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「見る目がないんじゃないのか」息子を試合に出せと怒る父親。子どもたちが見守る中、コーチが静かに伝えたこと

  • 2026.10.17

公式戦の朝に現れた、見慣れない父親

息子が所属する子どものスポーツチームでは、保護者が交代で練習の手伝いをしています。

私も当番の日にはグラウンドに立ち、コーチが子どもたちを指導する様子を見てきました。

ある晴れた日の公式戦。試合が始まる前、グラウンドに見慣れない男性がやってきました。

「あの人、あそこに座ってる子のお父さんだよ」

隣にいた保護者が小声で教えてくれました。ベンチの端に座っている男の子のお父さんだそうです。

私はそれまで、男性が練習の手伝いに来た姿を見たことがありませんでした。

やがて、試合に出場する子どもたちが次々と呼ばれ始めました。しかし、男性の息子は呼ばれません。

それを見た父親は大きく舌打ちをすると、ベンチの前に立っていたコーチのところへ歩いていきました。

「うちの子がなんで試合に出られないんだ」

突然の大きな声に、私も思わず振り向きました。

白髪まじりのコーチは、父親より20歳ほど年上です。

二人が顔を合わせるのは、この日が初めてでした。

「お父さんですね。出場する子は私が決めています」

「そんなことは分かってるよ。だから、なんでうちの子が出られないのかって聞いてるんだ」

「練習での様子を見て判断しています」

「どういう基準なんだよ。ちゃんと見てるのか?見る目がないんじゃないのか」

父親は腕を組んで一歩詰め寄り、さらに声を大きくしました。

その声は、ベンチにいる子どもたちにも聞こえています。

父親の息子は膝の上で手を握り、うつむいたまま動きません。

少し離れたところにいた私たち保護者も、どうしていいか分からず、やり取りを見守っていました。

コーチが観客席を示して告げた一言

コーチは父親をまっすぐ見て、落ち着いた声で言いました。

「お父さん、少し落ち着いてください」

「落ち着いてられるか。こっちは子どもを預けてるんだぞ」

それでもコーチは声を荒らげませんでした。

「出場する子は、普段の練習を見て決めています。お父さんは、練習には一度も来られていませんよね」

父親は何か言い返そうとしましたが、コーチは静かに続けました。

「選考について聞きたいお気持ちは分かります。でも、子どもたちの前で、こんなふうに言い争うことはできません」

父親は口を閉じ、組んでいた腕をほどきました。

コーチはグラウンドの外にある観客席を手で示しました。

「もう試合が始まります。お帰りになるか、あちらでご覧ください」

父親はしばらく黙っていましたが、やがて背を向け、観客席の端へ歩いていきました。

私の周りの保護者たちも、小さくうなずいていました。

父親は観客席に腰を下ろし、試合が終わるまで、それ以上声を荒らげることはありませんでした。

試合後、コーチはベンチの端にいた男の子のところへ歩み寄り、肩をぽんとたたきました。

「次の練習、待ってるぞ」

男の子は顔を上げ、大きくうなずきました。そして、片づけを始めた仲間たちのところへ走っていきました。

自分の子どもが試合に出られなければ、理由を聞きたくなる気持ちは分かります。

でも、子どもたちの目の前でコーチを責めるのは、やはり違うと思います。

最後に男の子が顔を上げて仲間のもとへ向かった姿を見て、私も少しほっとしました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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