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「親子なんだから返す必要はない」10年前に立て替えた100万円を返さない父。だが、父の言い訳を聞いた母が開いた10年前の家計簿

  • 2026.10.17

10年前に立て替えた100万円

10年前、父からお金の相談を受けました。

車の買いかえと修理が重なり、まとまったお金が必要になったというのです。

困っている父を放っておけず、僕は自分の貯金から100万円を立て替えました。

「悪いな。本当に助かったよ」

父はそう言って僕の肩をたたきました。

ところが、それから10年たっても、100万円は返ってきませんでした。

何度か返済をお願いしましたが、そのたびに父は不機嫌になり、最後はけんかになってしまいます。

いつしか僕も、お金の話を避けるようになっていました。

それでも、100万円は決して小さな金額ではありません。

ある晩、実家を訪ねたとき、思い切ってもう一度話を切り出しました。

母は台所で洗い物をしていて、居間には父と僕だけでした。

「父さん、10年前に立て替えた100万円なんだけど……そろそろ返してもらえないかな」

「またその話か。今はそれどころじゃないんだよ」

父はテレビを見たまま答えました。

「一度にじゃなくていいんだ。少しずつでも……」

すると父は大きくため息をつき、こちらを向きました。

「お前なあ、誰に育ててもらったと思ってるんだ。親が困ってるんだから、子どもが助けるのは当たり前だろ」

「いや、助けたくなかったわけじゃないよ。でも、あれは立て替えたお金で……」

「親子なんだから返す必要はない」

そう言い切られて、僕は言葉を失いました。

もう何を言っても無駄なのかもしれない。

そう思うと、実家へ行くことさえ気が重くなってしまいました。

母が開いた10年分の家計簿

それからしばらくして、母から実家に来てほしいと連絡がありました。

居間に入ると、母が押し入れから古い家計簿を何冊も取り出し、座卓に並べ始めました。

なんと、10年分の家計簿です。

母は僕を隣に座らせると、そのうちの一冊を開き、父の前に置きました。

「この前の話、台所にいたけど全部聞こえてたわよ」

父は驚いた顔をしました。

「なんだよ、急に。そんな昔の家計簿まで出してきて」

母はページの一か所を指さしました。

「ほら。借りた日も、100万円って金額も、ちゃんと書いてあるでしょう」

父は家計簿に目を落としました。

「親子だから返さなくていいって、どういうこと?この子だって、自分で働いて貯めたお金なのよ」

「いや、だから…」

「困っているときに助けてもらったんでしょう? だったら、ちゃんと返さないと」

父は何か言いかけましたが、母は落ち着いた声で続けました。

「毎月、あなたの年金から少しずつ返しましょう。今、ここで決めます」

母はメモ用紙に毎月の返済額を書き、父の前に差し出しました。

「一度に全部返せなんて言ってないの。少しずつでも、返していきましょうよ」

父は家計簿とメモを交互に見つめていました。

さっきまでの強気な様子はありません。

しばらく黙ったあと、父は小さくうなずきました。

僕はその様子を見ながら、ずっと胸につかえていたものが少し軽くなるのを感じました。

帰りぎわ、玄関まで見送りに来た母が小さな声で言いました。

「今まで何も言えなくて、ごめんね」

僕は首を横に振りました。

ふと居間を振り返ると、父はまだ、開いたままの家計簿を見つめていました。

100万円がすべて返ってきたわけではありません。

それでも、ようやく父が返済に向き合ってくれたことが、僕には何よりうれしかったのです。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています。

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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