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「早く来て取ったんだから、どう使おうと自由でしょ」運動会で広い場所を占領した母親。だが、娘の一言で黙った瞬間

  • 2026.10.15

運動会で目立っていた大きなタープ

娘が中学生だったころ、妻と一緒に運動会へ行ったときの話です。

保護者が場所取りできるのは運動場の限られた一角だけ。

どの家庭も小さなテントやレジャーシートを、できるだけ詰めて並べていました。

私たち夫婦は少し出遅れてしまい、着いたころにはほとんど空きがありません。

同じように立ったまま観覧している保護者も大勢いました。

そんななか、ひときわ目立っていたのが、大きなタープを張った一角です。

その下にはキャンプ用のテーブルと椅子が広げられ、夫婦らしい男女が二人でくつろいでいました。

「あれ、ずいぶん広く使ってるな…」

思わずつぶやくと、妻も困ったような顔をしました。

「ねえ、あそこだけ広すぎない?ほかの人、座る場所もないのに」

確かに、二人で使うにはかなり広い場所を占めています。周囲の保護者も、気になるのか何度かそちらを見ていました。

やがて、隣で窮屈そうにシートを広げていた保護者が、その女性に声をかけました。

「すみません。もう少しだけ、詰めてもらえませんか?」

ところが女性は、椅子に座ったまま答えました。

「え?うちは朝早くから来てるんですけど」

「それは分かるんですが、立っている方も多いので…」

すると女性は、少し不満そうな声で言い返したのです。

「早く来て取ったんだから、どう使おうと自由でしょ」

その言葉に、声をかけた保護者は困った顔をして引き下がりました。

私も何か言いたくなりましたが、これ以上揉めても仕方がないと思い、妻と顔を見合わせるだけでした。

昼休み、娘の一言で変わった空気

昼休みになると、運動場に先生の声が響きました。

「場所が取れなかったご家族もいらっしゃいます。少しずつ詰めていただくよう、ご協力をお願いします」

放送が終わると、何人かの保護者が例のタープに目を向けました。

ところが女性は、気にする様子もなくお弁当を並べ始めます。

「放送なんて、うちには関係ないわよ」

近くにいた私にも、その言葉が聞こえました。

そこへ、体操服姿の女の子がやって来ました。どうやら、二人の娘さんのようです。

お弁当を食べに戻ってきた娘さんは、周囲の様子を見るなり、表情をこわばらせました。

そして、母親に小さな声で言ったのです。

「お母さん、みんなこっち見てるよ」

「え?何よ、急に」

「だって、ここだけこんなに広いじゃん。ほかの人、座れないんだよ」

母親が何か言い返そうとすると、娘さんは顔を赤くしたまま続けました。

「もう、恥ずかしいよ。お願いだから、早く片づけて」

その言葉を聞いた母親は、周囲を見回しました。

さっきまでの強気な様子とは違い、少し戸惑ったような表情です。

しばらく黙っていましたが、やがて椅子から立ち上がり、タープの支柱に手をかけました。

タープがたたまれ、テーブルや椅子も片づけられると、そこにはほかの保護者がシートを広げられる場所ができました。

「よかったら、ここどうぞ」

そう声をかけてくれたのは、先ほど女性にお願いしていた保護者でした。

私と妻もお礼を言って、空いた場所に腰を下ろしました。

昼休みが終わると、ようやく娘の競技を落ち着いて見ることができました。

周囲の大人が何を言っても譲らなかった女性が、自分の娘の言葉には耳を傾けたことが、今でも印象に残っています。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた50代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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