった。

しばらくして、一人がカメラバッグを肩にかけて歩き出した。残りも黙ってついていき、全員が指定エリアへ戻った。

指定エリアに戻った父親たちの気まずい顔

放送が終わると、周囲の保護者からほっとしたような空気が漂った。隣のお母さんが「よかった」と小声で言った。

父親グループが戻ってきた指定エリアは、もともと十分な広さがあった。ゴール裏より距離はあるけれど、子どもたちの走ってくる姿はちゃんと見える。

さっきまでドヤ顔で移動していた父親たちは、指定エリアに戻ってからしばらく誰とも目を合わせなかった。カメラの液晶画面だけをじっと見て、隣の父親と小声で何かを話している。

その後の競技は混乱なく進んだ。子どもたちは全力で走り、保護者たちは各自の場所で声援を送った。

帰り際、さっきの係の先生が「教えてくださってありがとうございました。助かりました」と声をかけてくれた。私は「いえ、プログラムに書いてあったので」とだけ答えた。

何か特別なことをしたわけじゃない。書いてあることを、書いてある人に伝えただけだ。

さいごに

ルールは、紙に書いてあるだけでは守られない。誰かがひとこと伝えたときに、初めて動き出す。大声で注意しなくても、「ここにこう書いてあります」と決められた人に渡せば、あとは学校が対応してくれる。子どもの晴れ舞台を安全に見たい気持ちはみんな同じだ。あなたの近くでも、そんな場面はないだろうか。

※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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