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【酒を飲まない人も要注意!「肝臓」のトラブルを防ぐ】①アルコールの分解に関わる肝臓。でも働きはそれだけじゃない!

  • 2026.10.15

お酒を飲む人には気になる臓器が「肝臓」。でも最近、お酒を飲まないのに肝臓の健診結果がいまひとつ……という人も増えています。沈黙の臓器・肝臓が音を上げたときはもう手遅れ? 肝臓についての基本&最新情報を、食いしん坊倶楽部メンバーで医師の三浦雅臣さんにうかがいました。

【酒を飲まない人も要注意!「肝臓」のトラブルを防ぐ】①アルコールの分解に関わる肝臓。でも働きはそれだけじゃない!

■肝臓が担う3つの役割は「代謝」「解毒」「胆汁の生成」

肝臓はおへその少し上、右側の肋骨の内側あたりに位置する、体内でもっとも大きな臓器で、体重の約50分の1ほどの重量、男性ならおよそ1.5kg、女性ならおよそ1.3kgくらいあります。アルコールを分解する臓器というイメージが強い肝臓ですが、ほかにも私たちが生きていくうえで欠かせない、さまざまな仕事をこなしています。
主な働きは3つ。ひとつは「栄養素の代謝」です。食べたものは胃、腸で分解、吸収され、血液を通って肝臓に運ばれます。それを必要に応じて体内で活用しやすい形に変えたり、蓄えたりしながら全身へ送ります。
2つめは「有害物質の解毒」です。アルコールの分解もこれに含まれます。そのほか、飲んだ薬や体内で発生するアンモニアなどの有害物質を分解して無毒化する働きもあります。
残りの1つは「胆汁の生成」です。胆汁は脂肪を細かく分散させて消化、吸収を助けます。
このように肝臓はさまざまな化学反応を処理しているため、「体内の巨大な化学工場」と例えられることもあります。

■お酒の飲み過ぎだけじゃない! 肝臓トラブルを引き起こす原因は?

肝臓の病気というと、以前はB型肝炎、C型肝炎などのウイルス性肝炎や、アルコールの飲み過ぎによるアルコール性肝障害が大きな原因として知られていました。
しかし最近ではアルコールに起因せず、肥満、糖尿病、高血圧、脂質異常症などの代謝異常が関連する脂肪肝が増えています。これはMASLD(マッスルディー・代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)と呼ばれ、医師の間でも注目されています。アルコールは一切口にしないのに、健診で肝臓の数値を指摘されたという人が多いのはMASLDの増加が原因のひとつです。

食事でとった糖質などはグリコーゲンの形で肝臓に貯蔵されますが、貯蔵分が過剰になると、余ったエネルギーから中性脂肪がつくられ、肝臓にも蓄積していきます。肝臓内の中性脂肪の割合が増えた状態がいわゆる「脂肪肝」です。中性脂肪もエネルギー源として必要なものではあるのですが、脂肪肝の状態が続くと、肝細胞に炎症が起こり、肝機能に影響を及ぼします。さらに脂肪肝が進行すると、肝臓の線維化が進み、最終的には肝硬変、肝臓がんなど重大な疾患につながることもあります。線維化とは、肝臓が慢性的な損傷や炎症を受けた結果、瘢痕(はんこん)組織(線維組織)が形成され、肝臓が硬くなる状態を指します。固いものを手で何度も握っていると、手のひらの一部が固くなってしまうように、肝臓も炎症を繰り返しているとその部分が固くなっていくようなイメージを持っていただければわかりやすいかもしれません。

■ちょっとくらいのトラブルでは文句を言わない「沈黙の臓器」

糖質の多い食事
糖質の多い食事

肝臓も腎臓と同様に「沈黙の臓器」です。多少のトラブルがあったとしても、痛みなどの自覚症状は出てきません。脂肪肝が進み、肝臓の機能が大きく低下してはじめて、むくみや黄疸などの症状が現れます。こうした症状が出たときには、すでに肝硬変などの病気が進んでしまっている可能性があります。だからこそ、ふだんから健診などで定期的にチェックすることが大切です。

血液検査で肝臓の状態を確認する主な項目は、AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTPです。お酒好きの人によく知られているのはγ-GTPかと思いますが、このほかに注目しておかなければならないのは、主に肝細胞に含まれる酵素の値、ALTです。これが基準値(30U/L以下)を超えているようなことがあれば要注意。お酒を飲む、飲まないに関わらず、放っておいてはいけません。数値がちょっと超えただけだから、と放置せず、一度かかりつけ医などに相談してみるのがよいでしょう。

幸いなことに、肝臓は高い再生能力や予備能がある臓器で、一部が炎症を起こしたとしても、健康な肝細胞が働きをカバーしてくれます。異常に気づいたときにすみやかに対策を講じることができれば、大事に至らずに済みます。
脂肪肝はアルコールの飲み過ぎはもちろん、食べ過ぎや運動不足、肥満などの生活習慣が関係するケースが多くあります。アジア人は脂肪肝になりやすいなど、遺伝的な体質などが関係する場合もありますが、いずれにしてもカロリーオーバーにならないようにすること、アルコールのとり過ぎに注意することなど、食生活を整えることが大事になってきます。

次回は、健康な肝臓をキープするために、具体的にどんな食事を心がければいいのかなどについてお話しできればと思います。


――教える人

「三浦 雅臣先生」

ジョスリン糖尿病センター リサーチフェロー。2014年東京大学医学部医学科卒業。2021年東京大学大学院医学系研究科博士課程修了・卒業、2023年東京大学医学部附属病院 糖尿病・代謝内科 助教。糖尿病や肥満症を専門に、最近では老化や睡眠、味覚についても探究を深める日々。


編集:出口雅美(maegamiroom) 文:久保木 薫 写真:Shutterstock

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